家4
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真浄宗総本山天龍院
拝殿には龍と大僧正がいた。
龍は呪われた家についての報告を大僧正である実父、星谷光輝に行っていた。
「───とまぁ、こんな感じだ」
「で、あるか。うむ、ご苦労だった。蓮はどうした?」
「自分家戻った」
「そうか……私も会ってやりたいんだが、この所魑魅魍魎共が騒がしく忙しくてな……蓮に、「たまには顔を出せ」と伝えておいてくれ」
「……そりゃ酷ってもんだろ」
そう龍が言うと大僧正は眉間を摘みながらため息混じりに話した。
「ハァ……権大僧正がうるさくてな。現状の蓮の姿を見せてやれば多少の溜飲も下がろう。新しく入った者らは蓮の事を見たこともない者もおるであろうしその紹介も兼ねてな」
「権大僧正なら「そんなやつにこの天龍院の門を跨がせるな」とか言ってキレそうだけどな」
「まぁ、それは否定できんが…私もたまには顔を見たいしな」
「へいへい」
そんな事を話していると中僧正がやってきた。
「大僧正、今お時間よろしいですか?」
「どうした」
「ハッ、それが──」
中僧正はチラリと龍のほうを気にかけた。
「構わん。話せ」
「ハッ、明日バチカンから"デウス・グラディウス"の方々がみえるという連絡を受けました。何でも日本に逃げ込んだ『吸血鬼』を討伐するためしばし滞在するのでその許可がほしい、との事です」
「明日?急だな……わかった、歓迎の準備をしろ」
「ハッ!」
中僧正は出て行った。
「……おいおい、デウス・グラディウスの連中が来るって事は……」
「当然"聖女"も来るであろうな」
龍は心底嫌そうな顔をしながら深いため息を吐いた。
「ハァ〜〜……面倒くせぇなぁ……」
「蓮の監視の目的もあるのだろう、龍よ、お前が付いていてやれ」
「わかってんよ、あの二人が鉢合うとどうせロクな事になんねぇからなー……特にあのゴリラ女…少しはこっちの苦労も考えろってんだ……ハァ〜〜……」
その日、龍のテンションは低いままだった。
───龍達が呪われた家に着く1週間前の夜、バチカンのとある森の中にて、霧も濃い漆黒の夜闇を飛翔するフードを被った影があった。
影は夜の森の中であるにも関わらず一切止まる事なく、物凄いスピードで飛翔していた。
「ハァ…ハァ…ハァ……クソッ!あの忌々しい化け物女め…!」
フードを被った影は憎々しげに吐き捨てた。
「フッ…だがまぁいい、とにかく彼の国に行き力を付けねば。その後であの女は嬲り殺しにしてやる……!何やら、面白い事も起こりそうだしな……フフフ………ハハハハハ………」
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