Part.1.3. 初めての魔法
「どうかなさいましたか?」若い肉感的なシスターは、透き通るような声で問いかけてくる。
「す、すいません。私、食事と宿に困っておりまして、ハンナさんからこちらにくれば、どうにかなるかもしれないと教わりまして・・・」消え入るような声になってしまった。
「お金をお持ちでは無いのですね?あと、お名前は?」と聞かれる「はい。恥ずかしながらお金の持ち合わせはありません。名前はリョウといいます。25歳です;」
シスターは少し考えて、「良いでしょう、お仕事はしていただきますが、粗末ではありますが食事と宿を用意しましょう」と言う。「”ほっ”としたぁー」思わず声がでた。シスターは私のその姿をみてほほ笑んでいた。
「で、仕事というのは?肉体労働くらいしかできませんが」というと、「肉体労働も立派なお仕事ですわ」と言われ、恥じ入った。「付いて来てください」というと、先ほどシスターが出てきた奥の方へ歩き出す。付いて行くと裏口があり、そこから外にでた。
すると、すごい光景を目にした。なんと小柄な少女が畑に立っており、苗に手をかざすと水が出ているのだ!
「え、えーーなんで水がでるの??」と驚くと、シスターも少女も不思議な顔をこちらに向ける。
「見た目が異国の方のように見えますが、異国にには魔法はないのですか?」とシスターが聞く、「え、あ、どうかな?分かりません。ただ、初めて見ました」と答えると。少女がカラカラと笑った。「魔法が使えないなんてヘンなのー」まだ笑っている。「(このクソガキが!!)」と思いつつ、「オレにもできるかも知れないから教えてくれる?」と少女に言うと、「手から水が出るってイメージすれば出るよ。火もでるよ」なんでもない様に言うから、できそうな気がする。
「(手から水。手から水)」・・・出るワケ無かった。「まぁ、みなさんが出来るものではありませんのでそう悲観なさらないでください」とシスターに慰められた。
で、仕方ないので畑を耕して夕方を迎えた。待ちに待った晩飯だああああああ。