02 弧を描く大地1
散々使っているライフルの説明が無いのは仕様です。
衝撃的な開会式から2週間が経過した。
宣言通り拠点への襲撃が時とおり行われ、それを迎撃する内に駿河灘高校の生徒たちはゆっくりと、ただ確実に戦いへ慣れて行った。
VA世界大会に使用されるコロニーは普段居住用に使用されているだけあって、内部には様々な木々による立派な植生が作られている。普段であれば放たれた小動物がうろついているか、居住している住人が遊んでいるかでそれほど大きな音も無い静かな場所だ。
しかし今其処に排気音や機械の駆動音が響き、それから逃げるように10歳位の少年が走る。涙を浮かべ、全身に擦り傷を作る彼は、今自分がどこにいるのかもわからないまま母親を呼び……1分も経たないうちに木の根に躓いて転んでしまう。
直後彼が逃げてきた方向から黒塗りの無人小型マルチコプターが顔を出し、機体の土台になっている円盤部分円周上に配置されたカメラがスライドしてターゲットを捕捉。照射された赤いレーザーポインタが彼の体を撫でる。
少年は咄嗟に飛び上がるように横に跳ねる。直前まで居た位置に発射された滑空砲が轟音と土煙、衝撃波を発し、小さな体は吹き飛ばされて近くの木に激突し倒れこむ。辛うじて気を失わなかった彼はゆっくりと空中を伝って接近してくる無人機に怯え切り、砲口と目が合い全てを諦めたように目を閉じた――がしかしその直後、酷く硬い音が無人機から響きそれは墜落した。
「え……?」
恐る恐る目を開けた彼の瞳に映ったものは、機体に穴をあけて煙を上げる無人機と、その背後からスラスタを吹かしつつ接近するVAの姿。それは少年を一瞥すると、屈んで右腕を伸ばし彼の目の前で掌を開く。
「ヴァリアブル……アーマー?」
『乗って! 早く!』
機体外部に備え付けられたスピーカから聞こえた声に反応して慌てて飛び乗ると、少年を乗せたまま手をコックピットハッチに近づけた。
「わわっ!?」
胴体部分の人間でいえば臍の辺りにある装甲付近から排気音が聞こえると、もっとも外側の装甲が掌に橋を渡すように倒れて、次の装甲が上下にスライドし、最も奥の物が左右に分かれて内部と繋がった。
「こっちに来て」
今度は直接聞こえたその声の主、紫呉は安心させるように笑いかけながら手を差し出している。彼女は催促するように何度か指を曲げた。その手を取り、コックピットに引きずり込まれた少年は操縦席シートの後ろに導かれ、なんとか収まると同時にハッチが閉まる。
「狭くてごめんね、もう大丈夫だから」
そう言う少女は、挙動不審に見回す少年を放置して通信を拠点へ繋ぐ。
「こちら苧環紫呉、保護目標を確保しました」
メインスクリーンにヘッドセットを装着した雪菜が映った。
『こちら神白雪菜、確認しました。そのまま交戦を避けて帰投して下さい』
「分かった、ううん……進路上に敵反応」
レーダーに幾つかの赤点が表示されている。IFFに入力されたライブラリから敵としてOSが判断し画面に反映させているのだ。
『無人機数機程度なら突破を推奨します。それとも救援を呼びますか?』
何事もないように言う雪菜の表情が僅かに鋭くなる。
「突破するよ。念のため拠点の砲台はいつでも撃てるようにしておいて」
『もうしてあるわ……気を付けて』
その言葉で通信が終わる。紫呉は通信機を弄っていた右手をシート右側の操縦装置に嵌めて機体を立ち上がらせると、15mの巨体が膝を伸ばしたにしては小さすぎる振動がコックピットに伝わった。
「た、立った!?」
「少しじっとしていてね、それなりに揺れるよ」
その言葉にきょとんとした表情を見せるも、直後に歩を進めたVAの衝撃に顔を顰める。徐々に加速していき、機体背部のスラスタが点火して地表を滑るように突撃して、レーダーに映った無人機の下へ一気に接近した。
