一章 4
「かんぱ〜い!」
勢いよくジョッキがぶつかり合う。
「お疲れ様で〜す」
と定例の言葉を言う前に渡辺はジョッキの半分を一気に飲み干した。
「あ〜…うめぇ…」
「お前すっかりおっさんだな」
「うるせぇ…今日は飲むんだよ」
と言ったり談笑していると時間というものはすぐにすぎるものだ。皆が一杯飲み終わる頃、小野が切り出した。
「ハイ!ここらで自己紹介タ〜イム!」
「???」
「お前…今更かよ…。もう嫌っちゅうほど知ってんだろ」
「いいじゃねぇか。今日は結衣ちゃんもいることだしさ。何か合コンみたいで面白くね?」
「面白くないわよ。何でアンタ達と合コンなんかしなきゃいけないのよ!」
近藤が馬鹿馬鹿しいとウンザリする中…
「いいじゃないですか!面白そう!」
結衣だけは乗り気だった。
「さすが結衣ちゃん!わかってる! …っつうことでまずは俺からいきま〜す!」
小野はその場に立ち上がった。
「え〜…企画部の小野隆宏です。27歳。みんなからはタカって呼ばれていま〜す。好きな女のコのタイプは…」
「ハイ!次は私ね!」
近藤が途中で遮った。
「おい!ちょっ…」
「いいの!アンタ喋り始めると止まらないでしょ?好きな女のコのタイプは可愛くて胸の大きい娘でしょ!結衣ちゃん残念だったわね〜」
「ちょっ…お前勝手に…」
「私は近藤景子。企画部の事務やってます。コイツらとは同じ部署ってことで…ってこんな話はどうでもいいので置いといて…。結衣ちゃんとは大学の先輩後輩っていう関係で、この会社に入って時からも色々と世話してます」
「おーい歳言ってねーぞ!歳!」
次の瞬間、パンッといい音がしたと同時に小野が頭を押さえうずくまった。
「次は私ですね!えっと…総務課に勤めてる緑川結衣です!今年で23になります。結衣ちゃんって呼ばれています。今日はお誘いありがとう御座いま~す。渡辺先輩の事、沢山癒そうと思います」
「え~…結衣ちゃん。俺は?俺は?」
「私胸ないから小野先輩のタイプじゃないでしょ?だからダメです!」
「そんなことないよ~。なんたって顔がめっちゃタイプだもん!身体の方は…。まぁその事を差し引いてもめっちゃタイプだよ~」
「おいタカ…。お前何気に酷い事言ってるぞ…」
渡辺がフォローするが時すでに遅し、近藤と結衣は軽蔑する様な目で小野を見ていた。
「ハイ!次は渡辺君!ホラ!早く!お願いします!」
「ったく…。企画部の渡辺晴紀です。本日ヘマを致しまして、物凄いテンションがた落ちで御座います。皆様どうか私目の御慰めの程、宜しくお願い致します…。…ようし。今日は飲むぞこのヤロー!!」
「かんぱ~い!」
本日2回目の乾杯をし、更にペースを上げた。