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第三話:ぼくの名前は

ぼくは固まった。自分の名前、当たり前の、自分を指し示す名前。

十数年呼ばれ続け、良くも悪くもぼくのレッテルとなっていた、自分の名前。

ぼくは、それを思い出せなかった。

「なんだったっけ?」

「なんだったっけ? って、お前。おとぼけキャラもたいがいにしろっ!」

「女の子のおとぼけキャラってモテるんですよ」

「……は?」

「ぼく、髪がショートだからよく間違われるんですけど、女の子なんです」

「待て待て待て待て待てどういうことだ」

「だから、こういう事です」

ぼくは人形さん改め変な物体改めクオリアさんの手をつかんで自分の胸にあてがった。

「なぁああああぁあぁああぁ?!???!!」

クオリアさんは素っ頓狂な声をあげ、茹で蛸みたいに真っ赤になり、

まるで熱湯に手を突っ込んだかのように手を引っ込めた。

「お、おま、は? えっ? 女の子?!?!」

「下もさわってみますか?」

「お、女の子がそんなはしたないことしてはいけません!!」

「それじゃあ信じてもらえますか?」

「ああ信じるから、わかったから落ち着いてくれ」

どうみてもこの状況で落ち着いてないのはクオリアさんなんだけれど、ぼくは頷いた。

「とりあえずなんだ、まあ、変なヤツだなお前」

「存在自体が変な物には言われたくないですね」

「物ってお前、もうちょっと言いようってのはないのか?」

「"傲慢なほど正直に"がぼくのモットーですから」

「そんなモットー鼻かんだティッシュと一緒に捨てないさい!」

なんだか凶悪な顔をしたクオリアさんだけれど、

へんてこな人形みたいなクオリアさんだけれど、

どうやら悪い人ではないみたいだ。

「それで、ここってなんなんですか?」

ぼくが尋ねると、

「ん。ここは、そうだな」

クオリアさんは少し悩んだ後、残念な答えを返した。

「実は俺もよくわからないんだ」


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