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第16話 戦線一変 弍

「四級でこんな程度とは......情けねぇな!はぁ......」


俺は魔力の消失を感じギルマンがいた方を見る。


ん?ギルマンが殺された?いや地中だから分からないな......じゃあ、優先すべきは敵を倒すこと。助けるのは二の次。

できる限り視認されたくないからアレを展開するか。


地面を蹴り、目でも確認できない程の速度でデグリオの方へ行く。

結界を展開し、それとほぼ同時にデグリオの顔面に殴りを入れ左足の蹴りを腹へぶち込む。

デグリオはその衝撃で結界を割り、城壁を貫通していった。


よし......ギルマンを助け.......はぁ......よかった、生きてたな。


「ギルマンさん。脱出出来たんですね」


「......」


ギルマンは何も言わずに腕を前に出し親指を立てる。


ハンドサイン?分からねぇ。サムズアップ?はよく使うから分かるが。大丈夫的な感じか?同じならいいんだが......少しだけ、総兵士長の方を覗くか......念視(ねんし)


総兵士長は城内でデイアン総戦士長と会話していた。


「総戦士長様がここにいるとはねぇ?」


「そっちこそなんで城に乗り込んだ?王を攫いにか?生憎(あいにく)、城にいねぇよ」


「知ってるわ!そんなもん!お前の気配追ってたら、いたんだよ!とりあえず、闘い!しようぜ!」


ヒューマは目と手、脚に炎を纏う。


「なんだ?俺のファンかよ?物理的にも精神的にも、お熱くてやになっちゃうよ」


「じゃあ、もっと熱狂的に行こうぜ!前座はもう、すんだろ?俺の部隊の兵士蹴散らしてくれたからな!こっからはクライマックスだ!」


「グッハッハッ!気に入ったぜ!そうだな!心が満ちるまで!暴れ散らかそうぜ!」


ヒューマは加速しデイアンに拳を入れようとしたが、後ろを回り込まれ壁に向かって蹴りを入れられる。

そして頭を掴むと、壁へ引きずり床に叩きつける。


「やっぱ熱いな......勿体ないしタバコ、その火でつけていい?」


「残念だがこの炎は全てを燃やす!服も燃えたくなきゃやめときな!炎加速(ブースト)!」


「(こっちに向かってくるか.......だが、速度は魔力の込め方で分かる!いける!)」


ヒューマは拳を振りかぶると、デイアンは拳に魔力を込めヒューマより速く放ったにも関わらず、腹にモロ食らう。

「ガハッ!(コイツ!加速を半テンポ遅らせやがった!)」


「どうしたァ!!!まだいけるだろぉ!?」


「てめぇ......あんまナメんなよ?」


するとデイアンはポケットから光り輝く細長いモノを取り出す。


「一旦休戦!それ......ポッケからどうやって出したんだ?」


「気になるのそこかよ?まぁいい。このポッケはな特殊加工で異空間ポケットになっている。だが、取り出すのには、ちと工夫が必要だ。魔力でマーキングするとか.....な」


「なるほどね!ちなみに今出したのトリガー式の魔導具だろ?でも、いちいちややこしいよな。魔法具と魔導具って。そこら辺どう思うよ?」


「話をコロコロ変えやがる......しょうがない答えてやるよ。そうだこれはトリガー式の魔導具。この中には横への負荷の重力魔法がかかっている。まぁ、魔法具と魔導具の事に関しては魔法が内部で尽きずに入っているのが魔法具。外部からの魔法が付与されているのが魔導具。確かにややこしいかもしれんが特に考えたこともなかった。質問は終わりか?」


「全ての質問に答えてくれるな?だけど、魔法の内容まで開示することはなかっただろ?」


「そうだね......私としたことがうっかりとしてたよ」

(種は撒いた......それに引っかかってくれれば......)


「じゃあ......休戦止()め!」


その言葉と同時にデイアンはその魔導具を思いっきり掴みヒビをいれるとヒューマは両腕を交え防御の構えをとる。


(速いな!今!ここで発動する気か!なら!横にズレれば当たることは無い!)


ヒューマは壁を破壊し部屋へ移る。

だが、ヒューマの予想は外れることとなった。

何故ならその魔導具が自分の左手と右肩に刺さったのだから。


(なっ......!)


