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プロローグ
体を揺すられている感じに目をうっすらと開けると、誰かの顔があった。
「仕方ありませんね…」
そんな声が聞こえると、急に肌寒くなってきて、窓に霜が張った。これは─まずい。
「おはよう」
全身が凍る前に体を起こして挨拶。
その瞬間、さっきまでの寒さが嘘のように無くなり、春らしい暖かい日の光がカーテンの隙間から部屋に入ってくる。
「おはようございます、兄さん」
さっきの寒さの原因であると同時に妹の彩月が手に持っていた包丁を机の上に置いた。
………その包丁で僕をどうする気だったんでしょうか彩月さん。
「」