第71話－王都の女騎士団長 中
キツそうな目つき、キッチリと中分けされた金髪。
ぽってりとした厚めの唇に、
おうとつに富んだ身体と、ふくよかな胸。
清楚な白のシャツ、青いスカート。
脚線美を示す灰色のタイトなレギンス。
そして、キャリアウーマンのかけていそうな、
ノンフレームの眼鏡。
そんな、どこぞの美人秘書の様なお姉様が、
測定室のドアの前に仁王立ちし、俺を睨んでいた。
えっ？なに？
なんで俺、怒られてんの？
何の前触れもない突然の叱責。
何も悪いことはしていないはずだ。
唐突な出来事に、俺は困惑を隠せない。
思わず剣の構えを解いて、呆然とお姉様の方を向いてしまう。
「おい！聞いているのか？
ここで何をしていたと問うている！」
しかし、俺の戸惑いを余所に、お姉様は、
厳しい女教師の様にツカツカと歩み寄ってきた。
歩く度にヒールの靴音が、測定室に反響する。
「今日は闇の日、ギルドは休業日のはず。
何用でここに入った！さぁ言え！」
お姉様は、ものすごい剣幕で、俺に迫ってくる。
あっ、そうか！
全然来てないし、最初に来た時も夜だったから忘れていたが、
闇の日は、ギルドは休業日だ。
どおりで、誰もいないし静かなわけだ。
俺は、自分が不審者に間違えられている事に気がつき、
慌てて弁解を講じた。
「い、いや、怪しいものじゃない！
俺は、Ｓランクの冒険者だ！
今日が休業日なのを忘れて、測定に来てしまった！」
お姉様は、ずいぶん上から目線だが、きっとギルドの職員だ。
俺がＳランクの冒険者だと分かれば、誤解も解け、
態度も変わるはずだ。
「貴様の様な、青二才がＳランクの冒険者だと？
ハッ！信用できんな！」
しかし、俺の目論見は見事に外れた。
お姉様の態度は変らぬままだ。
俺の弁明はなおも続く。
「嘘じゃない。
【アナライズ】すればわかるだろ！？」
「あいにく、魔導機は持っていないのでな
自分で【アナライズ】することも出来ん」
なんだ？ 魔導機を持ってない？
マネージャーじゃないギルド職員なのか？
「でも、本当に冒険者だ。
ギルドの書類でも何でも確認してくれ」
「フン、貴様ごときのために、
そんな労力をかけてたまるか！」
お姉様は、愚にもつかないと言った様子で、
俺の弁明を一蹴する。
と言うか、労力かけたくないって……
休業日とは言え、凄い理由だな。
お姉様は、人差指で眼鏡を上げると、
俺の全身を検分するかのような視線でねめまわした。
「まぁ、しかし……
身なりからして、冒険者であることはだけは信じてやろう。
こんな場所に、コソ泥が入る意味は乏しいからな。
大方、人にステータスを見られるのが恥ずかしい、
初心冒険者であろう？」
人を小馬鹿にした様な態度で、
お姉様が俺を見下す。
あれ、なにその態度。
なんかちょっとイラッとするなー
「まぁ？ 弱いことは恥ずべきことではない。
今回は、特別に見逃してやるから、
さっさと測定でも何でもするがいい」
どうやら、このお姉様はドＳの様だ。
高飛車な態度が、いちいち鼻につく。
あーダメだー
ちょっと、ビックリさせてやるか。
言いたいことを言って帰ろうとするお姉様。
俺は、声をかけ、それを引きとめる。
「いやー
すみませんねー
そうなんですよ、実は俺、しがない冒険者でして。
でも、不審者１人を残すのもマズイんじゃないですか？
お姉さん、せっかくだから測定に付き合って下さいよ！」
俺は、わざと下手に出て、
お姉様を測定を手伝わせるように仕向ける。
ここは一発、チート剣の効果で
ダミー人形をぶっ壊し、鼻を明かしてやろうという作戦だ。
俺に引きとめられたお姉様は、
少し考えた後、ヤレヤレと言った様子で、
大きなため息とともに、こちらに戻って来た。
「仕方が無い、さっさと済ませろ！」
不機嫌そうに、用意をするお姉様。
ふふっ、勝ったな。
測定結果を見て驚け！
「じゃー
宜しくお願いしまーす！」
俺は、荷物をお姉様に預けると、
腰の天空剣を抜き、オリハルゴン製のダミー人形目掛けて、
大きく振りかぶった！
いくぞ！
どーん！
「なん……だと……」
最近聞かなくなったオサレ漫画の台詞を吐きながら、お姉様が固まった。
そして、今回は俺も……
「あっ、やべ。
建物、吹っ飛んじゃった……」
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名前 エイジ・ニューフィールド
職業
略
装備
略
強さ
レベル ５３ ←NEW！
生命力 ５３０
攻撃力 ３０３０
守備力 ５３０
魔法力 ５３０
素早さ ５３０
スキル
略
ゴミ箱
略
持ち物
略
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