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奇々怪界な魑魅魍魎  作者: まちおさ
第0章 プロローグ 
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プロローグ1

色々なご意見、ご感想お待ちしておりますm(_ _)m

2XXX年 とある山奥の廃校。


所々ボロボロに朽ち果てているにも関わらず未だ学校だったとわかるその場所は、今やオカルト好きどころか一般人にすら知られている有名な心霊スポットである。


その目の前にある廃公園、当時の子供達にとっては学校が終わってから直ぐに遊びに行ける場所だったであろうその公園は今やかろうじて公園とわかるくらいであろうか。

朽ち果てた滑り台、折れてひん曲がったシーソー、そしてボロボロになったトイレ……


そんな廃公園の腐ったベンチに座ってくつろいでいる男がいた。男は身長180cmくらいだろうか、額の司空(おでこの真ん中)にホクロがあり、大柄だが太っているわけではない。そして多分?僧侶である。何故、多分なのかと言うと僧侶が持っている錫杖(自分の横の地面に突き刺しているが)、それも一目で素晴らしい物だとわかる―と首から数珠らしきものを下げているからだ。

だが男が僧侶らしくないのはその格好だ。

金色に輝く長髪を後ろで結い、おそらく良い布で作られているであろう黒い布衣(ほうい)は着崩し、胸元は空いてしまっている。極め付けは純白に金の龍の刺繍をあしらったボンタンのような袴を履いていた。

どちらかというと成人式で暴れる若者のような格好だった。


そんな男は大股開きで腕をベンチの背もたれに回し、天を見上げ暇そうにしていた。


「ふあ〜ぁ、ねみー」


男はこんな場所で暇そうにしていた。


そんな時、トイレのドアがギィ…とゆっくり開いた。

誰もいないはず、風も吹いていないはずなのにゆっくりと…

そして、ヒタ…ヒタ…と中から人型のナニカが出てきた。

ソレの顔は長い黒髪が隠してしまっていて見えないが、真っ赤なワンピースを着て右手には包丁を持っていた。

ソレはヒタ…ヒタ…と一歩ずつ一歩ずつ、男に近づいていった。

男は相変わらず天を見上げている。

そしてソレは遂に男の目の前で止まった。


「ワタシ、キレイ?」


それは辛うじて口元をマスクで隠していたが明らかに()()()()()()()

肌は灰色に変色し所々蛆が湧き、血走った目は左右でギョロギョロと違う方向を見ていた。

そんな化物の質問に対し、男は


「あーあ、やっときたかよ。おせーんだよボケ」


と答えた。

すると化物はそれを自分の質問への返答と捉えたのか、ゆっくりとマスクを外し


「コレデモォォォォォォ!!??」


と言った。身の毛もよだつような怨嗟の声、聞くものが聞いたらそれだけで卒倒してしまいそうな声。

だがそれだけではなかった。マスクを外すとそこから出てきたのは、耳元まで裂けた口だった。化物は男が恐怖に陥っていると思い、口を大きく開きゲタゲタ、ゲタゲタと笑っ

た。

が、肝心の男はというと


「わかったわかった、さっさと消えとけ」


と言うと、まるであっちへ行けのような仕草で手をヒラヒラとさせた。

それが化物の逆鱗に触れたのか、キィィィィイ!という狂った鳴き声と共に右手に持った包丁を男めがけて振り下ろした。

そして包丁が男に当たりそうになった刹那――


(オン)


たった一言だった。その言葉を発した瞬間、化物は何か巨大なハンマーに殴られたが如く思い切り吹き飛ばされた。

男は座ったままで微動だにしていない。

が、化物もダメージは受けているであろうか、しかしゆっくりと立ち上がった。


「お?少しはやるか?」



化物はゆっくり、ゆっくりと立ち上がったかと思うと次の瞬間、姿が消えた。否、消えたのではなく目にも止まらぬスピードで移動したのだ。常人の目に追えぬ速さで…そして男の背後を取った。

そしてそのまま右手に持った包丁を男の首目がけて一閃、男の首は夜空に舞い鮮血が月に映る──かと思われた。

が、化物が首目がけて包丁を一閃した瞬間、今度は男の姿が消えた。

化物も男を見失ったのか、ギョロギョロと辺りを見回すが男の姿が見当たらない。そんな時上から「おい」と声が掛かった。

化け物は空を見上げた。するとそこには月をバックに、不敵な笑みを浮かべる男の姿があった。化け物は咄嗟に空中の男に向かって突進──


「おせーよバカヤロウ」


男は自分の口の前で片手で印を結び再度



(オン)ッ!!』


と唱えた。

するとベコォッという地面が抉れる音と共に化物はひしゃげた。

そしてどう見ても動けぬほどに潰れた化け物は静かに霧散していった。


「さてと、こっちの分は終わったか?」


そう言うと男は廃校の方へと歩き出した。


「とりあえず合流すっか。あいつの方は終わったかー?」


男が廃校の門をくぐり運動場に着いたあたりでバリィーン!と廃校舎2階の窓ガラスが一斉に割れた。


「何だ、まだやってたのか」


肩に錫杖を担ぎ特に何事もなかったかのように男はまるで、近所に散歩に行くかのような足取りで廃校舎に入っていった。

ここまで読んでくださってありがとうございます!レビュー、ブクマ、ご感想等お待ちしてます!

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