第一狂ってる団
表題は巷で流布している別称です。
精鋭無比の超人が集う第一空挺団は千葉県習志野駐屯地に所在します。
旧軍の「空の神兵」こと帝國陸軍挺身隊を前身に持つ部隊で、昭和二十九年に空挺教育隊の第101空挺大隊として組織され、昭和三十三年に第一空挺団へ改組されます。
その活動指針は「確実、機敏、細心、大胆、協同」とされ、運動方針は
・疾きこと風の如く(持久走)
・徐かなること林の如し(射撃)
・侵略すること火の如く(ラグビー)
・動かざること山の如し(柔道)
となっています。
表題の「第一狂ってる団」と言われる所以が以下の出来事です。
・階段を降りるのが面倒なので三階から飛び降りて普通に着地する。お金目当てとの説もあり。
・居酒屋の宴会終了時に、二階の窓から飛び降りて解散。
・スナックで絡んできたヤクザ集団に「空挺団です」と名乗るとヤクザが沈黙する。
・落下傘で降下中、ふとももにナイフが刺さるが、包帯を巻いただけでその後の訓練に元気に参加する。
・落下傘が開かず、東京タワーの高さから、新幹線の速度で雪の上に落下。打撲傷のみで斜面を駆け上がり、部隊に合流して訓練続行。
・訓練中に骨折し、全治数か月と診断されるが二週間後に部隊へ復帰。
・骨を固定したボルトが、骨の硬さに負けて折れる。
・通常の自衛官なら大怪我間違いなしの砲身に尻餅をついて、砲身を曲げるが身体は無傷。
・御殿場演習場の山岳地帯を突っ切る訓練ではパラシュート降下してから、総重量八十キログラムの装備品を携行したまま百キロメートルも起伏の激しい山道を三日三晩進み続け、演習場に集合し、訓練を行う。
踏破のコツは四十五分歩いて、十五分休憩を三日間繰り返すこと。
・64式小銃(約四キログラム)を抱えて長距離を走っている一般部隊の隊員の後ろから カールグスタフ対戦車無反動砲(約十六キログラム)を担いで笑顔で追い抜いていく。もしくは追い掛け回す。
・某戦車部隊が空挺団と対抗演習した際、空挺隊員が笑顔を浮かべながら最低射程ギリギリの超至近距離で対戦車ミサイルをブッ放して来た。
なお空挺団助教のお言葉「お前らは射撃がヘタだからな、飛び道具使う時は確実に当てられる距離まで接近してから、相手の目を見てニッコリ微笑んでからブッ放すのがセオリーなんだよ」を実践しただけ。
・宴会のときに、宴会芸としてチューブに入ったわさびを一気飲みとか、洗剤を飲む。
・昔、駐屯地の酒が飲める隊員クラブの前に池があって、池の中でビール瓶を割ってその上を裸足で歩いて根性試しをしていた。だから今はその池は埋められてしまった。
このような第一空挺団を上回るのが「中央即応集団隷下の特殊作戦群」です。空挺団から十人に一人の合格率と言われています。
ゲリラや他国の特殊部隊による攻撃に対応する日本最強の集団で第一空挺団を中心に各部隊から選抜されますが、ほとんど謎に包まれていますので、現代の忍者だと囁かれています。
隊員は干支忍だとか、特殊な木の実を食べた能力者だとか、万華鏡車輪眼を持っているとか、突然変異の亀などと言われますが、ごく普通の空挺団出身者です。
今年は初の女性隊員も誕生した第一空挺団。
第一空挺団に入隊したいと思った若人の皆さんの為に、訓練生の入隊条件を付記しておきましょう。
【年齢】陸曹:36歳未満、陸士:28歳未満
【体格】身長:161cm以上、体重:49kg以上、胸囲:78.5cm以上
【適性検査】知能・性格・作業素質・職業適性
【体力検定】一般:5級以上、 第1法:各種目最低45点以上、第2法:合計160点以上、空挺式:5種目60点以上
【ほか】正常な血圧、肺活量3200立方cm以上、握力30kg以上、呼吸停止50秒以上など
☆空挺隊員心構え
空挺隊員は、常に世界列強の軍隊に比して、遜色のない精鋭無比な空挺部隊となることを目標とし、実践即応の心構えを持って積極・着実に服務しなくてはならない。
空挺隊員は、事を行うに当たっては、徹底的に実行しなければならない。また、予め周到な思慮を巡らすことに努めなければならない。
空挺隊員は、常に物心両面にわたり、有事即応の態勢を整えておくことを留意しなければならない。
空挺隊員は、困苦欠乏に耐え、堅忍持久の精神を持って不撓不屈、進んで難局に当たる気概を持たなければならない。
空挺隊員は、有事の際、独立し行動することが少なくないので、平素から自律の良習を養うとともに、進んで上司の掌握下に入ることに努めなければならない。下級者としては、復命、復唱及び実行報告を、また上級者としては、実行の確認を励行する事は掌握のための必須条件である。
空挺隊員は、常に服装・身体の清潔等身だしなみを端正にするとともに、毅然たる態度を堅持しなければならない。これがため、毎日朝礼前後に厳正な服装点検を行うことを例とする。
空挺隊員は、常に健康に留意し、体力の練磨・増進を図らなければならない。
空挺隊員は、常に質実剛健の気風を養い、特に生活の節度を保ち、浪費を慎まなければならない。
空挺隊員は、階級・職責を尊重し、礼節を守らなければならない。これがため、時と所を問わず、厳正な敬礼を行わなければならない。
空挺隊員は、特に時間を厳守しなければならない。
空挺隊員は、常に創意工夫につとめ、伝統の護持に光を添えなければならない。
空挺隊員は、その行動を迅速・軽快に行うことを習慣としなければならない。