スラスタを点火した上での走行、通称スラスト走行も大きな衝撃を生じている。しかしショックアブソーブ機能によってかなり低減されて伝わっている。もしこの機能が無ければあっという間にパイロットはミンチになっているところだ。
「邪魔っ!!」
右操縦装置を押し込むようにしながらスイッチを押し込むと、VAの右腕が無人機に向かって突き出され、前腕に装着された装備からパイルがガス圧と油圧で高速射出されて敵機に大きな穴を穿つ。間を開けずに突き刺さった杭をパージ。推力を維持できなくなっていた無人機はそのまま墜落して、穴を起点に歪んで爆発を起こす。
「次っ!」
振り上げられた左手に装備されたライフルからマズルフラッシュが5回瞬き、接近していた無人機2機に光線となった弾丸が突き刺さる。初弾は外して、3発が1機に集中して爆発を起こし、1発突き刺さって脆くなったもう1機が誘爆を起こして沈黙し、派手な音と共に墜落した。
「すっ……ごい」
「口開けないで、舌噛むよ!」
思わず上がった声に注意した直後にアラームが鳴り響く。その不快さが小さな男の子に堪えたのかびくりと肩を竦めた。
≪ミサイルアラート≫
「ミサイル!?」
レーダーに無人機よりも高速で飛翔する反応が映し出されると同時に、メインスクリーンにミサイルの接近を示す警告が表示される。右腕を操縦装置から離して、右腕がオートバランスモードになるよう操縦装置近くのスイッチを押しこむ。
この機能を使用すると、OSが姿勢や移動状態からバランスを崩さないように四肢をコントロールしてくれる。最も、回避運動までしてくれるわけではないので頼り過ぎは危険。
次に操縦席の斜め上部に左右1つずつ設置されている、グリップとトリガーが備えられた装置を右側だけ引き摺り下して、メインスクリーンにガンレティクルが表示されるや否やトリガーを引く。VAの背中右側に装備されたショートレンジ散弾砲「JVA-SB11BW」が照準に同期して正面を向き、大量の散弾をまき散らしたことでミサイルの大半が撃墜された。
爆炎に紛れて敵機を見失った瞬間、ミサイルを撃ち尽くした機体が特攻を敢行しようとし――何処からか放たれた砲撃が叩き込まれて爆散する。
「支援砲撃……もう大丈夫かな」
レーダーに敵反応が残っていないことを確認して、いつでも引き金を引けるように指を掛けつつも少し脱力し、一方少年は轟音に慄き固まっていた。
「大丈夫、今のは拠点からの手助けだよ。もうすぐ着くからね」
「う、うん……あの、僕以外に誰かいなかったですか?」
その言葉に一瞬だけ固まる表情。しかし即座に笑顔で返す。
「うーん私は見なかったかなー」
「そうなんだ……」
「友達?」
「うん、あの時からずっと見つからなくって」
あの時という言葉に紫呉の指先がピクリと動く。間違いなく其れは多くの被害を出した開会式のことだ。
「名前、は?」
「――」
少年が答えた名前に表情が強張る。
「あー、うんそういうのは私たちが探してあげるから、危ないことはしないでね? お母さん心配していたよ」
「ごめんなさい」
「いい子、取りあえず拠点に着いたらその友達の特徴を教えてくれるかな?」
こくりと、小さく頷いたことを確認して、事故を起こさないように操縦に集中しようとスクリーンを注視する。
車両の類は通っていないが、砕けたアスファルトや倒壊した建造物等が行く手を阻み、スラスタを全開にして駆け抜けたら、慣れている紫呉はともかく少年はたまったものではないだろう。一応転んでもショックアブソーブ機能が衝撃をキャンセルしてくれるので、彼女はいざとなれば強行突破するつもりだが。
