プロローグ
プロローグ
「大学、辞めます!」
私は担任の教授に開口一番で言い放った。
今思えば後悔の念を押し殺したいが為にそうしたのだろう。
そこからの話は家族構成や、父の職業だの意味の無いことを聞かれて、「もう辞めるのだから、さっさと帰ってしまいたい」と思っていた記憶しかない。
私が大学を辞めた理由――
それは自堕落な生活を続け、留年を繰り返し、友人も消えて、在籍している自分がどうしようも無いクズという事を認識したからである。
当然と言えば当然の事だが、私自身の自己認識力というか、人生の当事者意識が芽生え始めたのが、情けない事にこれがきっかけだったのである。
今までの人生、というか大学入学までの人生は何も苦労しておらず、流れに身を任せるように生きてきた。そのツケが回ったのだ。
今になって当事者意識を持った事で、取り返しのつかない様になる前に、新しい自分に生まれ変わりたかった。
これが理由――
帰りに学生課で退学届を受け取る際に、郵送で大丈夫かと聞いた。もうこんな場所に来たくはない。
ダメ元で聞いたつもりだったが、郵送でも大丈夫らしい。
「よかった。」
大学の門までの道を自転車で走る。いつもより早く漕いでるが、この景色は見納めとなると、時間がゆっくり感じる。
感傷に浸りながらペダルを回し続けた。
私の大学は都心部の側にあるものの、切り開いた山の上にあり、自転車で通学するのはかなりの苦労だ。
こんな所に一年の頃は、ほぼ毎日通ってたなんて、今思えば信じられない。
帰りはかなり長い坂道を下るのだが、勾配はキツく無いもののカーブが続く。
最初の曲がり角から見える景色は、私が唯一大学に通う中で好きだった。
最後だから、少し停めて景色を写真に収めよう。
私はブレーキを握った時、異常に重い感触を覚えた。
ブレーキワイヤーが動かない。
今さっきまで使えたはずなのに、前輪、後輪共にブレーキをかけられない。
元々停めるつもりで侵入したカーブ
このままだと、ガードレールにぶつかり真っ逆さまだ。
私はパニックに陥り、足で止まろうとするが、もう遅い。
勢いよく前輪がガードレールにぶつかり、大好きだった景色にダイブした。
「これから新しい人生が待ってたのに。」
私は心の中でそう思いながら空中を舞う。走馬灯というのか、時間の流れが遅く感じる。まるで宇宙。
いや、違う。本当に遅くなっている。
その事に気がついた瞬間、目の前の空間が歪み始めた。
歪みの先に何かが見える。
「誰か……いる?」
その歪みは徐々に強くなり、私の体を飲み込んだ。
初投稿です。なるべく毎日投稿します、私の夢の中の物語です。




