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第2話: 「プロジェクトマネジメントはじめます!勇者のスキル、地味だけど役立つ!?」

「さて、何から手を付ければいいのやら…」


異世界に転移して、なぜか「勇者」として扱われている三島玲奈は、玉座の間で一人ため息をついていた。労働者たちの過酷な状況を目の当たりにしたものの、彼女に与えられたスキルは「プロジェクトマネジメント」や「タイムマネジメント」など、地味なオフィススキルばかり。


「勇者なのに…なんで、タスク管理とか進捗管理とか…戦えないじゃん!」


しかし、立ち止まっている暇はない。労働者たちを救うため、まずは玲奈なりにできることを考えることにした。


◇◇◇


「まずは、チームの意識改革が必要ね…」


玲奈が最初に訪れたのは、王国の北にある鉱山。労働者たちは毎日、重いツルハシを手にして長時間働かされている。彼らの顔には疲れがにじみ、作業効率も悪そうだ。玲奈は彼らに声をかけた。


「ちょっと、皆さん、集まってもらえますか?」


労働者たちは、不思議そうな顔をして玲奈の前に集まった。


「今日は、ちょっと新しい働き方について話したいと思います!」


「働き方?」一人の労働者が首をかしげた。「いつも通り働けってことじゃないのか?」


「違うのよ。これからは、効率よく働くことが重要なの。例えば…まずはタスク管理から始めましょう。今やっている作業を細かく分けて、それぞれに優先順位を付けていくのよ!」


玲奈は、ホワイトボードに鉱山の作業工程を書き出しながら説明を始めた。労働者たちは、最初こそ「なんだこのよくわからん図は?」という顔をしていたが、少しずつ興味を持ち始めた。


「つまり、やみくもに働くんじゃなくて、今日やるべきことをリストにして、それに集中するってことですか?」


「そう!その通り。プロジェクトマネジメントでは、まずやるべきことをはっきりさせることが大事なのよ。それを一つ一つ片付けていくことで、結果的に無駄が減るわけ」


「ふむ…わからんが、やってみるか」


労働者たちは半信半疑であったが、玲奈の指示に従ってタスク管理を始めることにした。最初は慣れない作業に戸惑う者も多かったが、次第に「今日はここまでやればいいんだ」と目標が明確になることで、彼らの作業効率が徐々に向上していった。


◇◇◇


「次に、タイムマネジメントよ!」


タスク管理が一段落すると、玲奈は次なる手を打つことにした。それは、時間の使い方の改革だった。


「皆さん、今まで1日中ずっと働いていたけど、それは逆効果なの。これからは、一定の時間ごとに休憩を取ることにしましょう!」


「休憩…ですか?」別の労働者が驚いた顔で尋ねる。「俺たち、休むと仕事が終わらなくなるって言われてますが…」


「それが間違い!仕事って、休憩を入れた方がむしろ効率が上がるの。疲れているとミスが増えて、結局後でやり直すことになるでしょ?だから、まずはしっかり休んで、それから集中して働く。これが大事なの!」


玲奈は、1時間に1回、10分の休憩を取るという新しいルールを導入した。最初はみんな「こんなんで大丈夫か?」という反応だったが、実際にやってみると意外な効果が現れた。


「おい、なんか、朝からやってた作業がいつもより早く終わったぞ!」


「ほんとだ!疲れも少ないし、仕事のミスも減ってる!」


労働者たちは驚きながらも、新しい働き方に少しずつ慣れ始めていた。玲奈は内心ガッツポーズを決めながら、彼らの成長を見守った。


◇◇◇


その日の夕方、玲奈は鉱山の責任者である【ガルス】と話をしていた。ガルスは壮年の大男で、無骨な外見だが実は面倒見の良い男だ。


「ふむ、あんたのやり方はなかなか面白いな。俺たち、今までただひたすら働けばいいと思ってたが…効率ってのはこういうことだったんだな」


「そうそう、ただガムシャラに働いてもダメなのよ。プロジェクトマネジメントって、要するに『効率の鬼』になることだから」


玲奈は笑顔で答えた。


「しかし、まさか勇者がこんな方法で国を救うとは思わんかった。普通、勇者っつったら剣とか魔法でバシバシ戦うもんじゃないのか?」


「いや、だから言ったでしょ?私は勇者じゃなくて、ただのOLですって」


ガルスは大笑いしながら、「いやいや、あんたはこの国の救世主だ」と肩を叩いた。玲奈は、異世界の労働者たちが少しずつ意識を変えていくのを感じ、やりがいを感じ始めていた。


◇◇◇


その夜、城に戻った玲奈は王との会議に臨んでいた。


「勇者様、鉱山での改革は順調だと聞きました。次はどこを改革するおつもりですかな?」


「うーん、次は農村かな。農民たちも過酷な状況で働いているって聞いたし、そこも効率化が必要ですね」


「さすがは勇者様…いや、プロジェクトリーダー様だな!」


玲奈は苦笑しながら、王の言葉を聞き流した。


「…やっぱり、私はただのOLなんだけどなぁ」


それでも、彼女は異世界で少しずつ成果を出し始めていた。次なる挑戦は、農村の改革。果たして玲奈のプロジェクトマネジメントスキルは、農民たちにも通用するのか?


次回予告: 「農村改革!収穫量はタイムマネジメントで決まる!?」

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