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55.賑わうフジェの町

「返事が来たぞ」

マロニエが鷹から受け取った手紙を掲げて食堂に入ってくる


「騎士たちか?」

「ああ。特攻隊の4人が家族そろってこっちに来る。本人たちは4日後の魔物の間引きに向かった後こっちに来るらしい」

「誰が来るの?」

コルザが尋ねる


「俺たちの知り合いだ。お前たちにも友達が増えるかもしれないな」

「本当?」

「友達!」

「遊ぶ」

下の3人は大はしゃぎだ

町が小さいだけに子供の数も少ない

同じ年頃の子供と遊びたくても意外と近くにいないというのが現状だ

そこに友達が増えるかもしれないと言われれば、喜ぶのも当然かもしれない


「住む場所はどうするの?」

「領主に頼んで大きめの空き家4軒は押さえてもらってる。これで怒られずに済む」

「怒られる?」

「ああ。今は検問が移った関係で空き家は早い者勝ちだからな」

「そっか…」

押えてもらってたのにいらないとは言いづらいわよね


「お前ここに住まわすとか言うなよ?」

「分かってるよ。流石にそれはトラブルの元にしかならないし」

すかさずくぎを刺したロキに苦笑する


「当面の間、家が確保できない騎士が寝泊まりできるように、宿屋を1軒騎士団で借り上げた。他の宿は職人が優先だな」

「家を建てたり?」

「そういうこと。大工とあとはカクテュス側への整備にあたるやつらだな。山を一部潰して町を新たに作る予定だ」

ロキは取り出した紙に簡単にフジェから王都までの町を書いていく

結構壮大なプロジェクトって感じかも

まぁ町を作るなら当然かしら?


「フジェが山に囲まれている関係で今はこの1か所からしか出入りができない。だから、この反対側に道を通してその先に新しい町を作る。これは新たに受け入れる住民の事も考慮した結果だな。距離的に馬車でも1時間程度、騎士がそっちに住んでも問題ない距離だ」

「新しく来る民と町を守る騎士を同時に住まわせるってことか」

「治安的にも一番いいだろ?」

「カクテュスの人と結婚した人たちも家族に会いやすくなるわね」

カメリアが嬉しそうに言う


「私の友人にもいるのよ。娘が嫁いでから中々会えなくてって言って悲しんでいる人が。王都の手前の町だから新しい道が出来たら喜ぶと思うわ」

「でも山を切り開くなんて簡単にできるの?」

「カクテュスに取ったら簡単なことだ。魔術師が5人もいれば1日で完了させるだろ」

「1日で?」

それは流石に早すぎはしないだろうか?

しかもたった5人で


「問題なくやるはずだ。そもそもそれだけの力がなければ城で抱えてない」

「なるほど。じゃぁ切り開いた後はとりあえず道を通してから徐々に町か?」

「それが一番妥当だろ。すでにコルシックとネニファ、アステーの町からこの新しい町に向かう道は整備し始めてる。同時に都市計画を進めてるからそれが出来次第宿と市場の建設に入るだろう」

ロキは図に書き込みながら説明してくれた


「ただ、問題はどの規模の家をどれくらい立てるかなんだ。1軒ずつ建てるのはともかくそれで足りるのかどうかもわからない」

「そうか。今回の状況じゃ一族で他国への移住だもんな。知らない土地となると一族揃って住みたい者もこれまで通り家族だけで住みたい者もいるか…」

「…こっちには集合住宅ってないの?」

「集合住宅?」

「なにそれー?」

「初めて聞いた」

これまで黙っていたウーやブラシュまでもが口を挟む


「大きな建物の中に同じような間取りの部屋を数種類用意した…」

「ここと一緒?」

ロベリが尋ねる


「…そうねイメージ的にはそんな感じ。でもそれぞれの部屋が1つの家みたいな感じ」

次は私が図に書いていく

1DK、2DK、2LDK、3LDK・・・・


「こんな感じかな。同じ建物の中にいくつかのタイプを用意しておけば、人数に合わせて選ぶことも出来るし2階建てや3階建てにすれば、敷地が少なくてもたくさんの住居を確保することが出来るわ。ただ、日当たりとかを考えれば高層のものは建てる位置を考えなきゃだめだけど」

「…これ送ってもいいか?」

「こんなお絵描きみたいのでもよければ」

苦笑しながら頷いた

あとでシャドウが持って行くのだろう


「これなら別の住居でも近くに住めるから便利かもな」

「そうだね。俺、今日から親父と同じ部屋で寝ろって言われたらキツイし」

ブラシュの言葉にみんなが笑い出す


「検問に4人の家族のことも伝えて来るよ。早ければ今日か明日到着する人もいそうだから」

マロニエが立ち上がる


「あ、マロニエ、これを渡してもらうように言ってもらえる?カフェのチラシと手紙が入ってるから。ついでに屋台に顔出して今日から開けるって伝えてくれる?」

「了解。助かるよ」

マロニエは4つの封筒を受け取り出て行った


「今日から開けるのか?」

「開けるよー。腕が鳴るわ」

「手が必要だったら声かけて」

「ありがと。カメリア。頼りにしてます。みんなもお昼ご飯は好きなときに食べに来てね」

そう告げてロキとカフェに向かう

カフェを開けている日のみんなの昼食はカフェのメニューでいいか確認した時に、むしろその方が楽しみが増えていいと言われた

どうやら自分で選ぶというのが楽しいらしい

子供たちなどランチで悩み飲み物で悩み、スイーツで悩むという3段階の悩みにかなりの時間をかけている

ダビア達は迷宮に行くときは、サイドメニューから適当に選んで持って行くのを忘れない

帰ってきたときにそれ以上の食材が積み上げられることを考えたら少々申し訳ない気もするけど…

私としては皆がそれでいいと言ってくれるなら問題ない

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