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112.王族の裁き(side:3国会議)

「さて、最後は王族か」

「オナグルは暫定の処分が下されているのだったか?」

「切り落とされた腕はそのままに鉱山に送っています」

「ただでさえ重労働である鉱山に腕を切り落とされたままとは…なかなかえぐいことをする」

レンヌが声をたてて笑う


「まだ甘い方だ。俺の母上は痛覚を増幅させろと言っていたからな」

「それでは精神崩壊もあり得ると言うことで、現状維持で納得してていただきました」

モーヴの言葉にスキットが補足した


「現状維持ということは…」

「悪化することが無い反面治癒することも痛みが軽減することもない魔術を施しています」

その説明に状況を想像してしまった者の顔色が悪くなる


「一番怒らせてはならないお方は健在か。頼もしいことだ。で、どうなっているんだ?」

「ノルマをこなすのに時間がかかり鉱山の仕事の終わる時間以降も働き続けていますよ。数時間休んで朝からまた仕事が始まるが…荒くれ者の玩具にされていることもあると聞く」

「あぁ…獣が多いからな…」

考えただけでもぞっとすると首を横に振る

荒くれ者は血や叫び声に興奮する

溜った性欲を吐き出せるなら相手が同性だろうと気にすることもない

見た目だけはいいオナグルはそういう意味では目を付けられやすいともいえる


「最初こそやめろと命令していたが、3日も経てばやめてくれと懇願するようになったとか。まぁそれでやめるような連中ではないだろうが」

「歌姫が離宮に閉じ込められていたのは半年ほどであったか」

「そう聞いている」

「ではオナグルにも半年は耐えてもらわねばな」

「言葉で言って分かる奴じゃない。自分のしたことをその身を以て知ればまだ良しか」

「オナグルに関してはあまり期待できんな…それでも望まぬ行為に対する屈辱くらいは味わうだろう」

「ならず者が勝つかオナグルの馬鹿さが勝つか。いずれにしても『肉体労働に落とされ、その中で男娼として甚振られていた』と広めてやれば、誰にも相手にしてもらえなくはなるだろうな」

「半年後の奴の状況を見てもう一度検討するのもよいか」

「ああ、それがいい」

どうせ今から決めたところでまた考えねばならないだろうからと、半分呆れたような声まで出ていた


「問題はナルシスか…」

その言葉に一気に空気が重くなる


「愚息の言うがまま先陣を切って元国民のいる町を攻めた愚王か…」

「王宮の汚物処理でもさせますか」

レンヌがぼそりと呟いた


「1年ごとに3国持ち回りで、生涯その仕事だけを与えるというのもいいと思ってな」

「自分がいたはずの、王宮という場所の汚物処理ですか」

「汚物処理は奴隷の仕事だが…」

「あれは奴隷以下ですからな。国家間の取り決めも守れん王族など人扱いする価値もない。私は賛成させてもらいます」

マアグリのまだ若い騎士が吐き捨てるように言った


「…申し訳ない。彼の弟は魔物の瘴気でやられた。それも最近の事だ」

その言葉に皆が言葉を飲み込んだ

聖女を召喚してくれていれば失わずに済んだかもしれない命だと、その気持ちが誰よりも大きいのは彼の様に最近になって身近な者を亡くした者だろう

もっとも聖女や勇者が召喚されていたとしても助かっていたとは言い切れないのは皆分かっているが


「他の案、もしくは反対の意見はあるだろうか?」

暫く各国でざわついたもののおおむね賛成との返答だった


ブロンズとシルバーは新しい町の開拓後亡命者の町づくり

ゴールドの男性陣は何でも屋

女性陣は魔物の被害を受けた者の施設での最下層での業務

オナグルは鉱山

ナルシスは各国の王宮で汚物処理


「ただし、定期的な会合で経過を見て変更を可としてもらいたい」

それだけが付け加えられた


「ひとまず全ての処遇は決まった。明日すべての者にチップを埋め込み、明後日にはソンシティヴュの崩壊ということで良いか?」

「ああ、それでいい」

「時間が許すならここに滞在してもらって構わないが…」

「そうさせてもらおう」

「我々もそうさせてもらうよ。久しぶりに3人でとことん語り合おうじゃないか」

王たちの言葉に皆が動き出す

残る者は部屋に案内してもらい一部の者は帰っていく

時間の許す限り昼の延長で交流が持たれた

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