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第3話 No ability No life

怪しげな外見とは裏腹に内装は普通だった。

どころか、少し小洒落た喫茶店のよう。


キョロキョロしていると、

「今は皆仕事に出ているよ。こっちだ。」

Xは狭い通路の向こうから僕を奥の部屋へ手招く


「は、はい」

言われるがまま狭い通路を通り、奥の部屋へと足を踏み入れる



その部屋はさっきまでの雰囲気とはうってかわって

とても質素な部屋だった。



部屋にあるのは小さな机、

机を囲んで向かい合うように置かれた2つのパイプ椅子

鉄製の棚、隙間からは沢山の書類が見える

それと、


(なに、これ………?)


机の上には、

ギザギザの歯を持つ紫色のモンスターが大きく口を開けたようなデザインの腕輪が置かれていた


「おお、これは失礼。ここは私の研究室でね。」

サッと変な腕輪を白衣のポケットにしまう




「さて、座りたまえ。まずは何に悩んでいるのかを私に話してみなさい。」

Xは向かいの椅子に腰掛け、自分も椅子に座る。


「ええっと、その…」

返答に渋っていると、


「大丈夫だ、私は決して笑ったり軽蔑したりしない。」

とXはまっすぐこちらを見据える


「わ、分かりました…」

そして、自分に何があったかを話し始める






始まりは高校1年の時だった。



僕が無能力者だから何も出来ない事を良い事に

クラス内グループのリーダー格の男に

「ちょっとジュース買ってきて来んね?w」

と頼まれたのが始まりだった。



僕が断らないのを良い事にパシる事はどんどん多くなっていき、周りの奴らも僕の事をパシる様になってきた。



そしてしばらく経った頃

「なぁ、ちょっと皆に見せたい能力があるんだけどw」

その一言が地獄の始まりだった。



僕は周りの人に取り押さえられ、

「よ〜し、動くなよ〜。動いたら上手くいかねえから」



次の瞬間



腹部に蹴られたような感覚が僕を襲った



「うぅっ…おぇっ……!」

その衝撃でうずくまり、嘔吐する。


口内が酸味で溢れる。



「うわっきったね〜!」

「ちょっと、こっちに飛ぶんだけど!」



「でも、凄いっしょ?w」

「俺の能力、触らなくても見てるだけで『痛み』が与えられるんだぜw」



クラス中に笑い声が響く。



そこから僕は能力を持ってる生徒たちのサンドバッグ

に成り下がった。



やがてそれを聞きつけた上級生たちも集まってきて…



手を差し伸べてくれる人は誰もいなかった。



同じ無能力者はいつ自分の番になるかとビクビクして、僕と関わらないようにしていた。



誰もが嗤い、見下す。



僕の心と体はあっと言う間にボロボロになった。




長袖を捲り、痣、火傷、切り傷、得体の知れない傷痕の残るボロボロの腕をXに見せる


「……………」

それに対してXは無言だった。


「あっ、ご、ごめんなさい!変なの見せちゃって…」

急いで袖をもとに戻す


「…………………」

だが未だにXは無言。




しばらく沈黙が続いた後、Xが口を開く


「君は、能力を手に入れたら何したい?」


「え、あ…えっと、その……」

突然の質問に戸惑う。


「ごめん、今のは聞き方が悪かったね。」

Xは続けて




「君にもし『力』があったら、君を虐めてきた奴らに報復したいかい?」




そう問われ思わず考え込む




しばらく考えた後に、




「………………したいです。」




と素直に吐露する




「いいのかい?それが後に戻れない選択肢だとしても」




とXはさらに問う




「………はい。」




その瞬間Xがバンと机を叩き、立ち上がる


(…!?)




「よーし!そうと決まれば我々、」

「【何でも屋】シークレットロマンがその復讐、手伝おうじゃないか!」




「は、はあ…」

突然の展開について行けずにいると、


「我々は【何でも屋】だ、『復讐代行』くらいわけないさ。」

Xは胸に手を当て、得意げに言う


「明日ここへ来てくれないか?」


「は、はい……」

はXの勢いに圧倒されつい、了承してしまう





混沌街入口にて


「それじゃあまたな〜!気を付けて帰るんだぞ〜!」

Xがブンブンと大きく手を振っている


「はーい…」

それに対し小さく手を振り返す

(いきなりキャラが変わったみたいだな…)




(復讐…か………)

帰路の途中、怜はある事に気づく。




(苦しいのちょっと無くなったかも………)

ここで主人公、伊石怜君のプロフィールを公開します。


性別 男

年齢 16(高校2年生)

性格 温厚

趣味 読書、散歩

特技 無し

能力 無し


とまあ、今のところはこんな感じです。


引き続き主人公君をよろしくお願いします。

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