すると立て続けにディアンがその刺さった魔導具を奥に差し込む。


「なんて使い方だよ......!」


「そうかもな」


デイアンは魔導具を完全に破壊する。


「じゃあな、楽しかったぜ」


ヒューマはその埋め込まれた重力魔法によって壁を突き破り上空に吹っ飛ばされる。

そしてそのまま大手門前の家によって勢いを止められる。


「いてててて......かぁ〜! やられたわ〜!今更だけど、ナメてんのはお前だろ〜?総兵士長としての面子(めんつ)ってもんがあんだぞ?......上位転移(テレポート)!」


先程までいた"彼らの戦場"へ今、向かう。


「おかえり〜、やっぱお前、好きだわ」


「ただいま!さっきの傷もこのとおり!元気ピンピンだぜ?」


「ハッハッ。良くいうよ、魔力の消費が見て取れる。今じゃ、タバコと酒が大好きなこのオッサンにも大敗するだろ?」


「あちゃ〜!バレたか......あと、負けるのは分かってんだよ!だから、短期決戦と決め込もうじゃないか!」


「そういうことか......じゃあ、俺も本気でいくわ」

タバコを取り出すと相棒(ジッポ)を開く。火をつけると同時にフィルターを噛み、煙をモクモクと立ち昇らせる。


蒼炎(ブロウ・フレイム)!」


ヒューマがそう詠唱すると蒼い炎を拳と足に纏わせる。


「なるほど先程の炎の装甲にソレを被せるか!だが、もっても2分......本当に短期決戦だな!」


「大丈夫さ!威力は弱めてある!3分はいけるぞ!!!」


(いや、俺の目に映る情報は2分弱だ。多少の揺らぎはあるだろうが、そこまで大きいものではない)


その瞬間、異空間から杖をついた老人が現れる。

「総戦士長殿。手伝いましょうか?」


「ん?なるほど。上の階と下の階にいるな。今気づいたわ。じゃあビバーナム、よろしく頼む」


ビバーナムは転移した。


「終わったか?じゃあ行くぞ!!!」


「ああ!!!」


その頃、上の階でウルウとビバーナムが対峙していた。


「老子ビバーナムか?」


「ホッホッホッ、あまり表に出ないから今日が初めてだの?その見た目や声、身長、その体つき、年齢、瞳孔、鎧のサイズや素材からしてウルウ・ドンペイじゃな」


「そこまで注意深く見る必要あるか?少し行き過ぎてて反吐が出そうだったぞ」


「どんなに信頼できる情報と同じでも確定してはならぬ。もしかしたら別人だったりするかもしれないしの......ワシも歳じゃからな」


「ん?」


「いやぁ......鍛錬などとうの昔から中断しとるから年々、魔力量が

低下しておるんじゃよ。まぁ魔導具があるから、まだええがの」


ビバーナムはポーションを飲み始める。


「魔力供給のポーションだな?」


「そう。先程までの魔力量じゃとアヤツも影響下には、できなんだ」


「......!?まさか!」


「ホッホッホッー!魔法空間[隔牢(かくろう)]!」


ベータとウルウはその魔法空間に引きずり込まれる。


「ウルウ爺!なんで!」


「ベータ、位置がバレておったようだ」


「なるほど......じゃあ目の前にいるはビバーナムってことか」


「話が早くて助かるな。ビバーナムは記述通りなら鉄球を操る。一撃でも喰らえば致命傷になりうる。気をつけろ!」


「りょーかい!」


「ホッホッホッ!本当に早くてこっちも助かるよ。お主らを殺してデイアンを援護する」


「欲張りだな!」

ベータは一瞬でビバーナムの裏を取り、ナイフで攻撃を仕掛けたが鉄球によって経路を防がれ、後ろへ下がる。


「フッ!」


「俺の隠密が悟られたか......」


ビバーナムは鉄球を高速回転しベータへぶつけるが、ウルウがそれを絶対障壁(バリア)で防ぐ。

ベータはその隙を見て鉄球の間をかいくぐる。

そしてその首に刃を立てる。

「ビバーナム、残念だな。老子とあろうものが、俺たちに瞬殺されるとは」


「お主......今、警戒すべきはワシではなく、この魔法空間だな。これが閉じ込めてるだけだと思っているのが凶!」


魔法空間[隔牢]は対象を閉じ込めることを特化とした基礎の魔法空間であり、結界術を極めれば誰であろうが使用可能になる。

だが、誰でも使えるという性質や閉じ込めるという単純な能力によって少しだけなら魔法空間自体に能力や色を付け足すことも可能なのである。

ビバーナムの創った風景は闇そのものだったが、その闇から一筋の光が出てくる。

出てきたのは1200年前に存在した戦士。いるはずのない亡霊。

この男はズリャオ王国で最強の怪物であった。静かに敵を殲滅する姿を見た相手国が付けた彼の二つ名は"処刑人"


「「これは......!!!」」


「そう、怪物の人形だよ」











































オノバーがやらなくてもギルマンだけでデグリオは倒せました。

デグリオは意外にも酒と煙草に手をつけません。臭いで吐く。


そういや、他の戦士長をどうするか悩んでます。最悪、全員死ぬ可能性と思います。あと、ディコムと試験官達も......この後に山場があるのでそこでどうするか......ですかね。後になるとどうしても弱くなるので長生きさせるつもりはありません。運が悪かったら、次の章で死にますし、運が良かったら次の次の章まで生きることができます。

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