エピソード4 彩世光
七夕の絶望から二日後、インは自室で自分の楽曲を覚えていた。
〈どうして、アキは死んでしまったの、どうして。〉
インは思わず涙を流してしまった。
〈明日路上ライブなのにどうして泣いてんの。〉
翌日の夜、インが路上ライブをしている時に金髪でピアスをしているイケメン男性に「ねぇ、歌っているそこの君、僕と音楽ユニット組まない?」と声をかけられた。その声にインは思わずビクッとしてしまった。
二日後の下校時間インはネオに一昨日の夜の出来事を話した。
「ねぇ、ネオちゃん、私、知らない男性に声かけられたの。」
「そう、で、どんな男だったの?」
「えーっと、金髪でピアスをしているイケメンの男だったの。」
「そう、あっ、そうだインちゃん、最近ね、ここ東京で行方不明事件が増えているの、で、見つかった人はもう死んでいるの。で、原因は自殺だったの、まぁ、あんたが一昨日に会った男、もしかしたら殺人犯かもしれないよ、まぁ、気を付けな、次の夜に会う時は。」
ネオはインに次の夜を忠告した。
次の夜、インは路上ライブに足を運んだ。インの歌はたくさんの観客の心を揺らしていると、観客の中に前回の路上ライブにあった金髪の男がいた。インは金髪の男と目が会ってしまい歌うのをやめてしまった。
インは路上ライブの舞台で自分の荷物を持って歌舞伎町に逃げた。
〈なんでなの、なんであのストーカーがいるの。〉
歌舞伎町に逃げたインの目の前に偶然、花空うめがいた。
花空うめとは青緑色の髪をしているインのクラスメイトの女の子で友達でもある。
インはうめの方へ行った。すると、うめの首に青色の印があった。
「うめちゃん、首に青色のって、あれ?どうしたの、ねぇ。」
うめはインの顔を見た。
「あれ?もしかしてインちゃん、私今から小さな建物で素敵な儀式をするの、インちゃんも来る?一緒に。」
うめはインを誘って小さな建物に行った。小さな建物に着くと外観は三階建てで全身が真っ白な建物だった。
〈え?マンション?ここって人住んでいるじゃないのって、あれ?えーっと、個別指導マギカラボおおわだ研究所?〉
インは目の前の看板の文字を読んだ。
「インちゃん、入るよ、この中に儀式のセットがあるから。」
うめとインが中に入った時には、怪しそうな儀式が始まっていた。インは目を疑った。インの目に見えていたのは、知らない人々がケトルに謎の液体を注いでいた。
〈もしかしたら、今から儀式をする人達、死ぬの?!〉
インが注いでいる人を人を見て走ろうとした瞬間、うめはインの左腕を掴んだ。
「放してよ!」
インは左腕を強く引っ張り、急いでケトルに蓋をして近くの部屋に入ってすぐに扉の鍵をした。インが深呼吸をすると、奇妙な声がした。
「アーターラシイ、ゲンゴーワァーヘーイセーイデース。」
「え、何、誰?誰の声なの?」
インがいる部屋は一瞬で白黒の光に包まれた。
「なんなの、ねぇ、もう、誰か助けて。」
インが恐怖を感じた時、床に真っ赤な血がたくさん出てきた。すると、たくさんの血だらけの死体があった。インはがびっくりした時、目の前にプロペラの付いたレトロテレビの死神がいた。死神は画面からたくさんの人を出した。たくさんの人は銀髪でボクサーパンツにレスラーブーツを履いた男ばかりである。銀髪の男達はインをセックスしようとした。しかし銀髪の男達は白銀の光で一瞬、残酷に死んだ。光の中に上半身裸で銀色のグローブに青いブーツと青いパンツを身に付けた銀髪の男がいた。男は超音速で死神を殴り殺した。死神は真っ赤な血を出して死に、インは残酷すぎる光景に目を閉じた。
数分後に目が覚めた時には、ラボとは違う部屋にいた。インが周囲を見ると、目の前には、うめとあの男がいた。
「あ、インちゃん目覚めた?あなたをお姫様抱っこで私の家まで運んだボカロの彩世光さん。」
「彩世です。あの~インさん、僕と音楽ユニットを組みませんか、物語を楽曲にする音楽ユニットを。」
光を見たインは思わず顔を赤く染めた。
「あっちょっと待って、えと、組みます、でも、一週間だけ、時間を、ください。」
インは緊張しながら即答をした。