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異世界クエスト  作者: 太郎
異世界クエスト上
20/95

第19話-登場

違いますよっ! エイジ君は悪い子じゃないです!

服だって、あたしのために!

えっ? 

……それは

……【ヘンタイみならい】でしたけど。

……えぇ

それであたし、うろたえちゃって……

路上で服を破かれて……

ちっ違います!

やっぱりってなんですか!

それに知ってますか?

……エイジ君、強いんですよ!

騎士団の人でも勝てないくらい!


………


えっ、余計に危ない?

……そう……ですね。

確かに、騎士団でも勝てないヘンタイは困りますけど……


えっ、あっ、はい。

わかりました。

それじゃ…… 明日迎えに来ます。



ライクちゃんの弁論のおかげで、俺は警察(騎士団)の詰め所で夜を明かすことになった。

とうとう本当に牢屋行きだ。

トラブルメイカー恐るべし。


チクショー!!


こんなんばっかだよ。

異世界来てから、こんなんばっかだよ!

俺の人生、困るに、難しいで、困難ばっかだよ!


俺がしたいのは、こういう「人生の冒険」じゃねぇよ!

ファンタジーの冒険だよぉぉ!


一晩中、牢屋の中で叫びつくした。



翌朝、ガーターさんが迎えに来てくれた。

優しい笑顔が、かえって辛かった。


えっ、俺、悪いことしてないのに。




家に帰って、ひとしきり事情を説明する。

この頃には、ライクちゃんも落ち着いていて誤解は解けた。


あの時、素性がばれなかったのは、ガーターさんの仕込みらしい。

こっそり教えてくれた。

後で詳しくどんな方法か聞こう。


だが! しかし! 


そんなもんでは俺の心は晴れない!





もう決めた。

俺、あの店絶対行かない。

っていうか、市場行かない。

人に会いたくない。

あのお姉さんにも会いたくない。

その結論に至ったのは、

たった一つのシンプルな理由……

お前は、俺を怒らせた。

もういやだ。

ようせいさんのくにとか行きたい。

ご飯も食べたくない。

一人でいたい。

もう、クエストしかしない。

そうだ。

絶対クエスト(ひきこもり)宣言。


……と持ち前の内向性を最大限に発揮して、俺は今、鉱山に居る。



ライクちゃんとガーターさんが付いてきたがるので、Sランクを受注してやった。


『オリハルゴン採集』


へへーん!

これでトラブルメイカー親子から解放されたのだ。

俺は自由だ。

イエス、人生、フリーダム!!


険しい鉱山の山道も、今の俺にとっては大したことは無い。

人生という名の山道に比べたら、ジャングルジム以下だ。


一人で黙々と登りつめる。

途中に休憩をはさみながら、確実に登っていく。

やがて、山頂にほど近い場所に着く。

思えば遠くに来たもんだ。


山肌は、ゴツゴツとした岩が崩れ、赤茶けた土が露呈している。

崖の方に立てば、【グランアルプ】の町並みが小さく見える。

崖までの距離は短い。

路地にある狭い二車線道路ぐらいの幅しかない。



今回、俺はガーターさんの情報提供の手助けを一切借りていない。

だから、道にも迷ったし、時間もかかった。


別にすねている訳ではない。


俺一人でどこまでやれるのか試したい。

そんな気持ちがあったからだ。


ギルドには支部もあるみたいだ。

クエストの都合でも遠隔地に行くことぐらいはあるだろう。

そういった場合、ガーターさんは連れていくべきか?

普通のマネージャーなら、ともに行動するのが当たり前だ。


しかし、ガーターさんの場合は、来るとかえって足手まといになる。

下位のクエストならば、ライクちゃんのときのように冗談で済む。

しかし、Sランクともなれば、命の危険も高いのだ。

どう考えても、現地には連れて行けない。


それにもう一つある。

確かに、俺は爺さん探しの旅をしないと言った。

しかし、会うためには、最低限その爺さんの居場所に行かなくてはならない。

当たり前だ。

クエスト中でないときは、ギルドの事務仕事もあるのだ。

俺の個人的な旅に、ガーターさんを連れて行けない。


この様な場合、必然的に、俺は適時に情報を得ることが困難になる。

有益な情報が得られるからと言って、頼りすぎるのは危険なのだ。

臨機応変に対応できるに越したことは無い。


……そんなことを考えながら、指定されている採掘ポイントを探す。



「うん?」



やけに、前方が騒がしい。


耳を澄ますと。


……ドゴァ!


