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78.3国の決断(side:3国の王)

マーグリの王、レンヌは領主に聞き出してもらったイモーテルのソンシティヴュでの待遇についてまとめると早急に2国の王に打診し、即日話し合いの場を設けることになった


「あまりにも身勝手すぎる」

ブロンシュの王、ポンセは話を聞いて最初にそう零した


「甥のクロキュスから得た情報も共有しておこう」

「動きがあったのか?」

「動きがあったというよりは、我らのせいで動かざるを得なかったというべきか」

「「?」」

2人は顔を見合わせ首を傾げる


「婚姻のパーティーで我らが帰った直後、称号持ちは情報収集に動き出したようだ。その場に取り残されたのは王族のみ、称号持ちからの王族に対する信頼は地に落ちた」

「ああ、なるほど」

3国の王から見放された王族

そう映っても仕方のない状況だったのだ

勿論3人もそれを理解した上でやったことではあるのだが


「そういえばあの直後王宮で感染症が出たとか?」

「あれはクロキュス主導の計画だ」

「ほう?」

「クロキュスの友人と騎士団の団長をフジェに呼ぶためにしたことらしい。段取りは以前からつけていたが、団長の妹がナルシス付きのメイドだったようだ」

「あぁ、ならばそう簡単には王宮を出ることは出来んな」

「つまり…」

「感染症で死んだ者は抗菌袋に入れて埋葬される。その際住民票と中の人間が同じか等確認は行わない」

モーヴがそう言っただけで何となく事態を理解したのだろう

2人はおかしそうに笑いながら頷いた


「つまり、死んだことにして王宮を出たと?」

「そう言うことだ。ついでに称号なしの使用人に王宮を出るという選択肢を与えたわけだ」

「そういえばリストを貰った者がいくらかうちにも流れてきたと報告を受けた」

「うちもだ。パーティーの数日後だったから不思議ではあったがそういうことだったのか」

レンヌは意外なところで謎が解けたと納得したように頷いた


「精鋭の騎士10名はフジェに入った。ソンシティヴュの称号持ちの騎士が追ってきた場合の事を考えて前衛に出てもらうようだ」

「それは構わん。今一番危険なのはフジェだろうからな」

「カクテュスの領になったとはいえ直近まではソンシティヴュの領だった。他の場所を責めるよりは容易いと判断してもおかしくないからな」

「そう言ってもらえると助かる。そこでだ」

モーヴが一旦言葉を切った


「クロキュスたちがナルシスに伝えた感染症の隔離期間は1か月、その間にかなりの称号なしが3国に流れたのは知っての通りだ」

2人はその言葉に頷いた


「そろそろソンシティヴュを切り捨ててもいいと思うのだが?」

「ほう。どのように?」

「ソンシティヴュを高さ20mの壁で囲う」

「…そこの魔術士なら可能か?」

とんでもない話ではあるもののカクテュスの魔術師の力を考えれば不可能ではない


「確認してみたら、力を見せつけてやると意気込んでおった」

「それは頼もしいな」

「期待してくれ。3国との出入りはそれぞれ1か所ずつ設けて称号なしの亡命だけは受け入れると発表する」

「どうせなら猶予を設けた方がいいと思うが」

「1か月もあれば十分だろう?」

「ではその後はソンシティヴュは孤立するということだな。金に任せて解決してきた称号持ちがどう出るか…」

その口調には楽しみだとでもいうような響きがあった


「明日から魔術師に動いてもらう。壁ができ次第ソンシティヴュ中に声明を出そう」

「その手筈は任せても良いのか?」

「ああ、大丈夫だ」

3人は詳細を詰めてその日の話し合いを終えた

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