第8話 萎エ萎エ地二落チダウン
混沌街、入り組んだ路地裏にて
(私はどこから間違えたのだろう………)
(これから上り詰めてやるって時に………)
「はぁっ…はあっ…」
男はもう動かない足を懸命に動かし、何かから逃げる
突如目の前に壁が現れる
「っ!」
(あれが殺し屋、あんなの聞いてねぇよ!)
逃げても逃げても何かは男の目の前に現れる
男は決死の力をもって近くの廃工場へ逃げ込む
だがしかしやがて足は動かなくなり、
無情にも何かはまたしても目の前に現れる
そして目の前の何かは、鉄の棒を男の前へ差し向ける
「…?」
突如胸辺りに何かに貫かれるような感覚を感じる
男の左胸に突き刺さっていたのは、何かが持っていた鉄の棒だった
それを自覚した瞬間、激しい痛みが男を襲う
「っ………!ぐあぁあぁあぁあ!」
そこで男の意識は途切れた。
女子学生服の上に黒いパーカーを羽織った少女が1人、
死体と一緒に廃工場の真ん中に座り込んでいる
「それで、これは捨てるか?」
少女は不機嫌そうな様子で電話の向こうに尋ねる
「そうしてくれ、だが必ず誰かにみつかるように、な」
電話の向こうの男は言う
「分かった。」
少女はプツリと電話を切る
「めんどくさ………本当萎えるわ……」
第2章 開幕です