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異世界クエスト  作者: 太郎
異世界クエスト中
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87/95

第79話-勘違いドワフィリア編

7月2日 火の日 PM12:05



「ネット様……」


「いえ、心配には及ばないわ。

 もう取り乱したりは致しません。

 さぁ、参りましょう」



ここは【ドワフィリア】の町。


職人街のあまり広くない街道を、

ネットと初老の側近の男を乗せた

一台の馬車が走っていく。


目的地は、アルバトロス邸。

【ドワフィリア】で、ネットやダンクが

一番、縁のある場所である。



「私も焦りすぎでした。

 ノーレッジが生きているのなら、

 50年という年月に混乱するのは明白。

 取り乱し、錯乱するのもやむを得ないこと。

【グランアルプ】での出来事は、その結果なのです」



ネットは、馬車の中で独り言のように呟いた。



「左様でございますか……」



側近の男が相槌を打つ。



「えぇ。

 きっと【ドワフィリア】に向かったということは、

 魔石商のバディに会いに行ったに違いありません。

【グランアルプ】から最も近い【ドワフィリア】を

 選ぶあたり、ノーレッジも持ち前の冷静さを

 取り戻したということでしょう。」


「はっ。

 ……あるいは、その様な事も」



あれから、ノーレッジに似た男が、

【ドワフィリア】に行ったという噂を聞いたネットは、

大至急、移転術の使える召喚士を雇い、

【グランアルプ】から【ドワフィリア】へと飛んだ。


移転術が使える様な、優秀な召喚士は少ない。

手配するのには、時間がかかった。


孫にこちらから連絡する手段があれば

進んで力になってくれたはずだが、

魔導師であるネットには移転術は使えない。


1日という時間は、やむを得ないタイムロスだった。



「……しかし、グランアルプでの噂を聞く限り、

 いくら錯乱したとはいえ、

 わたくしには、その男の行動が

 あの気高いノーレッジ様の行動であるとは

 思えないのですが……」



生存説に懐疑的な側近の男は、

再び、ネットに疑問をぶつける。

ネットは、馬車に揺られながら、その疑問に答えた。



「私とて、ノーレッジ……

 いえ、ここはあえてダンクと呼びましょう」



ネットは、落ち着いた様子で話す。



「あのダンクが、あの様な行いをしたとは

 思えません。

 ですが……あの様な行いも、

 何かの作戦や芝居ということもあります」


「作戦……でございますか?」


「えぇ。そうです。

 彼と冒険していた時も、

 ダンクは思いもよらぬ方法で窮地を

 切り抜けることがありました」


「しかし……

 あのように暴力的で破廉恥に

 振舞うことが作戦とは……」


「……そうですね。

 そう思うのは無理があるかもしれません。

 ですが、もし誰かに操られていたら?

 何かの魔法の影響なら?」



落ち着いてはいるが、言葉からは

ネットの必死さがにじみ出ている。



「……姿を見てしまった私には、

 どんなに破廉恥でも……

 どんなに無様でも……

 彼の、ダンクの生存を否定すること

 などできないのです……」



それだけ言うと、ネットは、悲しそうに俯いた。

態度で、これ以上の問答をする気が無いことを示したのだ。


側近の男も、それを見て口を噤む。

ガタガタと、小さな馬車の音だけが聞こえる。

そのまま静寂が訪れようという時、

ふいに馬車の外から、声が聞こえた。



「ネット様、お耳に入れたいことが……!」



側近が窓からのぞくと、馬に乗った女エルフの使者が

先回りして調べていた情報をまとめ馬車に並走していた。


新米、と言うほどではないが、

まだ若いエルフの女性だ。



「馬車の速度を緩めよ」



側近の男がそう命じると、

馬車は速度を緩め、それに合わせて

使者も馬の足並みをそろえた。



「馬上にて、失礼いたします」



はつらつとした女使者の声が響く。

凛と透き通る乙女の声。



「構いません。

 報告を話して下さい」



使者はネットに一言断ると、報告を続けた。



「はっ、ご報告させていただきます。

 手配書に描かれた、似顔絵の男ですが、

 やはり【ドワフィリア】に来ているのは

 間違いがないかと……」


「……やはり!

 それでその男、

 ノーレッジはどこに!?」


「それが、目撃情報によりますと

 アルバトロス邸へと

 向かったとのこと。

 ですが……」



アルバトロス邸に向かった?

やはり自分の予想は当たっていた!

きっと、ダンクは元に戻ったのだ!


どうやら、今度の情報は信頼できそうだ、と

ネットは、はやる気持ちを抑えつつ、

使者に続きを話すように促す。


しかし、何か支障があるのか、

使者は何か言いづらそうに口ごもっている。



「ですが……その……

 なぜか、一緒に3人の少女が

 同行していたそうなのです」


「少女……ですか?

 まぁ、道でも尋ねていたのでしょう。

 それで……?」


「それで……

 その……

 なんでも、屋敷の庭の付近から

 その少女らのとても破廉恥な声が……

 その……会話というのが……

 私の口からはとても……」


若い女の使者は真っ赤になって

俯いてしまった。


……あぁ、とネットは憂鬱になる。

また、この手の情報なのか……

しかし、貴重なダンクの情報。

聞き逃すわけにはいかない。



「続けてください。

 あなたも訓練を受けたエルフの使者でしょう。

 手厳しいかもしれませんが、

 はっきりと、そして正確に。

 調べたことを報告してください」



女使者は、真っ赤な顔をより一層赤くする。

そして、覚悟を決めて、大きな声で報告した。



「か、会話の内容はこうであります!


 あぁ!立った!立っちゃったっ!

 ……これ……ちんちん?

 だめっ!……やっぱり……大きいっ!

 あぁ、出ちゃう!出ちゃうよ!」



……エルフの女使者は涙目である。

ふるふると震えながら手綱をぎゅっと握りしめている。


唖然とするドワフィリアの町人。

静まり返るドワーフの職人たち。


その場を取り繕おうと、

側近の男が、すかさず文句を言った。



「な、なんたる破廉恥!

 まさか、庭先で、3人の少女とアオ……

 羨ま……もとい!

 けっ、けしからんですな!

 ねぇ! ネット様!」



……しかし、ネットの反応はない。



「あれ?……ネット……様?

 ……あぁ! ネット様!?

 たっ、大変だ! 白目をむいて気絶しておられるぞ!

 おい! おい!

 あぁ、意識が無い!

 だれかアイテムを! はやくアイテムをー!」





早くも難航を極めるドワフィリアでの捜索。

そして、しばらくの後、ドワーフの職人たちの間で、

こんな噂が立った。



これも時代か……

あの堅物どもがこうも変わるとは……

……エルフの間では、いま、淫語ぷれいが流行っている、と。







ノーレッジ・ニューフィールド捜索報告②


救世の英雄ノーレッジは、奇跡の復活を遂げたようだが、

その反動で……


■■■■■■■■■■■■■■■■■■

①3人の少女をはべらせて……

②野外で……

③にゃん、にゃん、にゃん! 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■





もう少し、もう少しで遭遇!



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