暫く廃墟街を移動して行くと、支援砲撃の発射地点と思われる方向に多数の自動車や廃材を積み上げたバリケードが見えてくる。辛うじてVA一機が通り抜けることのできる隙間を器用に抜けた先には策と雑木林で囲われた複数の建造物が存在している。
正面入り口から入って左手側に建つガレージのシャッターが開いて、紫呉はそこにVAを格納して少年を抱え上げてコックピットから出る。開いたハッチが橋となって足場へと繋がり、階段を降りてコンクリート剥き出しの床に降り立つ。
紫呉は少年を待機していた人に預けて、簡単に機体の損耗チェックをしている仲間へと話しかけた。
「あの子、友達を探しているって言っていたけれど……最後ですよね?」
「ん? ああそうだな、奴等に回収されたんじゃなければ他チームが保護してるか……生体センサには他に誰も引っかからないしな」
短く、雑に切られた刺々しい男性的な髪形の少女が手元の端末に目を落としたまま答える。
開会式から暫くの間、近隣市街地をVAやバス搭載の指揮装備を用いて探索しているが、最至近の中心軸と大地を繋ぐ支柱の間に見つかった人間の反応はもう残っていない。
「さっき、降りる前に友達の名前を聞いたけれど……」
「死亡者名簿に有った、か」
小さく頷いた紫呉の肩をその少女が叩く。慰めるつもりのようだが彼女の顔もまた複雑そうだ。
「気にすんな、お前が悪いんじゃない。悪いのは全部あいつ等だ」
「分かってます、明日香先輩」
「よしじゃあ整備するから換えたいパーツがあったら――」
その時だ、爆発音が立て続けに届く。
「――コックピットに行け! 神白の奴から通信が入る筈だ。メンテナンスは最小限で速攻でやる!」
「了解!」
そうして明日香と呼ばれた少女との会話を終えた紫呉は金網の階段を駆け上がり操縦席に滑り込む。その時頭上の機器類に絡ませて下げている、金盞花を象った首飾りが彼女に触れて大きく揺れた。彼女は揺れを抑えるようにそっとそれを掌で包み込む。
通信をONにするなりスクリーンに雪菜の顔が映る。落ち着いた話肩の彼女にしては珍しく早口で話し始めた。
『紫呉さん今すぐ出撃をお願いいたします! 8番9番支柱の間、一般参加チームの拠点から異常な爆発が発生、状況確認も兼ねて帰投中の仙之さんを先行させました』
「爆発? それ以外の情報はある?」
『長距離望遠で確認した限り、30機以上の無人機とETAPC所属とみられるVAが3機向かっています。観測直後にそれらが一斉に拠点に攻撃を開始したものかと。あそこにはまだ多くの避難民が居る筈です』
「どうしてそんな数が! ここに襲い掛かってきた戦力は最大でもその半分以下なのに」
困惑しつつ紫呉は手早く機体の機能チェックをしていく。コンディションモニタの機体表示がオールグリーンであることを確認し操縦装置に手を掛ける。
「何でそんなことになったか分からないけれど、最速で向かう」
『お願いします。しかし無理はしないでください』
「分かっている……危ないから外と格納庫内の人を下がらせて」
『はい、今アナウンスを掛けます……御無事で』
通信を終了し、右手側にあるスロットルレバーに手を掛けた。これは左右に同じものがあり、どちらかの操縦装置に手を通していても片手で操作できるようになっている。
単純にスラスタを起動して走るだけなら足元のペダルで可能だが、繊細な出力調整や角度調整にはこれによる制御が必須である。
