第1話: 「異世界に転移!? しかしスキルは…仕事術!?」
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「もう、なんでこんなに仕事が溜まってんのよ!」
三島玲奈は、デスクに山積みされた書類の山を睨みながら、ため息をついた。30歳にして、バリバリ働くOL。上司からの無茶ぶりにも文句を言わず、毎日夜遅くまで仕事をこなしている。だが、今日はさすがに限界だ。肩は凝りまくっているし、目の疲れもひどい。もう、何もかも投げ出して逃げたい。
「誰か…私をどこか遠いところに連れて行ってくれないかなぁ…」
ぼそっと呟いたその瞬間、玲奈の視界がグラッと揺れた。次の瞬間、彼女は暗闇に包まれた。
◇◇◇
目が覚めたとき、玲奈は自分が見知らぬ場所に立っていることに気づいた。石造りの壁、古びた絨毯、そして目の前には玉座に座る年老いた王が一人。周囲には鎧を身にまとった兵士たちが並び、玲奈をじっと見つめている。
「勇者よ!我が国を救ってくれ!」
「……え?」
突然、年老いた王が大声で叫んだ。玲奈は完全に状況についていけず、ただ呆然と立ち尽くす。
「えっと…ここ、どこですか?」
「ここはリューナ王国じゃ!そして、汝は我が国を救うために召喚された、伝説の勇者なのじゃ!」
「伝説の…勇者?いやいや、ちょっと待って。私、ただのOLなんですけど…?」
玲奈は頭を抱えた。何かの間違いだ。だって、彼女は普通の会社員。戦士でも魔法使いでもないし、勇者なんてかっこいい肩書きには程遠い存在だ。
「勇者様、どうかお力をお貸しください。我が国は今、貴族たちの横暴により、労働者が苦しんでおります。あなたの力で、この国を救ってほしいのです!」
玲奈は唖然とした。「貴族の横暴」とか「労働者の苦しみ」とか、どこかで聞いたことがあるような話だ。それは、彼女が日々身を置いている現実世界のブラック企業と似ている気がしてならなかった。
「でも、私、勇者とかできないですから…」
とにかく状況を理解しなければと思い、玲奈は落ち着いて自分に与えられた「スキル」を確認することにした。
「…え?プロジェクトマネジメント?タイムマネジメント?」
勇者らしいスキルを期待していた彼女は、目の前に表示された「スキルリスト」を見て愕然とした。魔法や剣術のスキルなど一つもなく、代わりに現実世界で使っていたオフィススキルがずらりと並んでいるではないか。
「ちょ、これ、戦えないじゃん!」
思わず声をあげる玲奈。しかし、王も兵士たちも玲奈の言葉にピンと来ていない様子だ。
「勇者様、そのスキルを使えば、この国を救えるのでしょう?」
「…いや、無理だと思いますけど?」
それでも、目の前の王の真剣な顔を見て、玲奈は内心どうしようもない思いに駆られた。何かをしなければいけない。でも、どうしたら?
「まず…ちょっと国の状況を見せてもらえませんか?どこから改善すればいいのか、分析してみます」
玲奈は心の中で叫びたかった。「勇者なんてやりたくない!」と。しかし、目の前に広がる異世界は、彼女の現実の職場に酷似しているようで、どこか他人事に思えなかった。
◇◇◇
次の日、玲奈はリューナ王国の各地を視察することになった。王の付き添いで、地元の労働者たちと会話し、工場や農場を訪れる。どこもかしこも、労働者たちは疲れ切っていた。
「これ、完全にブラック企業じゃん…」
低賃金で長時間働かされ、休みもほとんど取れない労働者たち。その姿に、玲奈はますます現実の自分の会社を思い出してしまう。そして、彼女は一つ決意した。
「オフィスのスキルしかないけど、やるしかないわね…」
◇◇◇
城に戻ると、玲奈はまず王に提案を持ちかけた。
「残業禁止令を出してください。それから、働く時間を短くすることも必要です」
「残業…?それは何ですかな?」
「説明が難しいですけど、とにかく労働者を長時間働かせても、生産性が上がるわけじゃないんです。休ませたほうが、むしろ効率が良くなりますから」
「ふむ、よくわからんが、やってみよう」
こうして、玲奈の異世界労働改革が静かに始まった。彼女のスキルがどこまで通用するのか、まだ未知数だが、少なくとも今は一歩を踏み出した。最初の改革が成功するかどうかは、これからのお楽しみだ。
次回予告: 「労働改革、第一歩!? 勇者じゃなくてプロジェクトリーダー!?」
玲奈が異世界で巻き起こす改革の波は、やがて国全体を揺るがすことに…?
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