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シロツメクサ  作者: 大神 葵
第一章  渡辺 晴樹
14/45

一章 14

次の日、会社で小野が話しかけてきた。


「お前結衣ちゃんとどうなんだ?美味しそうなイタリアン食べに行きやがって!」


渡辺は不思議そうな顔をして、小野を見つめる。


「しらばっくれんなよ!SNSだよ!SNS!」


小野に言われ、昨日の事を思い出した。すぐ様SNSを確認する。


『先輩とイタリアン♪美味しいパスタを頂いてます✨』


パスタを頬張る渡辺の写真がアップされている。


こういうことかと今事態を把握した渡辺。

どうやら告白までは知られてないと知って安心する。


そんな渡辺を見て、小野が一言言った。


「お前SNSのこと何も理解してないだろ?」


渡辺はコクリと頷く。

確かにあの飲み会の時は、よく理解しないまま、されるがままだった。

SNSのアプリを開けば、小野や近藤、結衣の投稿が最初に表示される。

それだけで渡辺は十分に満足していた。


「お前な…。よし!昼休みに徹底的に教え込むからな!つうことで今日昼飯奢れ!」


「なぜそうなる?」


「明日の給料日までピンチなのだよ。渡辺君…」


「わかったよ。寿司でも何でも奢ってやるよ。この前世話になったからな…」


渡辺に断る理由は無かった。


「ふーう…。食った。食った…。…痛っ!!」


渡辺は小野の頭を思い切り叩く。


「食い過ぎだアホ!」


「何だよ。たかが1万円だろ?ケチケチすんじゃねーよ!SNSのやり方教えてやったじゃねーか?」


「どこぞのバカが昼飯に1万も出すんだアホ!ったく…高い授業料だよ!途中から頭に入んなかったじゃねーか!」


「またいつでも授業してやるよ。飯奢ってくれたらな」


「二度と頼むかアホ!」


渡辺は覚えはそんなに悪くない。


だからこそ仕事もいち早く覚え、同期の中でも重要なプロジェクトも任されるまでになった。


なのでSNSの使い方もこの昼飯で大体覚えた。


『同期の小野君にSNSの使い方をご教授頂きました!授業料は少々高く付きましたが…っつうか高過ぎたアホ!とにかくこれからちょくちょく更新していきたいと思います!』


最後に美味しそうに大トロを頬張る小野の間抜け顔をアップした。


定時も近づき、仕事もひと段落したのでSNSを見た。

結構な数の通知が来ている。


昼休みに送った大学の友達や地元の友達の承認完了通知。更には友達申請も結構な数来ていた。昼の投稿にも『いいね』が10件以上ついている。


意外と楽しいな。と思いながらスマホを眺めていた。


「渡辺さん!4番お電話です!」


「わかりました!…もしもし、お電話替わりました渡辺です… はい!」


スマホをポケットにしまい、仕事へと戻った。明日から3月。期末で色々と忙しくなる。

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