サザンカが装備するリアフレーム(背部パーツ)「EC-R78」にはメインスラスタを搭載するスロットが4つもある。加速度に優れ、最大速度に劣るスラスタ「JVA-ST-09」を装備するにあたって数で欠点を補う組み合わせだ。当然時間単位のエネルギー消費は悪化する。その上排熱効率を上げるために装甲を犠牲にしている。リアフレーム全体の構造上の強度がスラスタ搭載だけで限界に達したためにハードポイントが存在せず、装甲を追加するような措置が採れない極端なパーツだ。
「第1から第4メインスラスタ出力最大、進路上障害物無……門に引っ掛けないように気を付けないと」
そうしている内に周囲から人影が無くなっている事がスクリーンに映る映像で確認できる。そして紫呉は脚部の操縦装置のペダルに足を掛けた。
弾薬補給が終わり、メインモニタに表示している残弾ゲージが全て満タンになる。そしてコックピット内天井のスイッチをONにして、外部スピーカーを起動して叫ぶ。
「全員退避したよね? 苧環紫呉、サザンカ発進します!」
それだけ言うとスピーカーをOFFにしてペダルを勢いよく踏込み、スロットルをハッチ側限界迄押し込んだ。
1面が開いた直方体を形成する推力偏向板4枚が大きく広がり、甲高い音を立てて背中のメインスラスタ4つに光が収束していく。大きくサザンカが右脚を踏み込み、軽く跳ねると同時に轟音と衝撃波が発生して、噴射口から光の帯を生み出しつつ巨人が駆ける。
内側に弧を描く人工の大地をサザンカが昇って行く。
やがて9番支柱迄1キロの所でレーダーに光点が複数浮かぶ。その内1機は水崎仙之の搭乗機「スプリット」だ。
すると残りの無人機の光点が1つ消滅した。
「仙之君が無人機と交戦中か、敵VAは居ない」
左腕を操縦装置から離し、シート左側にあるグリップを引き出す。雑木林に隠れた無人機の位置が、レーダーとFCSの働きによってメインスクリーンに四角い記号として映し出される。
グリップを動かすとスクリーン内に表示された十字が動き、記号と重なったところで弱くトリガーを引き、離す。これを2度行い2機をロックオンしたところでトリガーを完全に引くと左背中のマイクロミサイル「EC-MM01BW」が放たれ撃墜した。
このミサイルは最大6発まで発射できるが、搭載しているFCS「VA-USA-FCS27-2」の最大同時補足数がたった2つなため画面に映し出された機体を殲滅するには至らない。
『サザンカ、紫呉か!』
と、ここで仙之の機体スプリットから通信が入る。
別件で戦闘を行っていた所雪菜から情報を受け取り偵察に出た彼はそのまま戦闘に突入したようだ。
「それを片付けたら戻って補給を受けて。私はこのまま向うの拠点に向かう」
『いや、まだ弾はある。戦力は多い方がいいだろ』
「駄目、私1人で行く」
『……じゃあ紫呉が施設正面から突撃、俺が外周を回って無人機の殲滅だそれなら邪魔にならない、そうだろ?』
「分かった、でも近くで闘わないで」
『あれはお前のせいじゃないって』
続けて無人機にミサイルを放ちつつ会話をしていたが、最後に仙之が発した言葉で紫呉の顔が歪む。それを最後まで聞きたくなかったのか途中で通信を切断し、煙を上げる一般チーム拠点へ向かった。
駿河灘高校の面々が使用する拠点と同じように、2つの支柱で挟まれたちょうど中間にその拠点がある。其処に近付くにつれて煙や爆発音、そして人の悲鳴らしき不穏な要素が大きく増加していく。
「くそっ」
拠点施設の一部が瓦礫となっていることが視認できたところで、周辺の物陰からやってきた無人機がサザンカを包囲する。それらが移動してきた進路上には人体のパーツらしきものが散乱していた。
「まさかこいつらっ!」
何が起こったか把握して怒りに染まった声を上げつつ、ミサイルで遠い2機を落して至近の1機をライフルでハチの巣にする。最後に別角度の遠距離に居たものに合わせてスラスタ噴射角度を偏向した。4つあるメインスラスタ搭載部の内、縦長に配置されている場所のスラスタを可能な限り真横に向け、急速接近してパイルバンカーを叩き込む。
