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94.引っ越し

騎士団の新しい宿舎が完成したとの報告が入った

「カトリックとロリエは明日から宿舎にお引越しだからね」

今朝そう子供たちに告げるとお別れパーティーをすると言い出した


「バーベキューでいいかしらね?」

「ついでに特攻と精鋭も呼べば?」

「かなりの大所帯だけど?」

家族たちも来るなら30名以上来ることになるだろう


「だめー?」

子供達は特攻騎士の子供達が来る事を期待しているのか、すがるような目で見てきた

カメリアを見ると苦笑しているので問題はないだろう


「よし、じゃぁみんなにも手伝ってもらわなきゃね」

「お手伝いする!」

「僕も!」

「するー!」

明るい返事と輝くような笑顔が返ってきた


「カトリック、今日皆に声かけてくれる?」

「えっと…」

「自分のお別れ会があるからとは言いづらいよな」

ダビアがゲラゲラ笑いながら言う


「みんなでパーティーするからってことでいいから」

苦笑しながら言うとためらいながらも頷いた


「何か申し訳ないです」

「ロリエには子供たちが随分お世話になったもの。宿舎に移ってからも遊びに来てくれると嬉しいわ」

本当に申し訳なさそうに言うロリエに、カメリアがだから気にするなと声をかけていた

特攻騎士の家は詰所から近いため休憩の時にでも伝えに行くだろうし、精鋭で連れがいる者は2人、その連れは特攻騎士の家でお世話になっているらしいから問題ない


「フロックス、俺らは肉でも採って来るか」

「は?てかバーベキューって何だよ?」

フロックスはパーティーするのに何で肉を採りに行くのかが理解できずに困惑したままロキを見る

同様にカトリックとロリエも答えを求めてロキを見る

そう言えば復興支援金が出た時のバーベキューの日は、3人は精鋭さん達と食事に行ってたんだっけ


「野営みたいなもんだ」

シュロの時より言葉が少なくなった


「野営?火を熾して焼いて食うってことか?」

「そういうこと」

「なるほど。なら採ってくる必要はあるな」

何故あれだけで通じるのかしら?

彼らなりの共通言語ってこと?

これ、本当に理解してる?


「どうした?」

「え?あ、今の説明だけでどうしたらその結論になるのかなと」

ロキに問われてそう答えるとダビアが笑い出す


「俺らの野営はバーベキューみたいなもんだからな。ただし肉しかないけど。しかも味付けは塩のみ」

「…」

肉オンリー…

想像しただけでちょっと気持ち悪い


「しかもダビアとフロックスは軽く5人前は食う」

「まぁ、2人が人一倍食べるのは知ってるけど」

「オリビエが出す肉が野営のクオリティなわけないからな。上手い肉がたらふく食えるなら5人前じゃ足りん」

フロックスが言い切った

それだけ食べてこのスタイルが維持できるからだがちょっと憎いわ…

フロックスもロキも筋肉質だけど細い

シュロとマロニエも似たような感じかな?

フロックスと同じように食べるダビアだけがガッチリ系だけど


「しかもあいつらも来るんだろ?ならストックがあるとしても補充は必要だろ」

「…騎士さん達も大量に食べるってことね?」

「ま、そういうことだ」

何となく理解は出来た


「マロニエ」

「何?」

「せっかくだからローズたちも呼んじゃいなさいよ」

「は?」

カメリアが爆弾を投下した

いきなり自分に矛先が向いたマロニエは、口に運ぼうとしていたおかずを落としてしまった


「カメリアいいこと言うわ。アカシアたちが喜ぶわよね。出会いがないーっていつも唸ってるから」

「でしょう?騎士さん達ばかりじゃむさ苦しいし花は必要よね」

「ならサッパリした肉も必要か?」

「フロックス流石ねぇ」

カメリアに言われてフロックスは照れたように顔をそらした


「ふふ…じゃぁサッパリした肉もお願いね。あの子たちにはランから伝えてもらうわ」

今朝やってくるのはランなのでその時に伝えれば十分間に合うはずだ


「さぁ、今日は忙しくなるわよ。カフェしながら準備だからね」

「俺達も手伝うぞ」

「ありがとう。ジョン達は庭の準備をお願いね」

「そうだな…小屋の作業台や椅子も出すか」

「3階の倉庫にあるのも出した方がよさそうだな。俺が後で降ろしとくよ」

人数を考えればそれだけでも足りないかもしれない


「私のも後で出しに行くね」

「まだ持ってるのか?」

「少しだけね」

私が答えるも皆の視線はロキに向く


「結構あるな」

インベントリの整理をした時に私の荷物をすべて見ているロキはボソッと呟くように言う


「そんなにないでしょ?」

「…お前の感覚がおかしい事をそろそろ自覚しようか」

「えー」

何となく理解はしてるけど納得はしたくない


「ま、どんだけおかしくても手放す気はないから安心しろ」

「出た。クロキュスの溺愛」

シュロがからかうように言うと皆が笑い出す

当のロキは以前の照れる様子はどこかへ消えたようで、だったら何だとでも言わんばかりに何事も無かったかのように構えている

居たたまれなくなった私は話題を逸らすことにした


「バーベキューのサイド料理、何か希望ある?」

「サンドイッチ!パンの固いヤツ!」

「プリン」

「フライドポテトと唐揚げ」

「サラダもいいな。生ハム入り」

「チーズだろう」

「フィッシュアンドチップスもいいな」

次々と意見が飛んでくる

それを順にメモしているとカメリアが側に来る


「私は揚げ物を引き受けるわね。子ども達に衣を手伝ってもらえば私は揚げるだけで済むから」

「確かにそうね。お願い」

「お手伝い?」

「そうよ。揚げ物の衣付け、出来る?」

「「「出来る」」」

「じゃぁお願いね。ウーは切るのを手伝ってくれる?」

「分かった」

ウーは大きく頷いた


「チビ達が手伝いするなら俺も食糧調達に行くかな」

皆でバーベキューの準備をするなら屋敷にいる必要は特にない


「ダビア達が肉を調達するならチーズだな。オリビエ、チーズはどこだった?」

「南の迷宮の26層」

「南は中級か。シュロ行けるか?」

「ああ。丁度いいから勝負しようぜ」

「面白そうだな。乗った」

2人はニヤリと笑う


「…大量のチーズが手に入りそうね」

26階層のチーズはかなり種類が豊富だったはず

2人が競い合うなら数も種類も相当たまりそうだわ

今度チーズフォンデュでもしようかしら


「ダビア、俺達も勝負だ」

「望むところだ。じゃぁ行ってくる」

フロックスの言葉にダビアだけでなくマロニエとシュロも食事を終えて出て行った

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