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123.平穏な日々を壊すモノ

ソージュが生まれて1年、その間私たちは忙しいながらも穏やかな日々を過ごしていた

料理教室に魔道具作り、色んな人との交流を兼ねたBBQパーティー

カメリアにソージュをお願いして迷宮に繰り出すようにもなった

お店の中ではソージュは既にマスコット化していて、ソージュ目当てにやって来るお客さんもいるくらいだ

当のソージュは人見知りすることもなく、自らお客さんに向かって手を伸ばす

それがまたみんなの心をわしづかみにする原因でもあるんだろう…

私もロキもそんな日々を心から楽しんでいた


「クロキュス!オリビエ!お前らも来てくれ」

ダビアが少し緊迫した声と共に店に駆け込んできたのはそんな時だった


「どうしたんだよ?お前がそんなに取り乱すのは珍しいな」

ロキは苦笑しながら立ち上がる


「町のすぐ近くに迷宮が“出現”した」

ダビアの言葉にその場が静まり返った

ある日突然迷宮が出現する

それは私のいた世界でもこの世界でもまれに起こり得る現象ではある

何もなかった場所に突如現れる入り口

入ってみるまでそのランクも属性も何もわからないという厄介な代物だ


「迷宮とはまた…楽しくなりそうじゃないか?」

「そんな悠長なことを言ってる場合じゃない」

本来なら誰よりもワクワクしそうなダビアが険しい顔をする


「現れたのは…どうやら超級の迷宮らしい」

その言葉は重く響いた


「発見されたのは今朝。Cランクのパーティーが発見してすぐにギルドに報告された。今はギルドから冒険者が派遣されて調査がすすめられてる」

超級の迷宮はAランク以上の冒険者5人以上でパーティーを組んで初めて入場の許可が下りる


「今のところスタンピードの心配はないと判断されてるが調査を進めないことには…」

「それで俺達にも依頼が出されたか?今この町に居るAランク以上は俺らを除けば10人くらいか…」

カクテュスの領土になってから周囲に迷宮が豊富なこの町は冒険者の興味を引いている

そのおかげで滞在する冒険者も多く宿や店も増えた

とはいえ、Aランク以上となると絶対数が少ない為、滞在者も少なくなる


「ああ。この屋敷にいるAランク以上で一つのパーティーとして依頼を受ける」

この屋敷にいるAランク以上は6人だ

ロキとシュロ、フロックスはSランク、私とダビア、マロニエはAランクだ

この町に来た時Bランクだったマロニエは、暇さえあれば迷宮に行ったりクエストをこなしたりしているうちに基準を満たし、Aランクに上がっていた

ダビアは実力ではSランクなのに、Sランク以上に課せられている試験を受けるのを嫌ってAランクのままでいる

まぁ試験というより国の上の人間と直接関わるのがもう嫌なんだろうけど…


「すぐに準備するわ。カメリア、ソージュをお願い」

「任せて」

「ソージュ」

私はソージュを抱きしめて魔力を流す


「俺も」

ソージュを抱き受けたロキも同じように魔力を流す

魔力を通して言葉が分からなくても気持ちは届くらしい

これもこの世界ならではのことだ


「お店は通常通り営業して。人手が足りなければローズたちにお願いしてね」

「わかったわ」

カメリアが頷くのを確認してから私たちは準備にかかる

と言っても多少装備を整えるくらいであとは普段と変わらないのだけれど


「オリビエも行っちゃうの?」

リラが抱き付いて来る


「うん。だからソージュのことお願いできる?」

「…うん!」

リラは涙を拭って大きく頷いた


「屋敷と店を頼む。ないとは思うが万が一の時は自分の身を第一に考えてくれ」

ロキの言葉に皆が頷いた

この日常が崩れないことを祈りつつ私たちは屋敷を後にしてギルドに向かった

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