周囲が静かになって、改めて周囲を観察すると死体しかない。
瓦礫の隙間から飛び出る半分に割れた頭。小枝のように転がる人の脚。胴体を何かの金属片が貫いて大地に縫い付けられた女性と、その子供らしき血塗れの死体。
挙句の果てにはここのチームが使用していたと思われるVAが大破して沈黙している。
「これじゃあ生き残りは……」
絶望的な状況に見限って撤退するべきか考え始める紫呉だったが、レーダーにVAの反応が新たに3機現れたことで気を持ち直す。
「確認されたETAPCのVA、捕虜にしたいけど1対3は……」
情報を得るため敵VAパイロットを捕まえたいが、突撃癖があると仲間に言われる紫呉でも流石に尻込みする。
しかしここでサザンカにスプリットからメールが着信した。
≪TO:サザンカ
敵VA1機と交戦
バス、生存者確認≫
「じゃああれはここの機体!?」
生き残りが居て、まだ戦闘を継続していることに驚きつつ、その状況が非常に拙いことから全力で突撃を開始した。
「クソッタレ!」
2機のVAから放たれる銃撃を、両肩両前腕及びリアフレームのハードポイントに計6つもシールドを搭載した1機のVAが耐えている。その機体は砂砂漠向きの迷彩塗装を施され、コア背中側ハードポイントに搭載した狙撃砲「RVA-LC05BW」というロシア製の武装と、手持ち武器である狙撃銃「RVA-K-SRF41HW」をシンメトリーになるよう装備している。
どこからどう見ても長距離で削る武装のその機体は、これまで接近する敵部隊を撃墜し続けていたが処理能力を大きく超えてしまい接近戦を強いられている。
6枚の盾が敵機の放つ攻撃を弾いているが、稀に隙間を通って直撃をもらう。強力な追加装甲もそのものよりハードポイントとの接続部が痛み始め、肩とリアフレームに搭載した物はぐらついている。
「勢いとは言え折角助けたんだ、こいつだけでもと行きたいが」
毒づきながらパイロットであるサングラスをしたスキンヘッドの男が一瞬視線をシート後ろに向ける。
パイロットシートの後ろには機材を増設したり非常食等を積載するスペースがある。そして其処には柔かく先端がカールしたショートボブの少女が体を丸めて収まっていた。
「あたしは、大丈夫……です。気にしないで」
とても大丈夫には見えない憔悴した様子の少女は、濁った眼でスクリーンを見つめている。
「そう言われると頑張りたくなっちまうな! オジサン捻くれ者だからよ!」
徐々に距離を詰めてきていた敵機に片の盾を押し付けるようにしてタックルをかます。それで視界が塞がった隙をついて相手が右手に握っていたライフルを狙撃砲で破砕した。それだけでは済まず、勢いの残った砲弾は地面を抉り、弾き飛ばして即席の煙幕となる。
「今の内だな」
少しでも距離を取ろうとスラスタを吹かせたところで。
≪ヴァリアブルアーマー接近≫
と、警告文がメインスクリーン右上に表示され、レーダーに異様な速度で接近する光点が表示された。
「新手だと!? 速過ぎる!」
男が迎撃態勢を取る間も無く、木々の合間から爆風を噴き上げて突撃してきた白と赤のVA。
「コイツは……」
その機体は、勢いのままETAPCのエンブレムが大きく肩に描かれたVAのコックピットハッチ付近をバンカーで破壊した。即座に散弾砲を腹部に撃ち込み、恐らくはパイロットを潰したことでその敵機は沈黙する。
「サザンカ?」
押し込まれた少女がその名を呟く。両機体に通信が繋がっていない以上それに乗る紫呉は応えることなく、もう1機に向かって駆けて行った。