第13話 魔術
『解析魔術発動!』
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名前
アシエラ・フィリスティア
年齢
25歳
種族
ヒューマン
性別
女
カップ数
判別不能
状態
瀕死
LV
55
HP
1/2200
MP
0/3000
魔法属性
水属性LV5
称号
潰し屋 百合姫 第5王妃 無能の母
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HP1… MPに至っては0ですか…
こんな状態でよく今まで…
ベルは『状態 瀕死』の場所に意識を集中させる…
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状態
瀕死
病名
ネクロゾーマ
症状
魔力欠乏の持続により身体の萎縮と崩壊
原因
妊娠期間中、胎児に慢性的に魔力を吸い取られる事で、遺伝子が組み替えられ発症する
治療法
・工房魔法Lv8で治療可能
・治癒再生魔術Lv7で治療可能
・治癒再生魔術Lv5で一時的に身体の再生が可能
・調合能力Lv6でキバナジダリス草、ヒオウギ草、ヒュドラーの血液の調合で造られるアンチネクロゾーマポーションで治療可能
・魔力注入魔術Lv5で魔力補充させる事で一時的に身体の崩壊が防げる
・調合能力Lv5でMPポーションを造り、魔力補充をする事で一時的に身体の崩壊が防げる
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ベルは床に崩れ落ち泣いた…
胎児が魔力を吸い取る事で発症する病…
ベルの工房魔法は魔力を貯蓄できる。初めて工房魔法を発動した時にはなんと、すでに、100万もの魔力が貯蓄されていたのだった…
アシエラの魔力量は3千… いったいどれだけ量を、母から吸収し続けたのか…
そう、この母を蝕んでいる病はベルが引き起こしたのだ…
会った事が無いから、気にしない?
それが、なんなのだ!!
自分を恥じて…恥じて…恥じて…
「母上・・・生まれてきて… ごめんなさい…」
この世界に生まれ落ちてから、初めて本気で泣いた。
だが、泣きたくても、もう涙を流す事ができない人がいる事を思い出す。
この状態でも生きていてくれた…
今、母は何を想っているのだろう…?
痛みだろうか… 恐怖だろうか… 自分への恨みだろうか…
嫌われててもいい、そんな事はもはや、関係ないのだ!
早く母を楽にしてあげなくては!
魔法を使える事を隠していた。0才で喋る事ができるようになったベルは、サーヤの話を聞き、様々な本を読み、理解した。魔法が発動できないはずの無属性なのだ。
何故に自分だけが発動できるのか? 疎まれているであろう自分が誰も使えないはずの魔法を使い始めるのだ。厄介事になるのが、容易に想像できた。
唯一、自分に優しくしてくれた、サーヤにだけは嫌われたくなかった… 面倒な事に巻き込みたくなかった…
でも、全ての厄介事から守ればよかったではないか。自分にはそれができる力があるではないか。
もっと早くに…
「サーヤも、母上も、今までごめんね…」
母、アシエラに向かって両手を伸ばし、声を出して唱える。別に声に出す必要などないのだが、これが自分の人生に対しての宣誓なのだ。
全てを守ると!!
「治癒再生魔術・発動!!!!」
眩い光を放つ魔法陣が、アシエラの頭上に輝く。その魔法陣がゆっくりとアシエラの頭を透過して行き、顔、首、体へと移動する…
魔法陣が通り過ぎた後には、1人の妙齢な女性が何事もなかったかのように、美しい銀髪をなびかせながら眠っていた…