第2話 ワトソンくんpart1
転生。生まれ変わる事。
アンティーク調の家具がある少し大きめの部屋に、ベビーベッドがポツンと置かれている。
そのベビーベッドの中、小さな手で顔を覆い隠し、どこか悶えてる赤ん坊も転生者であった。
しかも、彼には前世の記憶が少なからず残っていた。
「%$&$#%$#$#%&%$#%&%$#%$#(はーい。殿下~。おしめ綺麗にしちゃいましょうねー)」
恥辱。はずかしめを受ける事。
『そ、そこは… 触っちゃダメなとこですよ…? お姉さん…?』
「$%$#%$#%”%&%$#$#$#&$#&’&(つん・つん・殿下~。こっちも綺麗にしましょうねー。こんなにいっぱい出して気持ち悪かったですよね)」
~チョロ~チョロ~チョロ~チョロ~
この音はけして、卑猥な音ではない。
現代日本で言えば、まだ女子高校生か中学生だと思われる美少女がメイド服を着て、赤ん坊のお尻を指から出る水で洗っている音だ。
そう!この少女は、何もない所から水を生み出していたのである。
「だ、だ、ダメーーー(キャッキャーーー)」
『ふぅ… さて… これってどう見ても魔法だよね。
けして恥ずかしさに耐えられなくなって、わざと話を反らしてるわけじゃないんだよ。
興味深い発見だと思わないかい?ワトソンくん』
「&%$&%#&%’&’&%$%$$%#(殿下~綺麗になりましたよぉ~後は乾かしてお終いにしましょうね…)」
少女が赤ん坊のお尻に顔を近づけて。
「ふぅうううう~~~~~」
『ワトソンくん~~~~~』
『コホン…まあーなんていうか…
そう、魔法だ魔法!てか、ワトソンくんて誰やねん』
この部屋の作りは、石造りで漆喰が塗られており、ところどころ和室を思わせていた。
それに、少女の顔は中東系のような作りなのに、どことなく大和撫子を彷彿とさせる顔をしているのだが…
『とりあえず、ここは日本じゃない。
聞いたこともない言葉喋っているし、なにより…
お姉さんがカワイイ!
いやいやいや、そうじゃない、魔法を使ってる。
可能性を潰していき、僕の推理によると、ここは剣と魔法の世界だと思うんだよ。ワトソンくん。』
『いや、ワトソンもういいから!』
『魔法使ってみたーい! 魔法!魔法!ま・ほ・う~♪』
『うん、僕ってこんな性格だったっけ?苦節、生まれてから数週間、寝るか飲むか出すか…
赤ちゃんて、この恥辱が耐えられなくて、生まれた時の記憶を消去しちゃうんじゃないかな…
生まれた時はおろか、前世で日本人だった記憶も消えてない僕って…もしかして、どんな恥辱にも耐えられる鋼の精神の持ち主だったり~♪』
『とりあえず魔法だね!
あのお姉さんはどうしてたっけ?なにかブツブツ言ってたような…
はっ!呪文系か!
言葉がわからないよ…とりあえず日本語でいっかー』
「清らかなる水よ、我が手に集え!出ろ!ウォーター(オキャッキャー)」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
キメ顔した赤ん坊が、そこにいた。
「$#$#%$%$&%&&%%&#$%$%(キャー!!殿下~!!なにこのカワイイ生き物は~)」
生まれてから数週間目にして、ファーストなチュウを奪われた瞬間でした。
「おふっ(キャッキャ)」