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「皆さん。こんにちはようこそ。FLATへ。」とケビーの声が銀色の部屋に響く。
無表情な顔にとってつけたような赤い口紅と赤いまっすぐな髪。
一風変わって見えるが未来型のゲームなのだからなんの違和感もない。
「FLATには15の種族と17の職業があります。」
うおお!すげー!!15の種族と17の職業!?
ここまで多い種族や職業を選べるゲームはそうそうない。
「でわ、皆さまの右側に出現する柱に手をかざしてください」
涼の右側に突然青い柱のホログラムが出現する。
おおーっ!!という驚きの声が部屋に全体に響く。
手をかざすとそれは青く光輝き、そして人型の3D映像を映し出した。
その人型は自分の姿だった。
「なお、種族と職業を選ぶとやり直しはできませんので慎重にお選びになってください。また、ここでゲームを止める方がいらっしゃりましたら名乗り出てください」とケビーは感情のない声でそう言った。
その言葉に誰も手をあげるものはいない。
ゲームのスタートボタンを押してこんな得体の知らない場所に来たとしても未来型のゲームなのだから誰も不思議がらないしせっかくダウンロードに時間を費やしここで買える者もそうそういない。
しばらく時間をおくと彼女がまたしゃべりだした。
「柱にある画面を選択して種族と職業。それに性別、外見などを自由に選択してください。その姿がゲーム内での貴方の姿になります。選択が終わりましたら決定ボタンを押して私の所にいらしてください」
タブレットのような画面にはズラリと種族名が並ぶ。
ヒューマン 詳細
エルフ 詳細
ネクロマンサー 詳細
ハイエルフ 詳細
…
種族の隣にある詳細画面を開くとその種族の特徴が書いてある。
ヒューマン :バランス型ではあるが上級者向け。古くからこの国に住みついている種族で他の種族と仲が良い。
エルフ :特攻型。初心者向け。300年前に突然天界より現れた高貴な種族。他の種族との仲はそれほどよくない。
ネクロマンサー:防御型。上級者向け。魔術師との相性は抜群。60年前に死の世界から現れたまだ新しい種族。
…
まぁ、いちおう読んだけど…ここはヒューマンを選択しとけば間違いない!
直観で涼はヒューマンを選択した。
次の画面が現れる。
職業を選択してください。
・剣士 剣で相手を圧倒!
・弓士 弓で敵を射れ!
・槍士 槍で突き進め!!
・魔術師 魔法で惑わせ!
あれ?4つ??
17職業じゃなかったっけ?
ってか、説明超―雑!!
ここは剣士…と。
画面がまた変わる。
はい!出ました!!このパターン!!
剣士の中にも色々ありますってパターンね、納得し頷きながら画面を見た。
剣術士 詳細
双剣士 詳細
暗黒剣士 詳細
大斬剣士 詳細
魔獣剣士 詳細
これは詳細がいらなかった。
ゲーマーならこの辺の種族は手にとるように分かる。
それにさっきの説明が雑すぎて見る気が起きなくなっていた。
ここは…剣術師!!
迷わずに涼は剣術師を選択して黒髪に黒瞳のごく普通の男で名前はもちろん涼にした。
最後の選択肢を見て涼は首をひねる。
年齢を入れてください。
__歳
…年齢??
なんだ?このゲーム…ちょっとリアルすぎないか?と思いつつ年齢を入れる。
なぜ疑問の湧いたその時点で手を止めなかったのか、あとで後悔することになるとは思ってもみなかった。
20歳…っと。
ちょっと大人びた年齢設定にしてドキドキしながら画面の下にある決定ボタンを押す。
最後の質問です。
この設定でいいですか?
はい。
画面が変わる。
―これが本当に最後の質問です。
この設定でいいんですね??
はい。
―これが本当に本当に最後の質問です。
この設定本当にいいんですか??(やり直しは効きません)
はい。 いいえ。
しっこい!!!!
ってか、3段階!?
最後ダメ押しみたいな聞き方やめて!
いいんですか?って…はい。押してんじゃん!!
涼はイライラしながら3回目のはい。を選択した。
画面が変わってタブレットに赤い文字が現れる。
FLATへ、ようこそ。
初期設定が完了いたしました。
このゲームはゲームとは思えない一体感が味わえます。
このままFLATの世界へ入ると設定した通りのキャラへ貴方は生まれ変わります。
よろしければケビーの元へ行き入国の手続きを済ましてください。
手続きは画面をタッチしゲートを開くだけです。
でわ、良い旅を♪
♪が何気に点滅しているとこが何気にウザい…。
涼はケビーの前に行った。
他の参加者はまだ選択をしているようで涼が一番乗りだった。
ケビーがこちらを向く。
「涼さんですね。こちらのスタイルでお間違えありませんでしょうか?」彼女は涼の設定した姿を3Dにして目の前にだした。
「種族はヒューマン。職業は剣士。性別男。20歳。間違いがなければ私の前の赤いボタンを押してください。」
涼の前に赤いボタンが現れる。
涼はそのボタンを押した。
ケビーの隣にゲートが現れた。
「でわ、こちらのゲートからFLATにお入りください。よい旅を」と彼女は初めて深く礼をした。
涼は期待に胸を膨らませながら銀色に光るゲートに足を踏み入れた。
さぁ、Now Loading…
すんごいひさしぶりな投稿…(笑)。