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異世界クエスト  作者: 太郎
異世界クエスト中
62/95

第54話-水の神殿4-またかよ!?

静寂の中、俺はゆっくりと立ち上がると、

僅かなポーションが滴る瓶を拾い、

バレーの方に向かった。


……そして




はい、バレー、これ飲んで―


「にゃーん!」


はい、次、これ食って―


シャキーン!


はーい! 完全回復でーす!




「あれ!?

 なんで、お前ら回復してんだよ!?

 あたいも、ちょっと元気になってるし!?

 オイ! アホ面!

 あたいに、さっき何かしただろ!?」


「んー? 知らないよー?」



バレーが狐に化かされた様な顔で戸惑っている。

俺は、適当に口笛を吹いて誤魔化す。


そう! この状況で皆が助かるには!?


【生命のブレス】!

これでしょう!


微量のポーションで、軽傷のバレーを癒し!

バレーの【生命のブレス】で、重症の俺たちを治す!

酔ったバレーは『覚醒草』で戻す!


薬草も何も無い状況で、

MPマックスの僧侶がいたら?

そりゃーホ○ミ使いますよね!?




完全回復したクロルは、

俺の行動に気づいた様だ。



「乙女の唇をなんだと思ってるんすか!?

 愛が! 愛がないっす!」



いや、仕方ないでしょ?

背に腹は代えられぬ。

愛でおなかはふくれないのよ。


大丈夫。

ちゅーしたのは、クロルだけだ。

俺は、はぁーっと息を吹いてもらっただけ。

その方が変態ぽかったけど。



「エイジっち……

 まじで外道っす……」



はい! いつものドン引きです!

【紳士】になってから、

だんだん、動じなくなりました。

たぶん、もう末期なんだと思います!




こうして、とりあえず、パーティは回復した。

だが、外に出れば、また『アクア・クラーケン』の餌食だ。


俺たちは、休憩がてら、

今後の方針を決めることにした。



「クラーケン型の魔物には、

 夜行性の魔物が多い。

 『アクア・クラーケン』も、

 夜になれば、さらに凶暴になるだろねー」



バレーが、モンスターの情報を話す。

なるほど、夜の方が危険なのか。



「じゃあ、今から帰るか?」



俺は、調査の切り上げを提案する。

無理に神殿に入ることもないだろう。

まだ昼ぐらいだし。



「それはダメっす!

 どのみち、外には

 『アクア・クラーケン』が居るっす!」



確かに。

『アクア・クラーケン』が暴れている原因が分かれば、

安全な帰路と『巨大魔物の調査』のクエスト終了が約束される。

もはや、乗りかかった船と言う奴だ。



「結局、神殿を進んで原因を調査し、

 どこかで休憩して夜を明かしてから、

 船に戻るのが一番みたいだねー」



バレーが結論を出した。

皆、それに異存は無かった。


こうして、俺たちは神殿を進むことにした。






『水の神殿』は思ったよりも複雑で、移動には時間がかかった。

しかし、通路の脇にかなり大きい水路があったため、

クロルの移動は楽だった。


おそらく、通常ならば、この水路を利用して、

『アクア・クラーケン』が襲いかかってくる

仕組みなのだろう。


だが、今はそんな気配は無い。


結構歩いた感じはするが。

まだ、ダンジョンとしての階層は浅い。


この程度の階ではモンスターも特に出ず退屈なので、

道すがら、3人で雑談をした。



「しかし、クロル。

 『身代わり人形』って、

 どんなアイテムだったんだ?」



俺たちは、あのアイテムのおかげで難を逃れた。

『アクア・クラーケン』が標的を代えたのは、

なぜだったのだろう?



「あー!

 あれはっすねー!」



と、クロルが説明を始めた。



「自分の身体の一部を入れることで、

 敵の注意を人形に移すことができるっす!

 もちろん。人形へのダメージが、

 こっちに来ることも無いっすよ!」



へー。 

それで注意を逸らしたから助かったのか。

今襲ってこないのも、まだ『身代わり人形』が

効いているからだろう。



「これは、『呪いの人形』のシステムを

 逆に応用したものなんすよ!」



つまり、呪いの人形の場合は、

丑の刻参りの藁人形のように、

相手の身体の一部を入れて、

ダメージを与えると、相手に伝わるわけね。

なにそれ、ちょーこわい。



「しかし、何であたいらが襲われたのかね?

 やっぱり、こいつは、おかしいよ」



クロルの説明に納得していると、

今度は、バレーが疑問を口にした。


『アクア・クラーケン』が暴れた理由。


俺たちの予想では、

それは【神具】が持ち逃げされたからだ。


しかし、俺たちは【神具】を持っていない。

確かに、襲われる筋合いは無い。



「おかしいと言えば、

 バレーっち、なんで【黄金槍】を

 持って来てないんすか?」



事情を知らないクロルが不思議そうに質問する。



「あー……

 それは、そこのアホ面に

 ぶっ壊されたのさー」



バレーが、嫌味っぽい流し目で俺を見る。

はいはい。すみませんね。



「いやいやー!

 それは、もっと、おかしいっすよー!

 【神具】を壊すには【神具】でないと無理っす!

 【神鉄】の硬度は半端じゃないんすよ?」



クロルはますます不思議がっている。

あー、アインも言ってたね。

加工できないって。



「でも、こいつ、

 あたいの【黄金槍】ぶっ壊したぜ?

 なっ?」



バレーが俺に確認する。

もう、だから謝ったじゃん!



「……まさか!

 エイジっち!ちょっと武器を見せるっす!」



クロルがねだるので【天空剣】を腰から外して渡す。

はい、どうぞ、っと。



「えぇー! まさかこれ!

 【天空剣】じゃないっすかー!?」



クロルは、渡された剣を見て驚愕の表情を浮かべた。

知っているのか雷電……

さすが、アーティファクター。

それが【神具】だと気がついたようだ。



「おっ!

 よく分かったなー!

 普通の鍛冶屋程度じゃ、見抜けないらしいのに」



鍛冶屋の親方は分からなかった。

アインも、爺さんの持っているのを見たから分かった。

クロルは、なぜわかった?



「いやー、あちしのじいちゃんから、

 聞いてた通りっす!」


「おい、アホ面。

 あんた、知らないだろー

 クロルのじいちゃんは、

 あの英雄ノーレッジの仲間、

 拳聖バータフライ・スイムなんだぞー」




えっ!?

どういうことー!?




■■■■■■■■■■■■■■■■■■

名前 クロル・スイム 

職業 【ドールマスター】

   【アーティファクター】

   【商人】【海女】【拳聖の子孫】

   【引きこもり】

■■■■■■■■■■■■■■■■■■

作者のミスで表現にブレがありました。

お詫びして訂正します。


バレーのスキルの表現が、【生命のブレス】と

【生命の息吹】で揺れていましたが、

今後は【生命のブレス】で統一します。


申し訳ございませんでした。

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