第01稿03話~爺ちゃん、採集に勤しむ10~
__久黎爺|森
「体力0以下になっても他の者が回復などをして体力が1以上になれば復帰出来ます。一定時間経過すると設定された復帰場所に飛ばされますね」
先程、疑問に思ったことを羊が説明してくれた。
「ほぉ、蘇生が出来る技があるのかの?」
「戦闘を続行するなら蘇生スキル、復帰場所に飛ばされない様にするなら体力回復が出来るポーションなどでもいけますよ。回復量が著しく減らされてしまいますが」
ふむ、蘇生スキルは体力を回復量の減少が無いと言う事かの?
「体力0以下になると一定時間ステータスが減少するデバフも一緒にかかります。そのデバフを蘇生スキルは消せるんです」
「なるほどの、デバフを消さないと戦えないと言う事か……」
「久黎爺様、そろそろ離した方が良いかもしれません」
「む?おぉぉぉ、儂飛んでおるのぅ!」
突然、女王蜂が暴れ始めて足が地に着かなくなった。結構な高さまで飛んだ後、女王蜂が左右に身体を振り始めた!不味い、落ちたら死んでしまう。振り落とされないようにしがみつくが三節棍が少しずつ下にずれていく。あぁ、落ちるまで後少しじゃ。慌てずに気を練って自分から落ちる事にしよう。
下を見るとかなりの高さじゃ。この高さ落ちても大丈夫かのぅ?焦って気が霧散してしまう。いや、慌てるわい。下は見ない様にして気を練る事にしよう。
上を向き気を練り両手でしがみついてる三節棍を片手を離して落ちていく。
「久黎爺様!」
自由落下じゃ。下から羊が儂を呼ぶ声が聞こえる。頭を守るように腕で頭を包み気で固める。付け焼刃じゃが大丈夫だろうか。暴れる離された三節棍が何回も背中を叩く、不安になるが既に空中、後は天に身を任せるだけじゃ!
「風魔法で落下速度を落としますわ!ゲイル!!」
「おぜうさま、それは暴風過ぎます!!」
風に巻かれ防御態勢が崩れる。ふぉ!?錐揉み回転しながら地面を目指す。コレは墜落じゃ!視界がぐるぐるして少々、気分が……悪く……
「くっ、ぐぇ」
潰れた蛙の様な声が聞こえた。
「羊、ナイスキャッチですわ!」
どうやら羊を下敷きにしてしまった様じゃ。
「すまぬのぅ。おっとっと」
急に立ち上がったからかふらついてしまったのぅ。
「いえ、気にしないでください。肺から空気が出てっただけなので」
「そんな所までリアルなんじゃな」
「久黎爺さん!蜂が急降下して来てます!」
上を見上げると女王蜂がこちらに向かって突進して来ていた。避けると下敷きにしている羊に直撃してしまうのぅ。うむ、落下した衝撃からか身体が起こせぬのぅ。これは腰じゃな。避ける選択肢は無かった様じゃ。武器を構えて甘んじて受ける事としよう。
腕を上げ三節棍を両手で構える。ふむ、真ん中の棒がフラフラしておる。力が入れられないようじゃ。儂はこれで何を受け止めようというのじゃろうか?どうやら、腰以外にもダメージがあったようじゃな。
しかし、考えている間に既に女王蜂がお尻の針をこちらに向けている。蜂は相手にしがみついてから針を刺すんじゃ無かったかのぅ?
腕に手が添えられた。
「久黎爺様、補助いたします」
「撃ちます!」
ここは甘んじて介助を受ける事にしよう。腕を支えられて蜂さんを待って居ると蜂さんの頭の横に矢が生えた。援護射撃か!助かるのぅ!蜂さんは少しふらついたが突進を止めずにこちらに向かって来た。羊が腕に力を入れて受け止める。蜂さんを無事、受け止める事に成功した。と言っても押し返すのは羊が殆どやってくれたような物じゃが。
「もう一発!」
押し返された蜂さんに矢が突き刺さる。外している所を見ないのぅ。動けそうになったので羊さんの上から退く事にしよう。
「やっと解放されました。おや、状態異常で動けないようです」
「キュアポーションよ」
「冷たっ、ありがとうございます」
おぜうちゃんが瓶の中身を羊に振りかけておる。ぽーしょんはかけても効果が出る様じゃ。おっと、戦闘中によそ見はいかんのぅ。蜂さんを見るとK太君の方へ向かってしまっている様じゃ。慌てて石を取り出して投げるが当たらない。K太君の元へ走りながら石を投げていくが、いかん!石がもうないぞい!数撃てば当たる物も弾が無ければ当たらないのぅ。
K太君がナイフに切り替えて刃を使って突進を逸らした。回避に成功した様じゃ。逸らされた事によって失速した女王蜂に追いつき、その背中に三節棍を振り下ろす!すると蜂さんは地面に叩きつけられた。
「追撃チャンスです。お二人がた」
羊のその一言を聞き、K太君と二人で先程の働き蜂と同じようにたこ殴りとする。
「お二人とも、そろそろ距離を」
羊の指示に従い蜂さんから距離をとると蜂さんが体勢を立て直し空を飛び、地面に向けて体当たりを行った。成程、欲をかくとあの体当たりによって反撃を受けてしまうのか。
「あの状態は体力が4分の1位になった時に行います。そこから削り切れれば討伐完了、削り切れなかったら範囲攻撃をしてきて倒されたら拠点からやり直しと言う俗に言う初心者殺しというモノをしてきます。ダウン後は削り切れないと判断したら範囲外まで逃げるか防御態勢をとってください」
「分かったぞい!!」「分かりました」
女王蜂戦ももう一息、想定よりも長くなってしまった。
次回は恐らくトドメです。不測のネタが出ない限りはトドメです。暴風がゲイルして爺ちゃんは錐もみしました。
それでは皆様また次回。




