第6話 発動
「・・・・・・・・・・・・」
「えぇーーー!?(オッキャー!?)」
こ、ここはどこ?
「ピロリーン!」
赤ん坊の目の前にある、半透明のモニターに文字が電子的な機械音と共に浮かび上がる。
『工房魔法発動しました』
「?????????????」
何故に日本語?
って、工房魔法?
「えぇーーー魔法なの?これーーー?(オォオーオッギャャーー?)」
普通、魔法って言ったら火がドッカーンって出たり、水がドッバーンって出たりするんじゃないの?工房魔法って…訳がわからないよ…
工房って何ができるのさ…?何か作るの?
「ピロリーン!」
『素材を作り変えますか?』
また文字が出てきた!?素材?って何だろ…
「ピロリーン!」
『素材一覧を表示します』
モニターに、赤ん坊の服と、オシメと、全裸の赤ん坊が映し出された。
何だこれ!?この赤ちゃんは…もしかして、ぼ、僕だったりして…?
と、思った途端に、モニターに映った赤ん坊の姿が拡大されていき、隣に文字が浮かび上がってきた。
名前
?????
年齢
?????
性別
?????
状態
?????
LV
?????
HP
?????
MP
?????
魔法属性
?????
称号
?????
・
・
・
・
これって…ステータスってやつじゃないの!? 益々、小説みたいになってきたなー。
でも…これ?????が多くないかな…これじゃ、ぜんぜん意味がわからないよ…
「ピロリーン!」
『MP100ポイントを消費して、魔術製作能力を使い、解析魔術LV1を製作し、素材名?????に組み込みますか?』
魔術を製作して、組み込む!?
すごい…そんな事ができるなんて… MP100ポイントって多いのかな?
僕の魔力量で足りるといいんだけど…
『素材名?????のMPが足りません。工房魔法内の、貯蓄魔力、残り????ポイントを使い、魔術製作が可能です』
おぉー!なんとなく解ってきたかも!とりあえず何かを作る時とかには、魔力が必要ってこと…?
この空間で、魔力を使って、色々な物を作り変えたりする事ができる魔法って事でいいのかな…
それに、貯蓄魔力って事は、この工房魔法に魔力を溜めておけるって事だよね!僕の魔力以外に、溜めてる魔力で色々な物を作れるなんて、すごい便利かも…
解析魔術ってたぶん、よくある鑑定みたいな物だとは思うけど…?
そういえば、考えただけでモニターが、反応してくれるって便利だなー。
それに、他にも100ポイントで作れる物があるのかも?
「ピロリーン!」
『魔術製作以外の能力を表示します』
・言語理解能力LV1
・文章理解能力LV1
・
・
・
・
・魔力強化能力LV1
・魔力操作能力LV1
・
・
・
・
・体力強化能力LV1
・筋力強化能力LV1
・
・
・
・
etc
す、すごいんですけどー! 能力って何個あるんだろ…数十個!? 僕が、これ全部組み込めたら完璧超人になれちゃうんじゃない!?
おぉーーなんかすごい僕ってーー!!!
そういえば、魔法と魔術って何が違うんだろう…?
それから数時間、赤ん坊はモニターに映る能力を興奮しながら精査していた。生まれて4カ月あまり経つが、今までベビーベッドの中だけで完了していた世界。
多少なりの前世の記憶がある赤ん坊にとっては、辛い世界だった…
新しい可能性。モニターに映し出される様々な文字に心躍らせるのだが、ある重大な事に、ふと気づく。
あれ?そういえば、どれくらいここにいるんだっけ?普通は赤ちゃんが、こんなにいなくなったら問題になるよね?
あのお姉さんに心配かけちゃったら悪いよね…外はどうなってるんだろう?
「ピロリーン!」
『工房外の状況を表示します』
『工房魔法を終了して退出しますか?YES/NO』
そこには、胸をはだけて、赤い頬をした残念な少女がいた。
うーん、止まってる!? もしくは静止画かな?
「ピロリーン!」
『工房内の時間を、工房外の時間に合わせますか?MP10000ポイントかかります』
いや、合わせなくていいから!ここにいれば、外の時間が止まるってことでしょ!?すごい便利!!
それから数時間、赤ん坊は工房魔法内に、引きこもっているのであった。