Part.1.4 少女にかけられた呪い
晩飯だああああ。
「手をきちんと洗ってからよ」と少女が言う。「はい・・・」少女に叱られるなんてちょっと凹んだ。
テーブルについて、「いただきまあああす!」と言って食べようとしたところ、シスターと少女はお祈りをしている。祝詞は分からないが、指を組み合わせる所作だけマネしてみる。
お祈りが終わったので、食事になった。なんとシスターは私がお腹が減っていると分かって、多めに作ってくれていたので、粗末とは言え、お腹いっぱいに食べることができた。
少女は少し冷たい目でこっちを向いていた。
「そいうや、君の名前は?」と聞くと「キャロライン」とぶっきらぼうに答えられた。
「キャロラインはいくつなんだい?ときくと「26歳」と言う。どう見ても15,6歳だ。
「ははは。面白い冗談だ。シスターにの年齢くらいに憧れでもあるのかい?」と言うと、キャロラインはムスツとして怒っている風だ。
「実は、キャロラインは14歳の時に呪いを掛けられて、そこで成長が固定されているんです。」とシスターが教えてくれた。「知らないとは言え、失礼なことを言いました。すいません。」きちんと同じ年くらいの人に使う丁寧語でお詫びをした。「いいわよ。慣れてるし・・・」少し寂しそうだ。それはそうだろう。本当なら恋愛もでき、子供も持てる歳だ。ひどく苦しんでいるに違いない。
それ以上言葉をかけるのも憚られたので、黙ることにした。
結局その日は、お風呂(とはいえ、タライにお湯を張って、体を拭う程度だが)を頂き旅の疲れもあり、すぐに休むことにした。
休む前にシスターに「明日もいてくださっても結構ですが、朝のお祈りと労働をしてくださいね」と念を押された。朝は苦手だが頑張って起きるとしよう。
ベッドに入って、キャロラインになぜ呪いがかけられたのか、どうして教会にいるのか、いろいろ考えているうちに深い眠りに落ちていた。