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12.屋敷のルール

朝食を終えてすぐサロンに皆を集めた

私の横にはロキが座り

正面にリラを抱いたカメリアとジョンが、ウーとコルザ、ロベリは床に座っていた


「オリビエ、話って何?」

ロベリが尋ねる


「これからここで一緒に暮らしていくからみんなでルールを決めようと思ってね」

「ルール?」

「そう。約束事ね。みんな違う環境で暮らしてきたから、最初にある程度決めておいた方がもめごとも回避できるしね」

「どんなルール?」

「それを今から決めるのよ」

そう言うとコルザとロベリはワクワクしているのが見て取れた


「まずは…それぞれの部屋の使い道ね」

「2階と3階は居室だから関係ないんだろ?」

「でもないのよね」

「?」

ロキは首を傾げる


「これが3階の間取り図ね。ジョンとウーが使ってるのはここで合ってる?」

「うん。左側であってるよ」

ウーが頷く


「ロキが家具を運び出したのは…」

「あぁ、こっちだな」

階段横の部屋を指さしてくれたのでそこに”家具無”と記入する


「今は3階を使ってるのはジョン達だけだけど増える可能性もあるからね」

「増えるの?」

食いついたのはコルザだ


「部屋はいっぱい余ってるからね」

「あきべやだらけー」

リラがケラケラ笑いながら言う


「色んなことしてる人が増えたら楽しそうだなーとは思ってるのよ?」

「こどもは?」

「可能性はあるかもしれないわね」

そう答えると小さな3人は嬉しそうに笑う

友達を増やしてあげれたら一番いいんだけどね


「誰がどこを使ってるか皆が分かるようにしとこうと思って。呼びに行くときにどの部屋だっけって悩むのも嫌だし」

「確かにそれはあるか。じゃぁ、その間取り図を階段の上辺りにでも貼るのか?」

「そのつもり。後はドアにネームプレートみたいの付けれたらいいなーって。間違えて入っても嫌だし」

「それはあるかも。空き部屋と思って入ったのに、ジョン達がいたらちょっと気まずいわ」

カメリアの言葉にジョンが笑い出す


「じゃあドアにかけれるようなネームプレートとフックを用意しないとね…木工職人とかいないかなぁ…」

「お前…あらゆる職人ここに集める気じゃねぇだろうな?」

「それ面白そうね?」

ロキの呆れたような言葉に思わず食いついてしまった

そういう方面でもちょっと考えてみようとたくらむのをロキが呆れたように見ていた


「2階は私がこっちでロキが反対側ね」

「階段側の2部屋からベッド運び出してるな」

「了解」

そのまま間取り図に”ベッド無”と書き込んでいく


「あとは1階。ホール側の応接室はカメリアたちが使ってて、食堂はこの小さい方を使ってるでしょ。この大食堂の使い道はおいおい考えましょう」

「さすがにこの人数で大食堂はないからな」

「確かにあの広さにこの人数だと虚しい?」

ジョンとウーの言葉に皆が笑った

この感じいいなーなんて思いながらもちろん私も笑っていた


「今いるこのサロン2は、私たちの居間として使うことにしましょう」

「ならチビたちが座れる椅子も用意しないとな」

床に座り込んでいる子供たちを見ながら言う

今は6月なので問題ないけど冬の寒い時期になったら、カーペットが敷かれてても床は冷えるかもしれない

まだこの世界の事が分からないから何とも言えないけど…


「僕クッションでいいよ?」

ウーが言う


「あー大きめのクッションとかもありかもね。すぐに移動できるし…」

「両方用意すりゃいんじゃん。床に座るの前提ならもう少し厚めのカーペット敷いた方がいいけど」

「そうね。寒い時期は床も冷たくなるだろうしね」

やっぱり寒くなるのね


「ならこの上に小さめのを重ねて敷いたらいいだろう。アクセントにもなって丁度いいんじゃないか?」

「それいいわね。流石全体を見るジョンね」

こうして皆で考えるのは思いのほか楽しくいろんな意見が出てきた

それをメモしながら決めていく


「手前のホールは子供たちの遊び部屋でいいかな」

「「遊び部屋?」」

コルザとロベリが目を輝かせる


「晴れた日は外で遊べばいいけど雨の日は家の中になっちゃうからね。そこら中走り回られるより『ここ』って決めたほうが皆が危なくないでしょう?」

「ホールの広さなら走り回っても問題なさそうだな」

「むしろ十分すぎるかも…」

カメリアが絶句している


「それにホールは両方とも防音効果もしっかりしてそうなのよね」

「防音効果?」

ロベリが首を傾げる


「あなたたちが大きな声を出して騒いでも大丈夫ってことよ」

「ふつうなら近所迷惑になるから静かにしろって怒られるもんなー」

