表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

秋原短編集

機械仕掛けの人形は羊の夢をみるのだろうか

作者: 秋原かざや
掲載日:2012/05/06

 必死になって、私は訴えていた。

 周りの皆と一緒に、いろんな道を歩き回って、訴えていた。

 そうすれば、世界が変わると思っていた。

 多くの声が、世界を変える力だと、思っていた。


 幼稚な考えだったと気づいたのは、その1ヵ月後。

 結局、世界は変わらなかった。

 何一つ、変わらなかった。

 訴えた、あの時間は……白昼夢のように、消え去った。

 そう、幻のように、すうっと。


 目が覚めた。

 ここはどこだろう?

 確か、私は休眠していたはずだった。

 なんだろう、さっきの意識は?

 私でない私が、そこにいた。

 とてつもない、後悔を感じた。

 悲しい気持ちだった。

 悲しい、気持ち?


 雨が降っていた。

 ずっとずっと降っていた。

 今日は外に出かけるはずだったのに、ダメになってしまった。

 雨でなければ、そとに駆け回れたのに。

 大好きな人と、一緒に公園を駆け回っていたはずだったのに。

 雨が、恨めしい。

 恨めしい気持ちで、灰色の空を見上げた。

 恨めしい、気持ち?


 ここはどこだろう?

 私は1人で勉強していた。

 世界を変えるには、受身ではダメだ。

 変えるには、自分も『変わらなくては』ダメなのだ。

 そして、先頭になって突き進まなくては、変わらない。

 私はそう、学んだ。


 天気だった。

 気持ちの良い、澄んだ青空。

 なんて、気持ちがいいんだろう。

 草の香りが、なんて、心地いいんだろう。

 隣をみれば、大切なあなた。

 嬉しくなって、思わず声をかけた。

 あなたは、微笑んで、私の頭を撫でてくれた。

 幸せだった。

 とても、とても……幸せだった。

 幸せ?


「このプロジェクトは凍結します」

 悲痛な声だった。

 突き進めていたプロジェクトは、中止で終わった。

 けれど、ネットで多くの声を、声援を貰った。

 だから、私はたった一人で、進めていこうと思う。

 どんなに小さな一歩でも。

 その一歩に無限の力があるのなら。


 そこは屋上だった。

「君が、好きなんだ」

 私は気持ちを伝えた。

 ずっとずっと秘めた想いを、言葉にした。

 あなたに、伝えたかったから。

 そして、結ばれたいと願った。

「私も……」

 それだけで、充分だった。

 彼女の凛とした声が、風に乗って響いた。

 優しく耳を撫でる。

 私は君を抱きしめて。

 その瞬間、閃光が煌いた。


 どのくらいの時が経ったのだろう。

 夕方5時34分。

 あれから、12時間、休眠していたことになる。

「あら、起きたの?」

 目の前に現れたのは、マイマスター。

 私を作ってくれた創造主。

 いつものしゃがれ声で、けれど、凛として優しい響きのあるその声が、私を現実へと引き戻す。

「こんなに眠ってしまったのは、初めてです」

 素直な気持ちを伝えた。

「そうね、いつもは充電終了後にすぐ起きていたもの」

 どうかしたのと尋ねるマスターに、私は言葉を選んだ。

「不可解なものを……様々なヴィジョンを見ました」

「様々な、ヴィジョン?」

「最初は女性、犬、そして、女性……私は私でない私になっていました」

「……あら、まあ」

 マスターの驚きに、思わず首を傾げた。

「あなた、夢をみたのね。こんなこと、初めてだわ」

 楽しそうにマスターは夢みるように続ける。

「あなた、オートマータで初めて、夢を見たのよ」

「夢とは、未来の希望のことではないのですか?」

「まあ、それもあるけど、もう一つあるわ」

 悪戯な笑みを浮かべて、マスターは。

「夜、寝ている間に見る夢もあるのよ。その殆どが意味の無いもの。あなたのいう、不可解なヴィジョンの連なり、それが、夢よ」

 そして、私の前に向き直る。

「初めて見た、夢の感想を聞きたいわ」

 言葉を選んで、私は告げた。

「よくわからないです。楽しい夢も幸せな夢も全てあって……よくわかりません」

 それでいいのよと、マスターはまた微笑んだ。

「夢ってそういうものよ」

 そうそう、もう一つ教えてあげるわと、口もとに人差し指を置いて、マスターは話し始めた。

「人偏に夢と書いて『儚い』とも言うのよ、面白いわよね」

「よく、わかりません……」

 でもと、私は続けた。

「今度見る夢は、できれば、マスターのいる夢を見たいです」

 その言葉にマスターは嬉しそうに声を上げて笑った。

というわけで、夢という薄ぼんやりしたものを形にしてみました。

ちょっとした最近思ったことを、入れ込んで、わけわかめな話になっちゃいましたが、それはそれで、いいかなーと。

よければ、どうぞ、よろしくですよー☆


これを書く前は、あかちゃんの微妙な夢にしよーと思っていました。


感想を受けて、少しだけ修正してみました。

いかがでしょう?

そわそわそわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点]  詩のような文体で、感情を排他して出来事だけを書くという手法によって、むしろ上手に感情が浮き出ていました。読んでいてなかなか心地よかったです。  機械人形でも夢を見る。  それは「未来の…
[良い点] 感情の描写がよくできていたと思います。私の文章はどこか淡々としてしまうのでうらやましい限りですね。 [気になる点] 夢を扱っているので仕様と言えば仕様なのですが、断片的で全体像が少し把握し…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