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界雷の英雄  作者: 水瀬 岬
3/4

3話「強襲と憧れ」

「殺す…。」

ゲームとかに出てくる敵キャラに言った事はあるが、そこに明確な殺意は存在しない。


しかし今は違う。この男が放つその言葉と攻撃には、計り知れないほど強力な殺意がある。

もし攻撃を受ければ助からないだろう……。

でも、せめて彼女だけでも地空(ちあき)だけでも守らなければ、そう思い(ひびき)は地空を押し飛ばし攻撃の射程外に出す。

「え…響?なんで」

ああ…ここで終わるのか、俺の夢は。こんなところで知らない奴に終わらせられるのか。

死を覚悟した。15年間夢見てきたことを達成できず、ここで死ぬのだと…。そして目を閉じた。


「…裂!」

不意にそんな声が聞こえた気がした。男の響の命を狙った攻撃が、響に当たることは無かった。

響が目を開けると、自分と男の腕の間に黒いひび割れのようなものがあるのに気がついた。

「なんだ、これ。」

響が驚いてる間も男は攻撃を続けようとする。

「このギフト、なぜだ!何故ここに奴が。まぁいい……私は私のために、ここでコイツを……殺す。」

そう言って男が攻撃を再開すると、2人の間に人影が割って入る。その人影が再度男の攻撃を止めると、

「逃げて!」

人影はそう言った。

「誰か分からないけど、ありがとう!地空行くぞ。」

「うん、逃げよう。」

泣きそうな顔をした地空の手を引き響は走った。




2人は響の家に駆け込んだ。何も考えず、ただ「逃げろ」という言葉に従って走ったためか2人とも家に入ると同時に玄関で倒れた。

命を拾った、一度諦めかけた命だ。

なんだったんだろう、さっき起きたことは夢だったのか。本気で命を狙われるようなことしたことがない、思い当たる節がない。

あれが、あの感覚が死の恐怖。真っ暗な世界でそんなことを考えていると遠くから声がする。


‥‥‥びき。‥‥ひびき!


誰かが自分の名前を呼んでいる。そして意識が覚醒する。

「響、起きて!」

目を開けると地空がいた。声の正体は地空だった。

「地空、無事だったんだ。よかった。」

「私もさっき目が覚めたんだ。おばさん呼んでくるから待っててね。」

「お、おうサンキューな」


おばさんというのは、うちの母鳴雷 響子(なるかみ きょうこ)である。地空が幼馴染ということもあり2人とも昔から仲がいい。

俺の部屋を地空が出ると同時にガチャッと玄関の開きドタバタと騒がしい足音と声がする。


「お姉ちゃん、大丈夫!?」

地空の妹である。地空には3つ離れた今年中学生の妹がいる。


地夏(ちなつ)どうしたの!?」

「お姉ちゃんが響くんの家で倒れたって聞いたから心配で。」

「そうだよね。心配かけちゃって、ごめんね。」


ピンポーン

2人が話しているとすぐ後ろからインターホンの音がする。

「はーい、地空ちゃん誰が来たか見てくれないかしら。夕飯の準備で少し忙しいのよ。」

響子の頼みに「はい」と返事をし地空はドアの覗き穴から外を見ると、そこには見知った顔があった。


「えっ!先生。」

そこに居たのは地空と響の担任の色無 白人(いろなし はくと)であった。





「いや〜、急に押しかけてしまって誠に申し訳ない。近くでフィアーが出たとの連絡が入ったので、鳴雷君と震道さんが心配でしてね。」

「先生!それってボロボロのフード被った大男みたいな人だった?」

近くで出たフィアーと聞き、地空は白人に食い気味に詳細について聞く。

「ん?いや、全然別だよ。どうしてそんなこと聞くんだ?というか、ここ鳴雷君の家なのに、先程から彼の姿が見えないが何かあったって感じかな?」

「えっと、、、」

「先生!俺から説明する。」

地空の声を遮るように自室から出てきた響が言う。そして響は帰宅中に起きた出来事について白人に語った。





「先生、こちらどうぞ。」

一通り話終わる頃に響子が白人の前にお茶を運ぶ。

「わざわざありがとうございます、いただきます。」

「先生!先生が言ってたフィアーが別の奴ってことは、まだ私たちを襲ったのは捕まってないってことかな。」

「いや、僕はここ一帯のパトロールをしているが今日は2人の言う大男らしき者を見てはいない。もしかすると2人を助けてくれた人が対処してくれたかもね。それにまだこの街にいるというなら僕が逃がさないよ。これでも僕はNo.2だよ。」


心配そうな地空の言葉を地空と響の肩に手を乗せて白人は言う。

No.2、この日本という国に数多といるホルダーの中でのNo.2。その言葉には圧倒的な実績からなる信頼があった。


「先生。」

「ん、鳴雷君どうしたんだい?」

「俺さ、俺たちを助けてくれたあの人みたいなホルダーになりたい。俺まだ弱いしギフトの使い方も先人がいないから分からないけど、絶対なるよNO.1!」


今思うと謎のホルダーに救われたあの日が僕が本気でNO.1を目指すと心に誓った日だった。ギフトを初めて手にして使い方も詳細すらもわかってないのに、ただ目の前にある大きな目標を達成するという事が、あの時の僕の動力源だった。







なんとか5月中に投稿出来ました〜。

謎のフィアーに謎のホルダー、謎しかないですね(笑)

ともかく、ここから響がNO.1になるまでの英雄譚が始まるというわけです。

てことで第4話もお楽しみに‼️

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