微かだが、何かが地面に叩きつけられるような、衝撃音がする。


戦闘か?


山に入った瞬間から、モンスターがいる気配はしている。

地下廊下で鍛えたカンが働く。


俺が行けば加勢になるかもしれない。

走り出す。



グンっ、と一気に加速する。


加速する。


加速する。


加速する。


加速する。


加速する。


加速……する。


加……速……する。


ハァ……ハァ、加……速……する。


ハァ…、ハァ…、加……速……す……る。



遠いよ!!



そんなに加速出来ねェよ!




4話で森から出てきたときと言い、俺の聴覚は異常に研ぎ澄まされるときがある。


なんなの?

なんかの能力なの?



……ようやく音のした場所に着く。

足元が振動で揺れる。

前方には、大型バスほどもある馬鹿でかい岩トカゲ。



「うっ……おぉぉ……」



迫力に言葉すら出ない。


ゴロゴロとした岩を体中に纏って、一見岩そのものが動いているかの錯覚に陥る。

フシャーだが、シューだが、威嚇音を出しながら、のそのそ歩いている。

カメレオンみたいな目がくるくる不気味に回る。


ズシン……



歩くたび、地面が揺れる。


トカゲの歩みの先には人影。



っまずい!

子供が襲われてる!


道にぐったりと倒れこむ小さな姿。

服はいたる所が裂け、土まみれになっている。


何度も地面に叩きつけられたんだ!

こころなしか、手があらぬ方向に曲がっているようにも見える。



「頼む、間に合え!」



今度こそ、全力で加速する。

急いで、その子を抱き抱える。

グデンと人形のようにもたれかかってくる。



「酷いっ……」



思わず、声が出るような状態。

これは……助からないかもしれない。


その子を左手に抱えたまま、

右手で剣を抜く。



「来いよ、このくそトカゲ!」



レベル42の実力を見せてやる。

のっし、のっしと近づく岩トカゲ。



トカゲが、俺をはじき飛ばそうと大きく左に頭を振りかぶる。

俺はそれにタイミングを合わせ、がら空きになった右前足を切りつける。



ガキィイイン!!



「えっ……?」



自分の目を疑う。



「この剣が効かない……?」



チート剣が弾かれる。


瞬間。


トカゲが右前足を蹴りあげる。




ドウォゴオオ!



抱えた子供ごと、身体が吹っ飛ぶ。

身体が中に浮く。


痛ってぇ!

身体中に感じたことも無い様な激痛が走る。

ヤバい。

この下。道が無い。

ヤバい。

ヤバい。

ヤバい。

ヤバい。


激痛、抱えた子供、空中で身動きなど取れるはずもない。





……俺は子供を抱えたまま、崖の下に落っこちた。




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名前 エイジ・ニューフィールド (やさぐれ強)←NEW!

職業 【英雄の子孫】【冒険者】

   【げどう】【ヘンタイ 】

装備 皮のよろい

   皮のブーツ

   形見の剣

   やせいのパンツ

強さ

   レベル  42

   生命力  320 -100のダメージ!!

   攻撃力 2920

   守備力  420

   魔法力  420

   素早さ  420

スキル

   【考察】【諜報】【やさしい心】【おとこの友情】

   【おどす】【便利なおとこ】【残念な人】

ゴミ箱         

   しゅうちしん     

   ゆうき

   こんじょう

   デリカシー

持ち物

   ランタン

   ラスト・ポーションEX

   ギルド長のうらみ

   サバイバルメモ

   皮のジャケット

   布の服

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