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I am HARU////…


…。


涼は五方星の上に立っていた。

人の笑い声、話し声、靴をならす音が聞こえる。

涼は人が行き交う道の真ん中にいた。

見たことのない服を着た人々が涼の横をすれ違って行く。

どいつもこいつも変な格好をしてやがる。


黒い長いローブを着た女の子が帽子屋で尖がった、見るからに魔女の被るセンスの悪い帽子を試着しているし、黒と白の修道僧みたいな服に十字架に眼鏡、分厚い本を持った男が普通に歩いている。

まるでコスプレの市場に紛れこんだみたいだ。

頭にターバンを巻きマントをひるがしている少年がパン屋らしきところでパンを買っているさまを見て涼はおもわず噴き出した。


ドラクエかよ!!!


「おい!貴様!!」と少年が涼に声をかけた。


「今、俺をみて笑っただろ?」頭にターバンをつけたドラクエの主人公のような少年が声を荒げた。


「だって…お前その格好…」お腹を抱えて涼が笑うと男は自分の格好を見て言う。


「どこが変なんだ?お前だって同じ様な格好しているだろ?」

え?


そう言われて一気に笑いが冷めた。

自分も同じ様な格好をしていたからだ。なんてダサい格好なのだろう…。

ボロボロの雑巾の様な布を纏ったその姿は目の前にいる男の何倍も酷かった。


腰に申し訳なさそうに刺さっている剣の刃は錆びていて使い物にならなそうだ。


初期装備…これですか…涼はため息をついた。

これなら初心者キャンペーン中入れば良かったなぁ…そうすれば最初から良い装備が貰えただろうに…いまさらそう思ってももう遅い。


とりあえず、モンスターでも狩ってまともな装備を手に入れなければと思い歩きだそうとして立ち止まった。


なぜ、スタート地点がここなんだ?こんな人通りの多い場所からスタートするなんて…ゲームにしては少し変だ。ここはどう見ても建物の中だ。でも城みたいな雰囲気はない。



建物…??


涼は後ろを振り返った。

大きなガラス張りの窓の向こうに宇宙空間が広がっていた。

でもそれは明らかにおかしい。その宇宙空間の下に山が連なっていた。それは蒼い空の下ではない。瞬く星達の下に照らされていた。見渡す限りの星…だがそれはただ煌めいているわけではない。星の図形が天空で瞬いているのだった。

しかもファンキーなほど色とりどりに…。



「あれが…」と女の声がした。

目の前にケビーが現れる。


「ステージです」


「ステージ??」


「はい。ここあるステージをクリアして行くと約束の地へでることが出来ます」


「約束の地?」


淡々と彼女は続けた。まるできめられた台本を呼んでいるかのごとく。

「約束の地。それは遥か昔15の種族の王になるべきものだけが訪れることを許された土地。この世界を統べるものだけが行きつくことの出来る約束された土地でございます。そこにはしがらみも戦争も憎しみも死もない。全ての願いが叶う場所。それが約束の地でございます」


ああ、よくゲームで聞く内容の話だ。

とか言ってまだ制作途中なのだろう?と思いながら涼は聞いていた。


ケビーの赤い唇が一瞬つり上がったように思えた。

次の瞬間彼女はこう言い放った。

「友達を探しだすことも可能ですよ?」


「友達!?お前…晴のことを知っているのか!?」


しかし、その質問にケビーは涼に目線を合わせることもせず、まるで機械のようにまた淡々と話し始めた。

まるで何もなかったかのように…。


俺の空耳か…??


「この街は最初の村。なんでも揃う商業都市カラス。必要な物を買い求め、旅に出られることをおすすめいたします。貴方の旅のお供を紹介いたしましょう」とケビーが言うとケビーは右手を高く上げて手を開いた。


どこからか音楽が流れ開いた手の中から上がった小さな火の子が弾け飛んだ。

ケビーの手から何かが飛び出し、涼の肩に止まる。


「トプラという種族です。」ケビーはそう言った。


「彼女がこれから先、この世界を私に変わって案内します。さぁ、名前を付けてあげて下さい」


トプラという種族は妖精の様な姿をしていた。耳は尖り、目は大きく、長い髪は絹糸のよう顔は愛でたくなるほど可愛い。こんな子が彼女だったら俺ゲームなんてしてないだろうなーと思ってしまうほどだ。

薄い華のような綺麗なドレスを身に纏ったトプラの背からはその小さく可愛らしい体には似つかないドラゴンのようなごっつい羽根が付いている。良く見れば額にも小さな角がある。でもそんなことどうでもいいくらい彼女は可愛いかった。


小さな声でトプラは遠慮するように涼に尋ねた。

「ご主人様。私にお名前を…くださいますか??」涼の顔を上目づかいでおずおずと見つめてくる。


ああー性格までマジタイプだ…。


「ご主人さまぁ?」とトプラに聞かれて涼は咄嗟に言った。


「ハルだ!お前はハル!!」


「ハルですか!!」と彼女は嬉しそうに飛び回りその名を噛みしめた。


そう口走ってからしまったあああ!!と思ったがもう遅い。なんで俺、男友達の名前をこんな可愛い子につけるなんて…俺はなんて馬鹿なんだ!!!!

あいつのこと考えていたから混乱して、つい晴と答えてしまった。


だが、名前を貰って喜んでいるハルを目の前に訂正するのは気が引けた。

まぁ、いいか。と新しく仲間になったトプラの嬉しそうな姿を見つめた。



I am HARU ////// Loading…///////

トプラさん皆の好きなタイプに姿で産まれてくるよ―イケメンがいいなぁーイケメン(o´艸`)!!!←(笑)

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