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第01稿02話~爺ちゃん、素材を集める11~


__爺|道場


「久凪さん!お久しぶりです」


「おぉ、烈華君何か大きくなったのぉ」


 うむ、前にあったのは10年前程か。あの頃は中学生だったか?高校生だったか。


「久凪さんに勝つのも試練の一つと言われてるので手合わせお願いします」


「ふむ、良かろう。武器は無しで良いな?」


「はい!」


 この道場は独特で次の師範になるにはあらゆる武術を使える様にならなければならない。烈華君はこの道場の跡継ぎとの事だ。道場で凪子さんを抜いて一番古い門下生である儂に勝つのも条件なんじゃろう。


「よろしくお願いします」


「うむ、よろしく頼む」


 相対し、構える。烈華君は上半身の力を抜いて腕を垂らしている。ふむ、あの構えはなんじゃろうか。うむ、分からぬ。


「先に行かせてもらいます!」


 トンと音が聞こえて烈華君は空を飛んだ。おぉ、道場の天井は高いが凄い膂力じゃ。天井に手をついて飛び蹴りをしてきた。むむ、重力も重量も反動も合わせて威力も速度も十分……しかし軌道が一直線になってしまうのはいただけないのぅ!しかし、本家の者は本当人並外れているのぅ。


 む、着地地点がズレている様じゃ。これはふぇいんとかの。着地を見守ってどう来るか。


「片凪流、跳蹴」


 それは完全に勘であった。両腕で防いだ。うむ、技名で大体分かる。着地した瞬間にかんがるーなきっくじゃな。鋭い蹴りが右側頭部を狙っていたが何とか防いだ。うむ、儂は今日死ぬそうだ。これは手合わせではない相手は本気でヤりに来ておる。


「跳蹴からの跳蹴からの跳蹴」


「ひぇ、ちょ、待つんじゃ!」


 鋭い蹴りが連続で飛んでくる。腰を痛めた状態では厳しいのぅ!何とか防ぎきったが、ひぇ、受けた所から血が出ておる!


 どうやら、あの足は刃物の様じゃ。実際は擦り傷じゃろうがこの調子で血が出ていたら失血死待ったなしじゃ。


「全部受けられるとは衰えてないですね!」


 衰えてる衰えてる。絶賛、ぎっくり腰中じゃ。軽い手合わせと思ったら認識の差で爺ちゃんちびりそうじゃ。


「ぎぶじゃ」


「……腰ですね。治ったら相手してください」


「うむ、分かってしまったか」


「腰庇う様にしてたので」


「先程、手合わせした時にじゃいあんとなすいんぐをしようとしたら腰を痛めてしまってのぅ」


「良かったらマッサージでもしましょうか?」


「おぉ、按摩か。頼むとするかのう」


 その後、儂は痛めた腰を按摩してもらって昼食を食べて道場を後にした。



__爺|散歩


 外に出ると晴れていたので道場に車を置いて近くを走る事にした。散歩じゃ。按摩のおかげで腰の調子も良くなった。


 儂は近くの公園で休んでいた。ううむ、ぎっくり腰が再発してしまった。小さい屋根の着いた広めの四角い椅子……というより机かの?屋根がついていて助かったのぅ。机の上で横になる。ううむ、腰が痛いのぅ。


「お爺さん体調悪いんですか?」


「む、おぉ。ちょっと走っておったら腰を痛めてしまってのぅ」


 松葉杖をついた男の子とそれを支える妹だろうか女の子が話しかけて来た。


「ぎっくり腰ですか?」


「うむ、そちらは散歩かの?」


「はい、休みの日は運動するようにしてるんです」



「違うよー!お散歩デートなんだよ!」


 ふむ、どうやら兄妹では無いようじゃ。男の子は中学生くらいで女の子は小学生かの?最近の子は進んでいるのぅ。


「隣良いですか?」


「うむ、良いがでぇと中に彼女を放置して良いのかの?」


「ここで休憩しようと思って来たから大丈夫だよお爺ちゃん」


 女の子がそう答えて、男の子を支えて座らせる。ふむ、どうやらこの子は左腕と左足を痛めてるようじゃの。


「お爺さんの腰の傷みが無くなるまで話し相手になって貰っていいですか?」


「ほっほ、こんな老いぼれで良いならの」


「お爺ちゃんはどうして走ってたの?」


「うむ、朝に走ろうと思ってたんじゃが雨が降っててのぅ。今見たら上がってたので走りに来たんじゃよ。そしたら、ぎっくり腰が再発してしまってのぅ」


「そうだったんですね」


「そう言えばお嬢ちゃん達はげぇむをするかね?」


「ゲームですか。私はプレイしませんが見るのは好きですよ」


 しまった。初っ端から話題を間違ってしまったかも知れん。ううむ、若い子ならばげぇむと思ったが……

 よく観察すると痛めていると思った腕は義手をつけている。


「ふむ、では助言を乞いたいんじゃが最近ぶいあーるえむえむおーあーるぴーじーを始めてのぉ」


「VR……治療用の奴をプレゼントされたような。外出るようにしてるからあんまり使ってないけど」


「ほう、最近のげぇむは凄くてのう。こんな衰えた身体でも難なく身体を動かせるんじゃよ。ぶいあーる業界に居てのぉ退職祝いに新型をぷれぜんとされたんじゃ」


「そうなんですか、対応してたら私もやってみようかな」


「孝兄がやるなら私もやる!」


「おや、兄妹であったか」


「私の兄弟は兄一人です。この子は兄の上司の娘さんなんですよ」


「おとーさんは孝兄達のこーけんにん?何だよ!」


 後見人……つまり実の親は……ふむ。


「成程のぉ、つまり婚約者か!」


「そう!お爺ちゃん分かってるね!」


 うむ、お嬢ちゃんは賢い子じゃ。直ぐに冗談に乗ってくれたようじゃ。

 その後は腰の痛みが引くまで話を続け、引いたころに話し相手になってくれた礼を言って別れた。

治った直後は要注意。調子に乗ると再発します。

次回はVRに入ります。烈華さんは人間離れしてますがお爺ちゃんは道場では基礎を習っただけの一般人です。

それでは皆様また次回。

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