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103.カメリアとの交渉

この日、私とロキは応接室でカメリアと向き合っていた

「…改まってのお話って何かしら?」

カメリアは少し強張った表情でそう尋ねて来た


「実はね、カフェを拡張しようと思ってるの」

「カフェを拡張?」

「そう。と言っても店の前テラスコーナーに屋根を付けてテラス席として使う予定なんだけどね」

この世界では1の月~6の月の暖期と、7の月~12の月の寒期がある

と言っても、暖期の平均気温は23度、寒期で19度で、朝晩は少し下がる程度だからテラス席でも年間を通して利用者が見込める


「それでカメリアに相談なんだけど、カメリアには正式にカフェのスタッフになってもらいたいの」

「カフェの?でも私はただの掃除婦で…」

「カメリアの掃除の腕が凄いのは分かってる。同じくらい料理の腕と接客の腕もね」

「オリビエ…」

「最終的にカメリアにお願いしたいのはカフェのスタッフ、食事の準備の手伝いと1階及び私たちの部屋の清掃かな」

「掃除も続けさせてもらえるの?」

「むしろお願いしたい。カメリア程の腕を持つ清掃人を見つけるのは難しいからな」

ロキが当然の様に言う

カメリアが清掃の仕事を誇りに思ってることは私達も知ってるので、それを完全に奪う気はない


「サロンの本棚やホールの玩具で分かると思うけど、私たちの部屋や1階は信用できる人以外に入って欲しくないの。だから2階の他の部屋と3階の清掃をしてもらうスタッフを増員しようと思ってる。勿論これはカメリアがカフェのスタッフを引き受けてくれた場合の話だけど」

「…もし断ったら?」

「カフェのスタッフを増員してカメリアにはこれまで通りの仕事をお願いするわ。どちらにしても報酬は増額させてもらうけど」

「報酬の増額は望んでないわ」

「それはダメ。元々少なすぎるんだもの。正当な対価を支払わないとタマリの前の領主と同じになっちゃう」

最低な領主と同じにはなりたくない


「最初はとにかくカメリアにここに留まって欲しかったからカメリアの気持ちを汲んだけど、そろそろ一般的な報酬を払わせて欲しいの」

「一般的な報酬…」

「さっき同じようにナハマとも、ジョンとも話をしたわ。ナハマもジョンも増額することで契約し直したわ。流石にウーはまだ成人前だからって言うことで今まで通りになっちゃったけど」

ジョンはあまりにも頑固だった

ウーを増額するならジョンの契約を元に戻せと言い張った

だからウーが成人するまでという条件を付けてウーの報酬はこれまで通りとなった


「カクテュスの一般的な報酬は10万シアなの。ジョンのような技術職はもう少し高くなるけどね。だからカメリアも10万シアより下げるわけにはいかないわ」

本当は住み込みの場合そこから一部の費用が引かれるらしいけどそれは言わない

カメリアは黙り込んでしまった

今までの倍以上になるだけに困惑してるのが見て取れる

でも一般的な報酬として提示されれば強くは出られないと言ったところかしら


「…わかった。オリビエを前領主と同じだなんて言われたくないから増額には同意するわ。でも、10万シア以上は絶対に嫌よ?」

増やすのをここまで拒否する人も珍しい


「仕事はカフェのスタッフの方を選びたいわ。スタッフになる以上、スイーツの取り分は無しにして」

本気で10万シア以上受け取る気がないらしい


「…わかったわ」

これ以上はカメリアも譲る気はなさそうなので私も諦めた

本当ならもっと払ってもいいくらいなんだけどね

私が頷くとロキがあらかじめ用意していたカフェスタッフを含んだ契約書に報酬額を書き加えてカメリアに渡した

カメリアは内容を確認して魔力でサインする


「報酬の件はこれで終りね。次はこれからのことなんだけど、当分の間はこれまで通りお願い。2階の私たちの部屋以外の部分と3階の清掃をするスタッフを探すから、決まったら仕事を教えて欲しいの」

「スタッフにあてはあるの?」

「今のところは全く。もしカメリアに心当たりがあれば紹介してもらえると助かるけど。勿論通いでも住み込みでもどちらでも構わないわ」

そう、まったくもってあてがない

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