第3話: 「農村改革！収穫量はタイムマネジメントで決まる!?」
「次は農村かぁ…」
玲奈は、王国の南に位置する大規模な農村に向かう馬車の中で、一人つぶやいた。農業についての知識はまったくないものの、異世界に来てからというもの、何とかなる精神でやってきた彼女は、今回も何とかなるだろうと楽観していた。
「でも…農作業にプロジェクトマネジメントとかタイムマネジメントって通用するのかな？」
思い返せば、鉱山の労働者たちも最初は疑いの目を向けていた。しかし、効率化の魔法のような効果を目の当たりにしてからは、次第に信頼を得られるようになった。農村でも同じように行けるはずだ、玲奈はそう自分に言い聞かせた。
◇◇◇
農村に到着すると、広大な畑が広がっていた。農民たちは朝から晩まで黙々と作業をしている様子だったが、玲奈の目にはその動きがどうにも無駄が多いように映った。
「うーん、これ、絶対に改善できるポイントがたくさんあるわね」
玲奈は手を打ち、まずは農民たちを集めて話をすることにした。
「こんにちは、皆さん！今日は皆さんの働き方をちょっと改善しようと思います！」
「改善？」一人の農民が頭をかしげた。「いや、今のままでも十分だと思うんだが…」
「ふふ、そう思うのはまだ早いわよ。今日は、収穫量を増やすために、時間の使い方を変える方法を教えてあげるわ！」
農民たちは興味を持ちながらも、どこか不安そうだった。彼らは代々続く農業の方法を守り続けてきたため、突然の変化に対する抵抗感があるのだろう。
「まずはタイムマネジメントから始めましょう。今、皆さんは一日中ずっと同じ作業を続けていますよね？それじゃ、体がもたないし、ミスも増えます。これからは、1時間作業したら10分休む！このリズムで進めていきます！」
「休憩か…でも、休んだら作業が遅れるんじゃないか？」
玲奈はにっこりと笑いながら首を振った。
「それが違うの。タイムマネジメントって、効率よく働くための方法だから、疲れてきたらむしろ休む方が結果的に早く終わるのよ！」
◇◇◇
早速、農民たちは玲奈の提案に従い、1時間ごとに休憩を取りながら作業を進めることになった。最初は戸惑いの声もあったが、日が暮れる頃には驚くべき結果が出始めた。
「なんだ、いつもより収穫が多いじゃないか！」
「ほんとだ！疲れも少ないし、いつもより早く終わった気がするぞ！」
玲奈は満足げに頷いた。タイムマネジメントの威力は異世界でも健在だ。彼女の計画通り、農民たちは次第に新しい働き方に順応し、効率よく作業を進めていた。
「ふふ、これで第一段階はクリアね」
◇◇◇
次に玲奈が導入したのは、いわゆる「作業分担」だ。
「皆さん、今まで全員が同じ作業をしていましたけど、もっと効率よく分担すれば、全体のスピードが上がりますよ！」
「分担…ですか？」農民の一人が不思議そうな顔で尋ねる。
「そう、例えば一人が耕し、一人が種を撒き、別の人が水をやる…って感じに役割を決めるの。そうすれば、みんなが一斉に同じことをするよりもずっと早く終わるでしょ？」
農民たちは最初、戸惑いながらも、玲奈の指示通りに役割を分担してみることにした。結果は目に見えて効果的だった。
「おい、これすごいぞ！作業がどんどん進む！」
「俺は水やりが専門だから、もうコツをつかんじまった！」
「そうでしょ？これがプロジェクトマネジメントの力なのよ！」
玲奈は胸を張り、得意げに答えた。実際のところ、これほど上手くいくとは思っていなかったが、彼女の地味なスキルが意外と異世界で役立っていることに内心驚きも感じていた。
◇◇◇
夕方、玲奈は再び農民たちと集まり、今日の成果を確認する会議を開いた。会議ファシリテーションスキルを駆使しながら、農民たちの感想や意見を聞き出していく。
「いやぁ、今日は驚いたよ。あんたの方法で、いつもよりたくさん収穫できたし、体も楽だった」
「休憩を入れるってのは、最初は意味がわからなかったけど、結果的に効率が良くなるんだなぁ」
玲奈は微笑んで、彼らの言葉を聞いた。これで農民たちの意識改革は順調に進んでいる。だが、彼女はまだ満足していなかった。
「次はさらに、作業のスケジュールを最適化していきましょう！時間帯ごとに作業を割り振ることで、もっと効率よく働けるようになりますよ！」
「スケジュール…？なんだか難しそうだが、あんたの言うことなら信じるさ！」
こうして、玲奈は異世界の農村でも次々と労働環境を改革していくことに成功していた。地味なスキルを駆使しながらも、次第に周囲の信頼を得ていく彼女。次なる挑戦は、一体どこへ向かうのか？
次回予告: 「悪徳貴族との対決！プロジェクトマネジメントVS権力者!?」
