プロローグ3
続けて投稿!プロローグラストです!
二人は今回の依頼主の元まで来ていた。
二人は町役場の応接間で座っていた。テーブルを挟んで今回の依頼主がいる。
依頼主は町の町長である剛田為三という初老の男性だ。
今回の依頼は山奥にある廃校を取り壊したいのだが、工事作業員に続々と死者が出てそれを面白がって遊びに来た若者までも犠牲が出ている、お祓いをしようとしてもらったが何人かの僧侶に「これは手に負えない」と言われたため何とかしてほしい、という依頼だった。
「───以上が今回の事件の全てです。」
蓮が事件の内容を話した。
「なるほど…確かに私が産まれるより前にあそこで火事があった、という話は聞いたことがあります。まさか犠牲者がいたとは……」
「今回の事件、事が大きくなったのはその件のせいだけではありません」
「と、言いますと?」
そこで、今まで黙って聞いていた龍が口を開いた。
「″言霊″さ」
「言霊…?」
「あぁ、言葉っつーのには力が宿る。どんな言葉だろうがな。んで、恐らく最初は小さな″噂″だったはずだ。「あそこには霊が出るー」とか「学校の七不思議がー」とかな。それが今の世の中になり、情報の伝達速度が馬鹿みたいに早くなりゃ後は勝手にその″噂″が広がり人々が口々にそれを出し始める。噂はどんどん具体的になり──」
「言霊の力で怪異は手に負えぬほどどんどんと大きくなっていった……ということです。」
「つまり今回の事件は人々が勝手に話を大きくしてしまったのが原因ということですか…」
三人の間に深い沈黙が降りる。
人々の勝手さが無害な小さい霊をあそこまでの悪霊にしてしまったと言う事に深い悲しみを覚えて……
「ま、軽い気持ちで根も葉もねー噂なんか流すなっつー事だ。いや、根はあったのか?まぁ、どうでもいーか!ガハハ!」
龍がこの場の空気を取り繕おうとしているのだが全く笑えない。いや、そもそも取り繕おうとしているのか?素か?町長はハハ…と愛想笑いをし、蓮はやれやれ…といった感じだった。
「し、しかし人々の噂とは簡単には消せますまい。どうすればいいんでしょうか?」
「心配すんな。何も数年やそこらでどうにかなる話でもないしあそこの元凶は取り除いた。そもそもあそこは取り壊すんだろ?次は何にするんだ?」
「言ってませんでしたか?あそこにはソーラーパネルを設置する予定なんですよ」
「ソーラーパネルねぇ…時代だなぁ…」
「為三さん、一つお願いがあるんですが」
「何でしょう?」
「小さくても構わないのでお墓を一つ作ってあげてくださいませんか?」
「えぇ、それは必ず約束致します」
「ありがとうございます」
蓮は深々と頭を下げた。
「とんでもない。今回はお二方にお世話になりました。誠にありがとうございました。」
町長は改めて二人にお礼を言い、二人も役場を後にした。
───数日後
二人は廃校のある建設現場へと来ていた。
その片隅に小さなお墓があった。お墓には「美緒」と書いてあった。
「おっ、出来てんじゃん。仕事はえーな。」
「苗字聞き忘れちゃったな…」
二人は手に大きな包みを持っていた。
蓮がその包みを剥がすと中から大きなクマのぬいぐるみが出てきた。
龍がその包みを剥がすと中から大きな怪獣のぬいぐるみが出てきた。
「えぇ……何で怪獣のぬいぐるみなの?女の子にあげるプレゼントだよ?センス狂ってない?」
「っるせーな!ぬいぐるみはぬいぐるみだろうが!かっこいいだろぉん!?」
「はいはい…」
二人は墓前にぬいぐるみを備え、お線香を炊いてやり、しばし手を合わせた。
「さて、帰ろうか」
「おう、そうだな」
二人は帰路についた。これからも、忙しい日々が始まる──
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