そう言ったのはウーだ


「騒いでも怒られない?」

「勿論よ」

そう答えるとコルザとロベリは顔を見合わせて…何かを企んだように笑った

おそらく後で騒ぎに行くのだろう

カメリアの言うことをよく聞くいい子たちだ

でもそれは色んなことを我慢してるということでもある

思う存分ホールで騒いでくれればいいと思う


「あとはお客様が来た時よね」

「応接室が2つとサロンが1つ?」

「そうなのよね。でもそんなに来客が多いとも思えないから、3つとも常に使える状態にする必要はないと思うのよね」

「その方がカメリアも楽だろうしな」

「私は別に…」

「流石に時間が勿体ないわ。とりあえずエントランスの正面にある応接室2をメインにして、後は住人が増えてきてから考えるってことでどうかな?」

「どうも何も俺らが客を呼ぶことはないだろうしなぁ」

ジョンが言う


「別に友人を呼んでもらっても構わないわよ」

「そうなのか?」

「勿論よ。住んでる以上そんなことに文句言わないって。自分たちの部屋に呼ぶのは勿論、応接室を使うのも自由よ?泊まるなら3階に空き部屋いっぱいあるしね」

「いや、流石に泊りまではないと思うがな…それ以前に普通は自分の部屋でも嫌がられると思うんだが」

「ジョン、オリビエに普通を求めるな」

「え?ちょっと待ってよロキ。それは酷くない?」

「酷くない。お前は充分普通から外れてる」

キッパリ言い切ったロキをジト目で見ると皆が苦笑していた


その後も色々と決めていった


「後気になってるのは食堂の壁面収納なのよね」

「あぁ、結構な収納量だな」

「皆が使う場所だから、皆で共有できるものを置きたいなって思うんだけど…」

そう言うと皆が首をひねる

中々案が出ないものの何も置かないのも寂しい


「…本とか?図書コーナーみたいに誰が見てもいい本を置いとくのはどうだ」

ロキが思いついたように言う


「僕読めないよ?」

「じゃぁ絵本も今度買いに行きましょうか」

「絵本!」

ロベリがそう言ってカメリアを見る


「絵本なんて2年前に手放してから手にする機会なかったわね」

「2年前?」

「ええ。主人が亡くなって、長屋に引っ越す時にほとんどの荷物は処分してしまったのよ」

カメリアが少し寂しそうに言う


「そっか…じゃあこれから少しずつ増やしていきましょう。あ、ジョンが仕事に関する本を買うなら経費で落とすからね」

「何?」

「じゃあ図鑑とかは?」

「勿論、経費ね」

ジョンとウーが顔を見合わせる


「あ、ちなみにこれは王が手配してくれた本なのよ。これも棚に置いとくね」

「一般常識や礼儀作法まで…私が読んでもいい?」

「勿論誰が読んでもいいよ。読み終えるまで部屋に持って行くのもOK」

「じゃぁ俺のも適当に置いとくよ。流石に子供向けは無いけど図鑑系は何冊かあるな」

ロキがそう言いながら10冊ほど取り出した


「図鑑系は森の草木、薬草、魔物くらいか。どうしても討伐に関係するモノになるから」

騎士団だったことを考えれば納得のチョイスかもしれない

私自身冒険者をしていた時はその手の本は一通り目を通してたもの

死と隣り合わせの場で知識はとても役に立つ

だからこそ、この世界のことも少しでも知りたいと思ったのだから


「森の草木、借りてもいい?」

「ああ」

ロキは1冊をウーに渡した

それをウーが大事そうに抱えているのが微笑ましい


「俺の持ってる古い本も置いとこう。他に読む者などいないかもしれんが、数冊で埃をかぶってるより本も喜ぶだろう」

「親父の本ってじいちゃんからもらった本だろ?古すぎだって」

「いや、逆に興味があるな」

呆れたように言うウーにロキが言う


「まじで?」

「ああ。ジョン後で確認させてくれ」

「それは構わんが…」

思わぬところで需要があったと一番驚いているのはジョンだった

親から引き継いだ本、私も少し興味があったりする


「何か面白いね」

一通り決まってからそう言ったのはコルザだ


「何が?」

「誰かと一緒にモノを使うって初めてだから」

「じゃあもし子供が増えることがあったら、おもちゃも一緒に使うといいかもしれないわね」

カメリアの言葉にコルザは驚いた顔をした


「いいかもしれないね。せっかく遊び部屋があるんだしその一角に棚でも置いとこうか?」

そうなるとやっぱり木工職人が…


「お前木工職人欲しいと思ってるだろ?」

「…バレた?」

「顔に出てる」

呆れるロキに苦笑する

でもやっぱりお知り合いになりたいと思う気持ちは大きくなるばかりだった

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