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あ
あ 愛 明日 汗 秋 雨 痣 蟻 足 あたし 小豆 後 悪 畦 穴 庵
愛という不可視を思いながら、明日のない明日を思う。風景画に汗をかくのは、自意識が過剰だからであろう、誰も僕を知りはしない見ては居ない。それでも自意識との葛藤に汗をかきながら、歩くのは秋の夕暮れだ。雨が少し降っている。痣がひどい右手の上のほうで、昔砂を掘ったとき、蟻がそこを歩いて慰めてくれた。足は重い。あたし、あなた、君、女、そんな抽象景物に惑わされて、小豆を食べながら、後をついてくる猫を発見する。悪い目をしていて、それが、自分の投影とも知らずに居た。田んぼの畦道に差し掛かり、大きな穴を見つけ入ってみようかと思う子供心が、まだ先の見えない私には早すぎる隠居の私庵の世界風景であるとしても。