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二章 7
「しつこいったらありゃしないんだから…」
亜矢はパスタを頬張りながら言った。そんな亜矢の姿を優子はにやけながら見ていた。
「ちょっと優ちゃん。聞いてる?」
「聞いてますよ。拓海さんとの惚気話」
「もうそんなんじゃないんだって!」
「はいはい…。で?続きは?」
「そんな事が3カ月くらい続いたの。ホントしつこいったらありゃしないんだから…。私はもう付き合うつもりなんてこれっぽっちもなかったのに…」
「でも今は付き合ってる… でしょ?」
「まぁね…」
亜矢はワイングラスを手に取り、ぼうっと見つめた。魚介のパスタに合うように頼んだ白ワイン。
そこに移り出す自分がこっちを見ている。優子はそんな亜矢の顔を見てふと呟いた。
「ねぇ亜矢ちゃん。昔何があったの?」
白ワインに映る顔が一瞬ビクついて、うつむきかけた。しかしすぐ様顔を上げ、優子を見る。
「ごめん… もう少し飲んでからでいい?」
亜矢が申し訳なさそうに言うと、優子はにっこり笑いコクリと頷き言った。
「今日は邪魔な男共もいないし、いっぱい語り合いましょ」




