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~後編~

 僕が高校3年生になった時、1年生の新入部員が6名入部してくれた。とくに篠山楓さんという女子は部長の僕を慕ってくれた。僕がいればいつも僕のそばについてきて「私に何かできませんか?」や「先輩みたいな先輩になりたいです!」とやけに近寄ってきた。



 瀬戸内さんや宮内さんの事があり、僕は傷心しきっていた。そんな日々の中で彼女の存在はいつしか癒しになってゆく――




 でも、僕は信じきれなかった。瀬戸内さんの件みたいな事もあると思ったから。だから僕のなかで「可愛いな。彼女にしたいな」と思っても、ぐっとこらえては、その期待に蓋をしたのだ。



 しかし、高校卒業前にして遂に彼女からラブレターを貰った。



 僕は彼女を春の夕焼けに染まる例の河川敷のベンチに呼んだ。



 手紙の答えに対して「付き合おう」と一言返事をする為に。



 僕はそこで生まれて初めてキスをした。



 遂にこの僕にも彼女ができたのだ。



 しかし翌週の卒業式から3日後、僕は谷底に落ちる事となる。



 それは生まれて初めての遊園地デートで。待ち合わせ場所で彼女と出会い、その瞬間から彼女の表情はなんか変だった。



 彼女はデートの途中で「急にお腹が痛くなりました。すいません。帰りますね」と突然に切りだして、帰ってしまった。



 僕はお家まで車で送りとどけようとしたけど、それもキッパリ断られた。



 それから数週間。こちらからいくらメールを送っても、電話をかけても、全く彼女と繋がらない。



 そして彼女から一通のメールが届く。



「先輩の服がダサすぎて無理だったです。さようなら」



 そのメールがくるやいなや僕は彼女から全ての連絡網を遮断された。




 今度の今度こそ僕は絶望するしかなくなった。



 大学1年の始めから勉強にも意欲が湧かずに、1年の休学を経て退学。それから色々仕事を半年~1年単位でやってみるも長続きはせず。情けながら数年間、ニートになる事ですらあった。



 でもある日、散歩にでようと思って例の河川敷にあるベンチに座っていると妙な男から話をかけられる事があった。



「君、ウチで働かない?」

「はぁ」

「いや、なんか素養があると思うのよね」

「なんの仕事ですか?」

「この格好をみて分かるでしょ?」



 この数週間後、僕はホストデビューを果たす。



 どうせ1年ぐらいでまた辞めたくなるだろう。



 そう思っていたが、そうならなかった。



 僕は意外にも「聞き上手」な男らしく、デビューから半年で指名を多く獲れるようになり、2年目で店の看板ホストとなる事ができたのだ。



 この奇跡には野藻田先輩っていう僕の面倒をよくみてくれる先輩の存在もあった。



 僕の事をいつも気にかけてくれて、しょっちゅう飯を奢って貰ったりすれば、ホストのノウハウなんかも沢山教えてくれた。




 僕はどんどん自分が成長する事を実感し三十になってやっと地元を離れた。




 その上京祝いの飯というか飲みで驚きの事実を知る事となる。



「えっ!? マジ!? じゃ同じ呉じゃん?」

「ですね。ビックリ」

「高校は公立高校?」

「はい。当時は進学校だったあの高校ですね」

「俺の母校だよ! 俺が3年生だったときに木下は1年だったのな!」

「へぇ~すげぇ偶然ですね。先輩は何部でした?」

「俺は生徒会しながら野球部やっていたよ。弱い野球部だったけど楽しかった」

「そうですか……僕の高校時代は散々でした。もう思いだしたくもないぐらい」



 僕はウィスキーを飲み乾して「おかわり~」と店員にジョッキを差し出した。



「ははっ、話したくない事は無理に聞かねぇよ。興味はあるが」

「ふふっ、先輩なら話してもいいですよ?」

「えっ!? 話してくれるの!?」

「ずっと隠し続ける事なんてできないものでしょ?」



 それから僕は高校時代の話を全て彼に話した。



 彼は急に口を重く閉ざすようになった。



 どうしたものか気になったけど、それは翌日に明らかになる――




 僕の原点と言っていいだろう。夕焼けに染まる河川敷のベンチで僕はその真実を彼の口から聞いた。



「多分、瀬戸内歌恋さんっていうのは俺が中学3年から高校3年まで付き合っていた元カノ。宮内っていうのは俺が初めて組んだお笑いコンビの相方。それから篠山楓っていうのはおそらく俺の現カノ」



 彼もなんか喋りにくそうだった。



 気がつけば陽が沈んでいた。



「あの、俺さ、今でもお笑いをやっていてね、こないだコンビを解散したばかりなのね。それでその……」



 彼はなんかモジモジしている。



 でもそんな彼がなんか可愛いなって思えた。



 そして僕は彼の目をまっすぐみて答えた。



「これって運命ですよね?」



 間違いないだろう。



 僕と彼の歴史はこうして幕を開けた――



(´・ω・)はい。気を取り直して。読了ありがとうございました♪♪♪いやぁ~今日ってほんとうは休日だったんですよ。ただ職員さんで体調を崩された御方がでてきまして、僕が急遽仕事に向かう事になったのですね。で、昨日時点でプロットを完成させてぶっつけ本番で臨む感じでしたが無理でした(笑)ただまぁ「少女偽談」よりもこっちの作風のほうが僕の真骨頂なんですよね。



(´・ω・)一応漫才作品「恋人じゃない:霊媒師になろう」の関連作品になります。まぁ~完全に勢いで書いた作品ですので、色々修正・加筆はするかと思います。とにもかくにも特に何かの企画に参加したって作品でないのにも関わらず読んで頂けたそこのアナタに多大なる感謝を☆☆☆彡

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― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公の気持ちの向かう先や過ぎていく時間を追いかける感じで、楽しく拝読しました。 なかなかうまくいかなかった主人公ですが、様々な出会いがあって、いろんな経験をしたからこそ、これからそれを糧…
[良い点] 木下くぅ──んッ!! それで良いのかい? 売れっ子ホストからカリスマの称号を得て貢ちゃん人生まっしぐらなのにぃ──ッ!(良いか悪いか微妙・笑) [一言] 前編冒頭の「彼」の文字が気になって…
[良い点] 幸せを掴んだと思ったらこぼれ落ちる‥‥そんな主人公の日々が、鬱々しくも何処か滑稽でニヤニヤと笑えました(*´ω`*) 最終盤での衝撃の事実発覚! ‥‥からの更なる衝撃展開! への発展は、思…
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