第01稿03話~爺ちゃん、採集に勤しむ13~
__久黎爺|草原
「よいしょー!どっこいしょー!」
餅つきの掛け声みたいになっておるのぅ。目の前で丸兎の光の珠が量産されて行く。
「丸兎の素材はお金になるぞい!」
「じゃあ沢山集めないとね!!」
「儂は横で採取をしてても良いかのう?」
「採取ってそこ等辺の草を採るの?」
「採取をしようと思って探すと採取ポイントが光るんじゃよ」
「あ、本当だ。じゃあ、僕も採取に挑戦してみるよ」
「私はうさぎ叩きしてるね!」
各々が好きな事をし始めていく。うむ、こういう時間も大事じゃな!二人は草取り、1人は土竜叩きならぬ兎叩き。
「ん、採取したアイテムの名前が草としか表示されないだけど、久黎爺さん何でか知ってる?」
「多分、知識として素材の名前を知ってないといけないんじゃと思う。今獲ったモノを見せてもらっても良いかのう?」
「はい、分かりました」
光の珠でない現物が目の前の地面におかれている。先日、ボブさんから教えてもらった物だけK太君に教えるとしよう。と言っても白詰草とたんぽぽとからすのえんどうかの?
「これが白詰草……あっ、色玉草じゃったわい!色玉草じゃよ。こっちのたんぽぽは日光花で、からすのえんどうは鴉豆じゃ。色玉草は色によって効果が違うそうじゃ。他二つは魔力回復の用途に使われる薬草らしいぞい」
「名前が表示されました!このシステムはちょっと面倒臭そうですね。それにしても雑草が薬草なんですね」
「まぁ薬草でも毒草でもりあるでは雑草じゃからのぅ」
「それは……それもそうですね」
「さぁ、摘んで行くとしよう」
「はい!」
暫く薬草採りに精を出しているとK奈ちゃんからへるぷがかかった。
「デカいの出て来た!K兄助けてー」
「大きい月兎……狩り過ぎると出てくる系の奴ですか?」
「そうかもしれないのぅ」
どうやら、おっきい兎が出てきたようじゃ。えんちゃんとえねみーとやらかのう?見てみるととても大きい。何故、膝丈位の月兎が人よりも大きくなるのじゃろうか。膝丈も結構大きい気もするが。
「では儂が前衛を張るので後衛を任せても良いかの?」
「お願いします!」
三節棍を取り出し大兎の前へと出る。すると大兎は二足で立ち、前足を振り上げた。これでは兎ではなく熊さんじゃのう。熊の如く振るわれた前足は儂に向かって一直線に叩きつけられた。間一髪で回避が間に合ったが目の前の地面が抉れる程の威力。初心者が相手にするにはちと酷じゃのぅ。受けれるであろうか?
後衛が居る事を考えると受けた方が敵の隙が大きくなる様な気がするので受けた方が良いのじゃろう、凝固を使って受けてみるとするか。気功で肌を金属の様にするのは凝固した気を纏うような感じじゃろうか?
意識をし、気を指先に詰めていく様に流し込んで固めていく。今の練度では薄く巡らせることは出来なさそうじゃ。敵が攻撃をしようとしている!急いで流し込まなければ間に合わぬ。
両腕に気を詰め終え、二足立ちをする敵に対して腕を交差し構える。そう言えば、攻撃を受け止めるも何も言ってなかったわい。言っておくとするか。
「あ、死んだらすまんのぅ!」
「え?」
うん?何か言おうと思ったのと違うのが出たような気がするのぅ。む、大兎がその身体を跳ねた。踏み潰そうとしてくるようじゃ。腕だけじゃダメそうじゃのぅ。まぁ、まずはお試しじゃ。空高く飛んだ兎の巨体が儂の元に降ってくる。腕を上に向け儂は踏み潰された。
「久黎爺さーん!!」「お爺ちゃん!」
「ううむ、周りが見えん。死んでしまったかのぅ……真っ暗じゃ、俯瞰視点にもなっておらん」
「生きてるよ!喋ってるよ!!」
「どうやら生きては居るようじゃ。真っ暗なのだが何でかの?」
「大兎の下敷きだからだと思います」
「おじいちゃんの上から退けー!」
「おぉ、凄い圧迫感じゃ!何か出そうじゃ。ううむ、こんな感触までりあるに出来ているとはのぅ!」
「K奈、上から叩いたら久黎爺さんごと潰しちゃうよ!!」
「そうだった!横薙ぎにしないとね!」
上からの圧迫感が断続的になる。ううむ、どうやら退けようとしてくれてる様じゃ。気を練って……駄目じゃ。瀕死に近くて体力が足りない様じゃ。継続っぽい圧迫感だめーじで死にそうじゃ。地面と大兎の腹に挟まれてるからかのぅ。しまった!落下してくるのならば三節棍を立てておけば刺さっていたのではないかのぅ。いや、受ける事に念頭を置き過ぎた結果じゃの。
「ううむ、誰かと一緒に行動してる時は試すのを控えた方が良いのかのう?」
「大丈夫?おじいちゃん!」
「おぉ、視界が開けたぞい!!」
大兎を確認すると離れた所に位置しておる。K奈ちゃんの気合の一撃かその攻撃を回避したのかは分からぬが儂の上からどかす事に成功した様じゃ。儂はどうやら地面に胸元まで埋まっている様じゃ。抜け出そうとするが力が入らぬ。そうじゃ、体力を回復せねばならぬな。幸い両手は埋まっていないので所持品から薬草を……腰の鞄は地面に埋まっておる。取り出せないのではないか?
何だか短い気がする。爺ちゃん埋まってるから視覚情報が全くなくなってしまった。
前回から時間かかり過ぎました。
それでは皆様また次回。




