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64.突然の訪問

定休日、ロキとくつろいでるとドアがノックされた

「どうぞー」

「ロキにお客さん来てるんだけど…」

「俺?」

「心当たりがないなとロキが首を傾げる

「シュロって言えばわかるって」

カメリアが戸惑い気味に言う


「シュロ?あぁ、行くよ」

「よかった。お知り合いなのね」

「知り合いって言うかロキの従兄弟ね」

「従兄弟って…まさか…」

「王族の一人だけど冒険者してる人だからそんなにかしこまらなくても大丈夫だよ」

「そう?本当に?」

「本当に。私も行ってくるね」

ビクビクするカメリアに笑ってそういうとロキの後を追う


「よう」

ロキはエントランスに立っていたシュロに軽く手を上げた


「良かった。カフェが閉まってたからどうしようかと思って」

「水の日は定休日なんだ」

「どうぞ上がって?コーヒーでいいかしら?」

「ああ。ありがと」

シュロは頷いてロキと共にサロンに向かう

私は3人分のコーヒーと軽いスイーツを用意してサロンに向かった


「お待たせー」

「これが噂のスイーツ?」

「…の中のいくつか、かな。口に合うといいんだけど」

笑って言いながらテーブルに並べていく


「で、突然どうしたんだよ?」

「いや、顔出すって言っただろ?」

何をいまさらとでも言うようにシュロは言う


「来るのは聞いてたけど連絡ぐらい寄越してから来ると思ってたからさ」

「ただの従兄弟としての訪問だから問題ないと思ったんだよ。まさか定休日とは思わなかったけど」

「なるほど。まぁ何かがあったわけじゃないならいい」

「何かがあった時は俺じゃなくシャドウが動くよ。それにしても美味いな」

尤もなことをサラッと言いながらシュロは次々とスイーツを平らげていく

結構な食べっぷりなんだけど大丈夫かしら?


「シュロ、あなたひょっとしてお昼まだとか…?」

「カフェで食うつもりだったからな」

「じゃぁこっちの方がいいかしら?」

私はインベントリからストックしていたサンドイッチを取り出した


「こいつは有り難い。クロキュスお前本当にいい嫁さん貰ったよな?」

「は?」

「美人でスタイルよくて強くて気が利いて…おまけに料理が美味い。オリビエ、クロキュスに嫌気がさしたら是非声かけてくれよな」

シュロがそう言った途端拳骨が落ちていた


「いってぇな…冗談だろぉ…」

頭をさすりながら恨めしそうにロキを見る


「こいつに関するその手の冗談は一切受け付けない」

「ロキ…」

言い切るロキに苦笑する


「分かった。何か命の危険を感じるから二度と言わない」

そう言ってはいるもののシュロはSランク冒険者だ

簡単に殺されたりはしないし、ロキもそこまで怒ってるわけじゃない

でもその後、その手の話は一切出てこなかった


「あ、これをオリビエに」

シュロはマジックバッグから書類の束を取り出した


「これは?」

「クロキュスに頼まれてたカクテュスの迷宮の情報。それはコピーだから返さなくていいよ」

「本当?ありがとー」

これは滅茶苦茶嬉しい


「で、代わりにといっては何だけどフジェにある迷宮の情報を貰えればと思ってね」

「それはもちろんいいんだけど持って行かれるとちょっと困る」

「その点は大丈夫。俺のシャドウが複製のスキルを持ってるからこの場で複製させてもらう」

「そういうことなら」

私はインベントリからまとめた紙の束を取り出す


「定休日に時々行ってるだけだから攻略終わってるのは初級の2つだけなんだけど」

「十分だよ。正直ここまでまとめられてると思わなかった」

シュロはそう言いながらシャドウを呼び出した


「これ複製して」

「承知しました」

シャドウは目の前で書類を複製していく


「すごい…」

「中々面白いスキルだろう?何かの証拠を集める時には便利なんだよな」

「恐れ入ります」

シャドウは黙々と作業を続ける


「それにしてもオリビエは何でこんなのまとめ出したわけ?」

「大した理由はないんだけど…」

「…こいつはカフェで使う食材関連の覚書で始めたんだよ」

「は?」

シュロだけでなくシャドウまで一瞬顔を上げた


「ほら、迷宮って店に出回ってない食材は勿論、香辛料や調味料も出るでしょう?」

「それは確かに出るけど…」

「これ、うちのメニューなんだけど、この迷宮産のところで重宝するのよね」

私はシュロにチラシを渡す


「この町ってのはフジェ?」

「そう。創作は私の元の世界の料理」

「フジェに迷宮、創作料理ね…ここにカクテュスも付けたら?」

「それ騎士の人に言われたわ。今検討中」

「じゃぁこんな本なら役に立つかな?」

シュロが取り出したのは料理の本


「これカクテュスの家庭料理?」

「ああ。何かの依頼の時にもらったけど俺は使わないからあげるよ」

「よろしければこちらもどうぞ」

シャドウからも本が差し出された


「アウトドア料理って…何でお前がこんな本持ってんだよ?」

「姉に押し付けられました」

「え、それって貰って大丈夫なの?」

「どうぞ。料理は出来ないので」

本当にいいのか迷いロキを見ると頷かれた


「…じゃぁありがたく頂きます。お礼にスイーツいかが?お好きなものをお持ちください」

「ありがとうございます」

一瞬シャドウの顔にふにゃっとした笑顔が浮かんだ気がした

気のせいかな?


「複製完了です」

「お、ご苦労さん」

シュロが言うと同時にスイーツと共に姿は消えていた


「カクテュスの料理本2冊も手に入っちゃった」

「ふっ…良かったな」

「こっちは返しとくよ」

「どうも」

受け取ってインベントリにしまう


「ねぇ、さっきシャドウの顔がふにゃって笑ったように見えたんだけど気のせい?」

「俺にもそう見えたな」

ロキも言う


「あいつ甘いものに目がない」

「そうだったんだ?もっとあげればよかったかな?」

「甘やかさなくていいよ。あいつにやるくらいなら俺がもらう」

シュロがサラっとそう言った

甘やかすとかじゃないと思うんだけどね…


「…ねぇ、シャドウって甘いもの好きが多いの?」

ロキについてるシャドウも私についてるシャドウもかなりの甘いもの好きだ


「普段気を張ってるから糖分不足してんのかもな」

「あぁ、なるほど…今度飴でも渡してみようかな」

「飴?」

「甘い蜜を固めたような感じ?しばらく口の中で楽しめるよ」

「それ移動中とかによさそうだな。馬車で長時間移動してる時とか特に」

「シュロは馬車移動が多いの?」

「商人からの情報収集で護衛依頼受けることが多いからな。護衛中は口が軽くなるらしい」

「なるほど…」

「そういやここ来るときに面白い話を聞いたな」

シュロはそう言ってコーヒーを口に含んだ

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