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第二十話:ありがとうございます


「決めた。ぼく、決めました」

ぼくはバグの肉を食べ終わった後、服の袖で涙誰けの顔を拭って、独り言のように言った。

「何を決めたんだ?」

クオリアさんは、バグの肉をほおばりながら尋ねる。

「ぼく、クオリアさんに嫁ぎます」

クオリアさんは盛大に噴き出した。

「お、お前、俺をむせ殺す気か!」

「で、でも」

「今の話の展開でなんでそうなるんだよ!」

「だって、クオリアさんに嫁げばこの世界について教えてもらえるじゃないですか」

「だったら弟子入りとかあるだろ!」

しばらく、冷静になって考える。まったく持ってその通りだと思った。

「それじゃあ、弟子にしてください」

「やだ」

即答だった。有無を言わさぬスピードだった。自分から提案したのに、ずるい。

ぼくは思いっきりすねた顔で、クオリアさんを見つめる。

そんなぼくを見かねて、クオリアさんはひとつため息をついた後、こういった。

「弟子なんて取る柄じゃない。それに俺は上から目線っていうのが世界で一番嫌いなんだ。だから弟子は取らない」

露骨に落胆している僕に向かって、けれど、とクオリアさんは付け足す。

「ちょうど相棒がほしいと思ってたところだ。俺は上から目線が大嫌いだから、対等に行こうぜ。持ちつ持たれつだ。それなら良いぜ」

ぼくは、今まで人生で数えるほどしか言わなかった言葉をクオリアさんに、本当に心の底から言った。

「ありがとうございます」


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