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奇々怪界な魑魅魍魎  作者: まちおさ
第2章 聖女
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聖女2

投稿しました!短いですが読んでください!

翌日夜──天龍院前

龍と蓮は合流し二人で天龍院へ続く階段の前まで来ていた。

しばらく待っていると黒い縦長の高級車がやってきた。所謂リムジンというやつだ。

リムジンが二人の目の前まで来ると自動で後部座席のドアが空いた。どうやら乗れということらしい。

二人はリムジンに乗り込んだ。


中には人が八人ほど乗れそうな広々とした空間が広がっていた。後ろ四席分、その向かいに四席分といった感じだ。

後ろに龍達が座り、そして向かいの席にはアレクシアが座っていた。二人が乗ったのを確認するとリムジンは目的地へ向かって出発した。


「おはようございます、お二方」


「………」


「あ、お、お、おはようございます!アレクシア……さん……」


蓮の声が段々と小さくなっていく。


「お元気そうですわね、蓮。」


「アレクシアさんも相変わらずのようで……ハハ……」


アレクシアの顔は笑っている……が、蓮に向けられているのは敵意を通り越したあからさまな殺意だった。

車内の空気は最悪でそれ以降誰一人として一切喋る事なく目的地に向かって行った。








東京郊外の森の中にて──


女の喉元に噛みつき血を啜っている者がいた。その者は全身を黒いマントとフードに身を包んでいた。

そしてその者を囲むように同じ格好をしたものが何人もいる。


「プハァァ……さすが、処女の血は格別だな……残りは貴様らにもくれてやろう、ほれ」


その者は女を投げ捨てた。

すると辺りを囲っていた連中が一気に女に群がり血を啜り始めた。

女は血を吸われみるみるうちに干からびた死体になってしまった。


リーダーと思わしき者がフードを取る。そこには金色の短髪、黒い瞳に妖しく赤く光る瞳孔を持ち犬歯が異常に長い男の顔があった。身長は180cmほどで見た目の年齢は20代後半といったところだろうか。


(気配を感じる……こちらに近づく大きな気配が……三つ!?一つはあの女のものだとしても後の二つは一体何だ!?あの女め、一体何を連れてきやがった……ククッ、だがまぁいい。この地へ来てだいぶ力をつけた。そして今宵は満月……来るなら来るがいい。貴様らに最高の夜をプレゼントしてやろう──)


「ククク…フハハハ……ハハハハハ!!!」







東京郊外の森で車が停まった。


「どうやら着いたみたいですわね」


三人は車を降りる。

一通り森を見渡し龍と蓮が言った。


「確かに、気配を感じるな」


「そうだね、ここの何処かにいる」


そして蓮が恐る恐るアレクシアに話しかけた。


「あの、ア、アレクシアさん、懐中電灯使いますか?」


「お気遣いなく、私は暗闇でも見通せる眼を持っておりますので。」


「俺と似たようなもんか。にしても蓮よぉ、さすがに夜の森の中を懐中電灯一本じゃ意味ねーんじゃねぇか?」


「それもそうだね……しょうがない」


そう言うと蓮は静かに眼を(つむ)り瞑想を始めた。

そして──


「『猫又』」


そう言いながら蓮が眼を開くと蓮の眼は猫の眼になっていた。

そして龍が気合を込めて言う。


「うっし、じゃあ行くとするかぁ!」


三人は森の中へと入って行った。

夜の森の中ということもあって視界が非常に悪いが三人にとっては関係なかった。

そうして順調に進んでいると、だんだんと霧が出てきた。

そんな中、龍は何かに気づいた


「霧…?それにこの匂いは……」


そう、霧に混じって腐臭がする。死者達の匂いだ。

そして霧の中でゆっくりと動く影があった。

影は徐々にこちらに近づいてくる。その影は──動く死体(リビングデッド)だった。

辺りを見回すといつの間にか数十、数百の動く死体に囲まれていた。


「おいおい、こんなもんで俺たちをどうにかしようってんじゃないだろうな?」


「ハハ…どうだろうね」


すると一体の動く死体がアレクシア目がけて突進してきた。

が、アレクシアは微動だにせずゆっくりと右腕を前に伸ばしデコピンの構えをとった。

そして動く死体の頭目がけてデコピンを弾いた──


「えいっ」


文字通り何の変哲もないただのデコピン。

だがそれだけで、動く死体の頭がバンッと言う音とともに綺麗に弾け飛んだ。


「さて、さっさと先へ進んでしまいましょう。」


だがしかし、動く死体達が一斉に襲いかかってきた。

龍達は動く死体を薙ぎ倒しながら着々と進んでいく。

すると、突然開けた場所に出た。というよりは人為的に開かれた場所といった方が適切だろう、半径100m四方の木々が残らず刈り取られてしまっているが所々に大岩が突き出ていた。


「ここがバトルフィールドって訳かい」


すると突然、頭上から声がかかった。


「よくぞ来た!愚かな人間どもよ!」


声がした方へ振り向くとそこには背中に大きな蝙蝠の羽を生やした吸血鬼が空中に浮かんでいた。

ここまで読んで頂きありがとうございます!ご意見、ご感想お待ちしてます!

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