第15話 戦線一変
南門前にて......
「なんだっけ、雷神モードっていったかな?ゴミモードの間違いじゃないの?」
「確かに速度と威力を優先させるために他のモノを抑えているが、それでもお前にゴミモードといわれる筋合いはないぞ」
「でも同じようなもんでしょ?だって俺は無傷だけど......君はボロボロじゃん!」
「そうかもしれんな。だが、ようやくチャージし終わった!」
「チャージ?なんのこ......」
ゴジャは視認することが出来ず反射で大剣を前に突き出した。
それが好機となり剣撃を防ぐことができた。
リュウライの神之啓示は電気を生み出し溜めることができる。
この電気は栄養分や魔力を消費して造られる。
これを身体中に溜め、巡らせることにより身体能力が向上する。
溜められる電気の量には限度があり、そして限度まで達した場合。
肉体は飛躍的に強化され感覚は研ぎ澄まされる。まるで重い病気を患っている人がアスリートにでもなったかのようなレベル。
もちろん、メリットにデメリットは付き物。
1.チャージ後、肉体に負担がかかり少しの間動けないこと。
2.チャージには時間が必要なこと。
3.チャージの間は防御もまともに出来ず無防備なこと。
だが、リュウライにとってはただの柵でしかない。
「少しは見直したか?」
「まぁな!」
大剣を振り上げるとリュウライに向け放つ。
「笑止!」
大剣を防御に振っていないゴジャを袈裟斬りで断つ。
「なにっ......!?」
「どうやら、遅いのはゴジャ、お前だったらしい」
「ふっ、そうかもな......だが、信じてるさ。俺は速いって」
「あ?何言って......ッ!?」
ゴジャは隠し持っていた全長5cm程のナイフに魔法を埋め込み飛ばす。そしてそれは運悪く頭に直撃する。
「風珠を応用した技だ。あと、速いって頭の回転の話な?はぁ......さてどうするかね。斬られたのは予想外だけどそれ以外は全部計画通りだ。あっそうだな!他の兵士長殺すか」
他の兵士長の方へと行こうとしたその時、後ろから液体の音がポタポタと聞こえる。それに気付き大剣を構え、瞬時に振り返る。
そして剣と刀が交えた。
「マジで?なんで生きてんだよ!」
「ガッハッハッハッハッハッハッ。俺にも分からぬが死にづらい体質でな!」
「ゴミみたいな体質だな!」
両者とも相手の武器を払うと再びぶつかり合う。
リュウライはその場から素早く離れると刀を鞘に納め、構える。
マズいと思ったのかゴジャは血相を変えて走りゆく。
「(示現流......雲耀!)」
リュウライは重い一歩を踏み込むと、超高速で鞘から刀を弾く。
弾かれた刃は大剣を押し切りゴジャを斬った。
ゴジャは傷に手を当てゆっくりと城壁にもたれる。
「ハッハッハ、間に合わなかった、これは計画通りじゃないな......どうした?殺せよ。それとも労働力や情報源として利用した後か?それとも手の内を明かしたくはないか?」
「よせ、俺たちは殺しに来たのでは無い。誤解を解こうと......」
「解く?なにがだよ」
「今回の戦争の発端はズリャオに宣戦布告の伝達がきたから......しかし、その時、大臣が死んでいたために宣戦布告の連絡は不可能だった。だから、誰かが城内の強固な守りを突破し大臣を手にかけズリャオに宣戦布告したものとみられる。これでわかっただろう」
「つまり、宣戦布告はその侵入者が入れたデマだと?」
「あぁ、そうだ。だが、いきなりこんな話を信じてくれとは言わん。こっちからしたら大臣が殺され、同盟国から戦争を吹っかけられていたのだからな。かなり焦っていた。しかも確認しようとも、もう緊張状態に入っていたからな」
「しかもそれがもしも万が一、億が一、本当ならば城の内部に詳しい者だ」
「うむ。大臣の仕事場は上級貴族でも知らん。それだけ厳重なのだ。現に仕事場を知っている者は俺が知る限りでは9人。その人達を疑いたくはないが......」
「分かった。その話信じよう」
「いいのか?もしも嘘ならお前は裏切り者になるぞ?」
「全然構わないよ。既に家は裏切ったみたいなもんだしね」
「そうか......」
東門にて......
