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異世界クエスト  作者: 太郎
異世界クエスト上
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第16話-決意の朝に上

窓からやわらかく朝日が差し込む。

小鳥のさえずり。木々の息吹。

新しい朝が来た。希望の朝だ。


俺はぐーっと背伸びをする。


昨日のことは……忘れよう。


あれは最近ふざけ過ぎた俺への天罰だ。

変に格好を付け過ぎたせいで大参事。

異世界でのトラウマ2号決定だ。

1号? もちろんパンツだ。


俺は身支度を済ませ、廊下に出る。

向こうの世界と異なり、夜更かしをしないためか、自然と朝早く起られる。

まぁ、生活に関してまだ偉そうなことは言えない。

今日は火の日。まだ異世界で生活してから4日目だ。



台所に行くと、レエンさんが朝食の準備をしている。

ベーコンと野菜を焼いているようだ。

パチパチと軽快な油の跳ねる音。

とても良い匂いがする。



「あら、おはよう、エイジ君」


「おはようございます」



挨拶を返す。

レエンさんのエプロン姿が目にしみる。



「やぁ、良く眠れたかい?」



リビングからガーターさんが声をかける。



「はい、おはようございます」



挨拶を返し、俺もリビングへ。

ガーターさんは濃いお茶を飲んでいる。

薬草の様な独特の匂がする。


テーブルには、既に白い布を敷いた編み籠が用意されている。

籠の中にはパンが積まれていた。

横には琥珀色の液体が入った大瓶もある。

昨日、キラービーがドロップしたはちみつだ。

はちみつは瓶に詰めるだけでも、アイテムとして成立するらしい。

沢山あったので近所にもお裾分けした。



「昨日はゆっくり、朝ご飯を食べさせてあげられなかったからね。

 今日はたっぷりくつろぐといいよ」


と、ほほ笑むガーターさん。

俺もほほ笑むことで返事をする。


昨夜、俺はガーターさんに相談して、今日のクエストを入れていない。

今日は一日、俺のやりたいこと、いや、やらねばならないことをする。

クエストも大事だが、俺には目的がある。


……そう、爺さんを探すことだ。


元の世界に戻るためにも、絶対に達成しなければならない目的。


しかし、俺は最初からあてのない人探しの旅に出るつもりは無かった。

しばらく【グランアルプ】の町を拠点にして爺さんの情報を集める。

これが俺の作戦だ。


そのために生活費稼ぎと後ろ盾を兼ね、冒険者ギルドにも入った。

クエストをこなしていれば、普段は入れないような場所に入れる。

また、様々な人と知り合えるだろう。

そこで入る情報は、俺が単独で行動するよりも遥かに価値があるはずだ。


それに、まだこの町で出来るだけ多くの知識も得ておきたい。


ガーターさんと付き合ったことで、俺は多くの日常知識を覚えさせてもらった。

だが、十分ではない。


ニューフィールドのこと、町のこと、生活習慣、アイテム……


学ぶことは大いにある。

この町の図書館を利用するのも良い。


冒険者になった以上、俺のクエスト次第で、ブルックリン家の収入も左右される。

ならば、個人的なことは早めに済ませておかなければならない。



「すみません、無理を言って」


「なに、かまわないさ。

 キミが居てくれなければ、仕事もない」



二重の意味を含ませ、ガーターさんは目配せをする。



「それに、そのうち大口のSランクを何回かこなしてくれれば、すぐ元は取れるさ。

 エイジ君が、気にすることは何も無い」



そう言ってもらえて気が楽になった。


その後は、ガーターさんに残りの魔導機の機能などを聞いて時間を過ごす。

今まで対人でしか出番のなかった【アナライズ】だが、対物でも使用できるらしい。



「むしろ、冒険者はそちらがメインの使い方だ」


とガーターさん。

鉱物や植物は名称さえ分かれば、利用できるものが多い。

物に罠や魔法がかかっている場合もこれで見抜けるそうだ。



「さぁ、準備で来たわよ」



レエンさんがミルクを注ぎながら声をかける。

すっかり朝食がテーブルに並んだころ、外からライクちゃんが帰ってくる。



「お母さん、菜園の世話おわったよ」


「ごくろうさま、ご飯にしましょう」



手を洗い、テーブルに着く。

ゆっくりとした朝食。



「似合っているじゃないか」



ガーターさんが、茶化すように娘に声をかける。

視線の先には、思い出のペンダント。



「……うん、まぁ、せっかく貰ったしね」



一応、ライクちゃんは、ペンダントを受け取ってくれた。

もう一つのペンダントがどこにあるかは知らない。

でも、俺が渡したものを身につけてくれたようだ。



4人で食事を終えると、俺は質問を切り出してみた。



「あの、ニューフィールドという英雄について知りたいんですが」



一瞬、お茶を飲むガーターさんの顔が引きったが、すぐに戻った。



「うーん、有名だから一般的なことは言えるけど……」



レエンさんが人差し指を唇にあてて考える。



「あっ、そうだ」



何か、思いついたようだ。



「百聞は一見に如かず。

 お墓にいってみたらどうかしら?」


「墓ですか?

 ニューフィールドさんは、行方不明なのでは?」



俺は尋ねる。

レエンさんが答える。



「行方不明でもお墓はあるのよ。

 記念碑みたいな扱いだけど」



ライクちゃんが言う。



「なんせ50年前の人だもの、生きててもヨボヨボのお爺ちゃんだね。

 エイジ君が行くなら、あたしも行こうかな。

 道案内がいるでしょ?」



どうやら、付いて来る気の様だ。



「あそこは危険じゃないか」



さりげなくガーターさんが例の約束を気にしてフォローを入れてくれる。



「中に入らなければ安全なんでしょう?」



とレエンさん。



「まぁ、それはそうだが……」



渋るガーターさん。

俺の様子を窺う。



「俺も、そこに行ってみたいです」



今回は約束の件は大丈夫なのだと、ガーターさんに示す。



「わかった。好きにしなさい」



ガーターさんの許可が出る。



「やった!」



ライクちゃんが、胸に両手を寄せ、ぴょんと小さく跳ねてガッツポーズをとる。



「有名な場所だが、最近は訪れる人も少ない。

 危険は無いだろうが、歩けば2・3時間ほどもかかる。

 ちゃんと準備して付いて行くように」



ガーターさんが、浮かれるライクちゃんに釘を指し、俺たちは準備にかかった。




■■■■■■■■■■■■■■■■■■

名前 エイジ・ニューフィールド 

職業 

   略

装備 

   略

強さ

   略

スキル

   略

ゴミ箱         

   略

持ち物

   略   

■■■■■■■■■■■■■■■■■■


■■■■■■■■■■■■■■■■■■

名前 ライク・ブルックリン 

職業 

   略

装備 

   略

強さ

   レベル   3

   生命力  13

   攻撃力  12

   守備力  15

   魔法力   2

   素早さ  16

   友好度  33 ←NEW!

スキル

   略   

ゴミ箱         

   略 

持ち物

   略

■■■■■■■■■■■■■■■■■■

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