プロローグ―4
「なるほど……」
「……? 今の言葉だけで理解できたのですか?」
女性が自身の事を神に近しい存在だが、《観測者》や《管理者》と表した方が正しいと述べる理由について俺は見当を付けた。
わざわざそのように言葉を変える理由は恐らく……。
「世界の管理や観測をする存在であって、世界を創ったり、世界に直接干渉したりはしない……できないって事で合っているか?」
「……驚きました、正解です。本当に理解が早いみたいですね……。察しが良いとも言いますか」
俺の考えは当たっていた様で、女性……一応神に近い存在らしいので女神と呼ぼうか。
女神は俺の自身半分不安半分な回答に、表情は一切動かないものの口では感嘆した様な反応を見せた。
「表情が死んでいるのは元からです。これでも私は貴方に心から感心しているのですよ?」
「……!」
なっ、心を読まれた?
「これでも神に近しき存在ですから。私が読めるのは表層意識までですけれどね。人の心の奥深くまでは読めません」
女神はまた微笑みながらそう言うが、十分人を大きく超えた力だった。
どうやらそういう……上位的な存在である事は間違い無いらしい。
「確信を持って貰えたのなら何よりです。……ある程度理解も早い様ですし、早速本題に入ってしまいましょうか。貴方のこれからについてです」
「そうだ、俺はこれからどうなるんだ?」
俺が女神の持つ確かな力を理解したところで話は本題へと移った。
俺が死んだ事は間違いなく。
今目の前にいる女性は神に近しい存在。
そもそも何故そんな人物がわざわざ俺の前に姿を現しているのだろうか?
まさか死んだ人物全員に、毎回同じ様な対応をしているのか?
「いえ、いつもはシステム通りに輪廻の渦へと従って転生を繰り返して貰っています。通常はこの空間に来ることさえありませんし、意識も取り戻しません」
……って事は。
「俺はイレギュラーかバグが発生したって事か」
「本当に察しが良くて助かります」
マジか……、そんな事ってあるんだな。
いや、そもそもこの状態が奇異な現象だし今更か。
「具体的には何が問題なんだ?」
「元の世界への転生が不可という一点のみですね」
「な……!?」
淡々と返事を返す女神に対して俺は頭を垂れた。
問題は1つと言うが、そのたった1つが余りにも致命的過ぎる。
「本当に俺はこれからどうなるんだ……?」