表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界クエスト  作者: 太郎
異世界クエスト上
9/95

第8話-ステータスぽろり

おじさんは固まっている。

へんじがない。まるでしかばねのようだ。


いや、ちゃんと生きてますけどね。

固まったままのおじさんに魔導機を見せてもらう。


そこには……



■■■■■■■■■■■■■■■■■■

名前 エイジ・ニューフィールド (へたれ)

職業 【ヘンタイみならい】

装備 皮のよろい

   皮のブーツ

   ???の剣

   やせいのパンツ

■■■■■■■■■■■■■■■■■■



こんな風に俺のステータスが表示されていた。


えっ、既にお前ら知ってんの?

なにそれ、こわい。


俺は一人で納得した。

おじさんが固まった原因はおそらくこれだ。

これを見た今、俺にはやましいことがあったのだと気づく。

そして反省した。




状態異常 へたれ

職業 【ヘンタイみならい】




やましいにもほどがある。


きっとおじさんは、俺の本性を見抜いていたのだ。

だから、あれほど【アナライズ】を警告したのだ。


悔い改めた俺は、町の方へに歩き出す。


去ろう。


俺に人を救う資格は無い。


明日はせめてアイテムショップのお姉さんに土下座し、

この不名誉な称号を返上しよう。



力なく歩き出す。

哀愁漂う俺の背中。


しかし、不意に後ろに引っ張られた。


おじさんは、俺を睨む。



「逃がさない、逃がさないよ!」



ガシッと俺の手をつかんで離さない。

やばい。

逮捕(パク)られる。


おじさんは、俺を凄い勢いで引っ張り出した。

グングングン、あの細い腕のどこに、これほどの力があるのか?

弁解もできず、ただ道を進む俺とおじさん。

終始無言。

大変気まずい。



そして……ついた先は……



……警察ではなく、冒険者ギルドだった。



やっと正気に戻ったおじさんが語る。



「すまない。つい夢中になってしまった。

 突然で悪いが、あの申出は今も変わらないかい?」



俺が、冒険者ギルドに入る話だろうか?

まぁギルドまでくれば、それしかない。



「えぇ。まぁ……」



よし、とおじさんは拳を握る。



「それなら、次は能力測定だ」



ガチャリ



鍵を開け、ギルドに入る。

灯をつけ部屋を明るくする。

蛍光灯なみに明るい光源。

灯がどんな仕組みかも気になるが、他のものに目を奪われた。


木製のテーブル。無骨な骨組みのカウンター。

雑多な書類と、壁一面に貼られたクエストの張り紙。

ここはまさに、ゲームの中の典型的な冒険ギルドそのものだ。

すごく冒険心をくすぐる。



「来なさい」



カウンターを過ぎ去り、裏口のドアを開ける。

あれ、手続きしないの?

あぁ、なるほど、裏口入ギルね。

その裏口のドアの向こうで、どんな不正な取引をする気だ。

切羽詰まって、初心者の俺を入れる気になったのだ。

大方、不名誉な称号をばらされたくなかったら……とかだろう。

……信じてたのに、見損ったよ、おじさん。


しかし、予想は外れた。

またも灯をつけると……

そこは、スポーツジムの様な部屋だった。



「あの、ここって……?」



質問してみる。

おじさんは部屋の周りの機材の整備をしながら答える。



「ここは、冒険者の能力を測る場所でね。

 いまから測定をしてもらう」



なるほど、魔導機では強さは表示されなかった。

ここの機材を使って測定するのか。

裏口のくせに、変に律義だ。


まぁ、いいや。

どうせ、異世界に来たばかりの俺のレベルは1か2だろう。

攻撃力なんかもきっと微々たるもんだ。

個人的にも、能力の数値化には興味がある。



「わかりました。どれからやりますか?」



おじさんは指差す。



「まずは攻撃力だ」



その先には、鎧をまとったダミー人形。

ところどころ古びてはいる。

しかし、年季の割にはへこんだり、傷ついたりはしていない。



「装飾は無いが、その鎧はオリハルゴン製だ。

 出来れば、実際の武器で、それに打ち込んでくれ」



っても、おれには錆びた剣しかない。


オリハルゴンと言えば、

ファンタジーでよく見る最高の鉱石素材だ。

人形の着た鎧を見ても、

かなりの硬度があるのではないか。



「……わかりました」



俺は人形の前に移動し、剣を抜いた。


そして、思い切って打ち込む。



「なん……だと……」



繰り返すことに意義がある古のオサレ漫画の

名台詞を吐きながら、おじさんは再び固まった。




■■■■■■■■■■■■■■■■■■

名前 エイジ・ニューフィールド (へたれ)

職業 

   略

装備 

   略

強さ

   レベル  42 ←NEW!

   生命力  420

   攻撃力 2920

   守備力  420

   魔法力  420

   素早さ  420

スキル

   略

ゴミ箱         

   略

持ち物

   略

■■■■■■■■■■■■■■■■■■

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