「よし!いくぜ!」
「分かった!」
半テンポ遅れの戦法を7、8回繰り返すもあともうちょっとのところでかわされる。
「単調すぎるよ。君たち!」
「黙れ!」
「死ね!」
「辛辣だな〜!」
「アレいくよ?兄ちゃん」
「アレだね?弟ちゃん」
双子の兄がビエルの両腕を掴む。
ビエルは蹴りを入れようとしたが兄は両腕を掴んだまま、ビエルの背中に回す。そして兄は両足で思いっきり蹴り、弟の方へ近づけると両腕を離す。
急に離されたがためにビエルはブレーキをかけることが出来ず、更に弟へと近づく。
弟は拳を構え、射程内に入った瞬間に、ビエルの顔面へ叩き込む。
「決まったね!兄ちゃん!」
「そうだね!弟ちゃん!」
「多分、死んだよね?鎧身につけているとはいえ、魔力がのった上位魔法具には勝てないでしょ」
「握るだけでいいから、普通の拳と見分けをつかないしね!あとね。念の為に刺しとく?」
「うん、そうしようか......あれ?アイツは......?」
「兄ちゃん危ない!」
「え?」
兄の後ろにいたビエルは剣を出す仕草をする。
その剣に警戒した兄は防御魔法を使う。
だが、ビエルは剣を持っていなかった。
「(剣を持っていない!?ヤバい!)」
隙を見計らって兄の足を払いバランス崩す。
そして、相手の角帯からナイフを取り、投げ捨てる。
「(使わないのか!?もしかして......)」
何かを警戒した兄は飛び起きるが、ビエルは兄の股間を蹴る。
「あぁ......!」
兄は悶絶しながら倒れ込む。
「警戒してくれて、ありがとさん!戦争に卑怯もないからな!弱点を当てるためのブラフも正当だろう?」
「貴様ァァァ!」
弟は白目になりビエルに向かって走るがもちろん見えてないため、コケそうになる。
その体制が崩れた瞬間、重い一撃をボディにぶち込む。
弟は血反吐を吐き腹を抑えた後、背中から倒れる。
「一目見たらどんなタイプか分かったから意外といけちゃった。顔面にモロ食らったのはちょっとやばかったから賭けだったかな......ふわぁ〜、眠いから寝るか......」
周りから響く金属音と叫び声の中で暗闇に堕ちる。
大手門にて......
まだかよ!力を抑えてるから不自然な行動は余りできない!
人が死なないようにそこら辺は工夫しているが!
「よし!ありがとう皆!今からぶち壊してくるよ!」
ヒューマは魔法陣で結界の目の前まで移動する。
「色々なバフがかかったこの技は防げんだろ!いけ!小太陽!」
小太陽は五重結界にぶつけると結界にヒビがほんの少し入る。
「おい!お前ら!食い止めろ!クソッ!デイアンさんが来てくれれば!」
「ルガゼ戦士長!魔法自体がかなり上空にあるため対処が困難でございます!」
「うぅ〜!」
ルガゼは通話機を壊す。
ヒビは徐々に広がっていき小さい穴を作った。
小太陽が消滅するとその穴からパキパキと結界は木っ端微塵となる。
そして完全に戦線が一変する。
「総兵士長!覚悟しろ!」
ルガゼは剣を出しヒューマに近づくと攻撃を仕掛ける。だが、ヒューマは何もしようとしない。それは当然だった。ルガゼは剣を振りかざし下ろしたが、ギルマンによって止められた。
「お前は......!確か西門に!」
「......」
「じゃあギルマン!あとは任せたぜ!」
ヒューマは真っ先に城へ飛んで行った。
「......」
「重刃!」
重力の刃を一瞬で逸らすと、ギルマンは一気に距離を詰め、六発の突きを出す。それは全てルガゼに直撃する。
「(速い......!これが四級!!!格が違う......!)」
ルガゼは雄叫びは上げながらギルマンへ向かっていく......もギルマンに目にも止まらぬ速さで斬り倒される。
すると、誰かがゆっくり近づいてきて、ルガゼを蹴り上げる。
「おいおい!ルガゼ!なんてざまだ!会議や行事に絶対出ないだけで馬鹿にしてきたくせによ!」
その男はギルマンを蹴って距離をとるとルガゼの腹に剣を刺す。
「ハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!今まで馬鹿にしてきた野郎に見下されてどうだ......?どうだ!?」
そして四回ほど腹を刺す。
「......!」
「おっと、すまんなぁ?生きてるのに気づかなかったわ〜!蹴りで死んでるかと思った!俺はデグリオ!これで分かるだろ?」
デグリオはギルマンの方へゆっくりと近づいていく。
両者共、相手の射程内に入った。
そして両者共、剣を構え攻撃を仕掛けるが、先に届いたのはギルマンであった。
その攻撃をデグリオは間一髪で避けると、代わりに髪が斬れた。
「流石、俺と同じ四級!だが、俺の方が一枚上手だったな!」
直後、下にある大地に穴が空きギルマンはその中へ落ちる。
そして、大地は押し潰すかのように閉じた。
寄ってらっしゃい!見てらっしゃい!デグリオのクズっぷりがドンとのってるよ〜!
デグリオはバカにされたと感じたら最悪、敵を虐殺します!
弱いのを相手にするのが好きで強い相手には弱腰になります!
絶対、反省もしません!虎の威を借ることもあります!
礼儀知らずで良く戦士長になれたなという野郎です!
あと、優先順位は1が自分 2が金 3が国王と貴族、金の持ってるやつ 4が可愛い女性 金の持ってないやつや貧弱や者、デグリオ基準で醜いと感じた者は論外




